2001年〜2002年の採集記

【しんしん】


                        

【あ〜コメント】

しんしん様の名前の由来は「しんすんかしゅしんすんさんしょんしょー」の略です。ハンドルネームを選ぶのにかなりの時間をかけましたが、その過程で非常に素晴らしいセンスを垣間見せていただきました。

2001〜2002年の採集記として今回いただきましたが、採集の立ち上げからの過程がよくわかります。

以下、しんしん様のメールです。


【しんしん様のメール】(2004.8.5)

嫁が長男(当時3歳)と見ていたN■Kの教育番組(なんと受信料を払っている)でカブト虫の特集を放送していた時に、虫が嫌いな嫁が真剣に捕まえ方を覚えて、僕にその話を食事中ずっと聞かせたため、「よし、カブト虫かクワガタを捕ってきてやる。」と言ってしまいました。

その年は仕事の帰りに木のたくさん茂る公園の外灯下を見て廻り、この辺にはいないことを確認しただけで終わりそうでした。しかし8月も終盤になって、付近におが屑の山があり大量のカブト虫がよく採れたという場所を聞いたので、そこへ行ってみたらば……なんと!おが屑は撤去されていました。専門知識のない僕は「ここでカブト虫が発生したのなら、きっと付近の山に飛んで行くだろう。」と考え、ある山にターゲットを絞込み(といってもこの付近には山はひとつしかない)まだ日のある内にそこへと向いました。

その山で林道を歩いて樹液を出していそうな木を探してみましたが、林道を抜けた田んぼの脇に聳え立つクヌギの大木で、カナブンとスズメバチを発見したのみで、日も暮れかかり今日はここまでに。

ついでに隣接する公園を少々のぞいてみると、イチョウの木に樹液のあとが確認できました。その木の幹をちょっと観察しようとしたら、人差し指大の甲虫のケツが…。久しぶりに見るのですぐにクワガタと判別できず、大あごがあることを確認してからようやく「ゲーット」。

結局1本の木から3匹(40ミリ程度・35ミリ程度・25ミリ程度)のコクワガタが捕れ、この夏は終わりとなりました。

 

そして翌年…。
5月の初めに親子3人で、去年僕がコクワガタを捕まえた公園へ遊びに行った時、あのイチョウの木を調べてみると、コクワガタのメスが木の幹をかじっているではありませんか。もちろん捕まえて「父ちゃんヒーロー」になったのです。(この日はそれだけ、公園のボートで遊んで帰りました。)

そのメスをプラケースで飼い始めて3日後、仕事を終えて帰宅すると、ドアの下に小さなコクワガタのオスがひっくり返ってもがいていました。「まさかメスの匂いにつられて飛んで来たのか?」疑問に思いながらも、だいたいこの辺から飛んで来るだろうと予測して、翌日仕事が終わると自宅近辺の某公園へ向いました。公園の遊具から少し離れた林の中に、コナラの木(だろうと思う)を発見し、早速調べてみると…。何かの間違いじゃないの〜!?ヒ、ヒラタが木の幹をかじっている!

懐中電灯で照らし、何度も確認したのにヒラタに見える。どう見てもヒラタだ。なんで?4歳の長男には危険すぎる…(ちなみに45ミリ弱)。でも「ゲ〜ット」とつぶやきながら捕まえ、即効で嫁にメールを送った直後……職場からどうしても手伝ってほしい仕事があるとの電話があり、引き返すはめに…。しかし、ここにクワガタがいることは判った。明日から毎日夜回りだ。残業カマーン!暗くなるの歓迎だぜベイベー!

すっかりハートに火が点いて、翌日も行ってみたらば今度は極小(25ミリ程度)のコクワガタが3♂1♀、先日のヒラタと同じ場所にかたまっている。まだ赤っぽい♂を1匹落したものの、他の3匹は「ゲ〜ット」できました。こんなに小さなクワガタは初めて見ました。ゴミムシクラスとでも言いましょうか。これなら長男にも危険はないでしょう。この日はそれだけで、以後何日か通ったのですが、落した♂とまた別の2♂が捕れただけで、6月中旬までクワガタを捕まえることはありませんでした。しかし、この公園には他にもクワガタの捕れる木があったのです。


