採集記#3

【とぉ】


#3 5月7日(金) 午後
天気 晴
気温 23℃(23.7/11.3℃)
場所 ポイント@A
目的 採集 #2

 所用で1日休暇を取り、朝から用事に出かける。が、予定より早く終わったため、帰り道に以前から目をつけていた地点に向かう。

 適当な所でヤナギの樹を探す。程なく数本の木立を発見。クルマを止め、車内に常備しておいた懐中電灯とピンセットを取り出し、軍手をはめて出動。

 最初の1本目。いきなり洞を発見。懐中電灯で照らすと、何と下を向いたクワガタの横顔が!一旦下がって、深呼吸をして再び覗く。少し奥(上)に動いたようだったが、大顎はピンセットの届く範囲にあった。左手で洞を照らし、右手でピンセットを使い、クワガタの大顎を挟もうとするが、滑ってなかなかうまくいかない。何度かのチャレンジの後、ようやくしっかりと挟むことができた。ゆっくりと力を込めて下に引っ張り出す。

発見から5分も経った頃、やっとその全貌が明らかになった。人生初、洞採集での獲物は、体長43oのコクワガタ♂であった。その後奥の樹でもコクワを発見したが、残念ながら洞の奥深くに逃げられてしまった。あたらめて採集の楽しさと難しさを実感した瞬間だった。

 喜び勇んで帰宅するも、今日は平日、しかも真っ昼間である。家には誰もいない。とりあえず昼食を摂りながら、午後からの予定を立てる。どこへ行こうか。先月下見をした山に行こう。そう決めた後、嫁さんにコクワ発見のメールを打って出発した。

しばらくクルマを走らせ、山に到着。前回よりも入念に見て廻ったが、樹液痕のある樹は見あたらず、洞はあっても中はもぬけのカラであった。ここまでで約1時間を費やした。次はどうするか。新規ポイントを探しに行こう。

先程より南の地点に到着。10本前後のヤナギの木立が数カ所点在している。砂利道を進みながら入れそうな所を見つけ、木立に入って行く。が、なかなか見つからない。やはりさっきのコクワは偶然だったのか。そんな不安が脳裏をよぎる。

2時間ほど探索しただろうか、かなり進んできた。##の近くにさしかかったあたりでかなり規模の大きいヤナギの木立があった。これまでの倍くらいの面積がありそうだった。気温も高く、疲労もピークに達しており、足元はおぼつかない。それでも、吸い寄せられるように木立に足を踏み込んでいく。

案の定、洞のある樹が沢山確認できた。が、肝心のクワガタの姿がない。どの洞も乾燥しきっていて、虫がいる気配はない。そろそろ諦めようかと思った頃、目の前に洞のある太いヤナギの樹が。「ここにもいないんだろうなぁ」と洞を覗いた瞬間、衝撃が走った。

それは自分が今まで見たことのない大顎だった。コクワより太く、直線的で、細かい内歯が沢山生えている。直感でヒラタだと思った。だが、ピンセットの出番はなかった。そいつには胴体が無かったのである。

でもおかげでこの付近にはヒラタが少なくとも近年まで棲んでいたことがわかった。自分にとっては大きな収穫だった。

ここで今シーズンの目標ができた。「富山産ヒラタの採集」である。そして、このポイント名をAと決めた。

本日の結果・・・採集 コクワ♂1(43o)
        確認 コクワ♂1
 


戻る