 6月も中旬になり、梅雨の真っ最中の出来事でした。いつもの公園でいつもの場所よりもっと林の奥へ入ってみようと思い、懐中電灯を持って恐る恐る進んで行くと、崖っぷちぎりぎりの所にコナラの木を発見しました。その木は肩の高さくらいの所の枝が付け根付近から折れていて、折れた所に空洞が見えたので近づいて覗こうとしたら…、空洞の側にでかいゴキブリのケツが見え、「うえ〜気色悪〜」と思いながらも怖いもの見たさで観察していると、何やら羽が真中で割れているような…。ケツから白いものが出て、隣りの虫のケツに繋がっているような…。隣りの虫はクワガタの♀のような…。とすると…もしかして…ゴキブリ並のでかいケツのこの虫は…?分析すればするほどクワガタとは信じられず(この公園で見つけたクワガタが全部小さすぎたので、相当な大きさに見えたのです。)
 

もっと観察して、確信が持ててから捕まえようと思っていたらそれが間違いであった。クワガタはゆっくりと折れた枝の空洞へ入って行ったのです。はっと気づいて空洞を懐中電灯で照らしてみたのですが、クワガタのケツしか見えず、何クワガタかもわからず、道具も無く、一緒にいた♀も空洞の中だったので、これは帰るしかない…。しかしその木の幹を調べていたら、幸運にもヒラタの♀を一匹「ゲ〜ット」できました。

この日はそれで終わり、悔しい思いで週末を迎えました。(僕は休日には採集に行きません。)そして「逃げるなよ〜、ほんで誰かに捕まえられるなよ〜」と悶々とすごした休み明け月曜日(しかも昼間で雨)、先日の空洞を覗いたらばヤツはまだそこにいた。頭を上にして入っている。ヒラタであった。さあどうやって捕まえるか?僕は採集用具など持ってはおらず、空洞の中から引っ張り出すことなど1度たりともやったことは無いのだった。しかし、ヒラタの習性(非常に強い力で挟み、体を硬直させ、長時間放さない)を利用すればあるいは…。という訳で地面に落ちている木の枝を拾い、洞に突っ込んでヒラタに挟ませて引っ張り上げることにしました。

そして格闘30分…、ついにヤツは我が手中に。ぴかぴかの58ミリの♂、フセツが指に食い込んで離れない、痛いけど嬉しい、この公園にこんなサイズがいたなんて他人に言えないなど複雑な心境を味わいながら、ずぶ濡れのまま仕事に戻ったのでした。素晴らしい達成感。ヒラタって大きいのは逆三角形のマッチョな体格だったのね、外国産ヒラタ(店に売ってあるのを見たことがあるだけ)とは違った独特のカッコよさがある。長生きしてくれよと願いつつ、帰宅後プラケースの中へ。

その後翌年2月に他界するまでの間、コイツはプラケースのフタを自力で開けて脱走したのだった。しかも2回。凶暴な生き物ではあったがユーモラスな行動も楽しめたので、わずか8ヶ月の寿命は大変残念でありました。2年くらい生きると思っていたのに…。飼い方の問題でしょうか…。

それ以後2ヶ月程の間、この辺りを何度も探してみたのですが、クワガタは全く発見できませんでした。昆虫ゼリーも仕掛けてみたのですが(容器から出して木にぬすくりつけただけ、容器は持ち帰った)、ゾウムシやキマワリなどを見かける程度でした。「もしかして捕り尽くしたのでは?」などと自己嫌悪に陥りましたが、この公園では餌が少なすぎるのでどのみち生きて行けないと判断しました。ところが、この公園には他にもクワガタの捕れる木があったのです。


 8月中旬になって、公園の奥に遊歩道があり水銀灯が明るく光っているのを見つけたので、ちょっと行ってみることにしたのですが、水銀灯周辺は桜の木と杉の木ばかり…。進みすぎると駐車場か大きな道路へ…。丘の上で林に囲まれているのに何てショボイ公園だろうか。諦めて帰ろうと思い、でもちょっとトイレへ…。トイレへ歩く途中の遊歩道に落ちていた枯葉を何気なく見てみると、く…くぬぎ!あったのね、くぬぎの木!トイレもそこそこに付近を探してみたらば、巨木が目に飛び込んできたと思ったらいきなりコクワを見つけて「ゲ〜ット」。40ミリ程度で♂なのに何か細くて弱そう。他にもいないか探してみると、「♀ゲ〜ット」と思ったら極小♂だった。(こいつは大顎も短くて嫁にさんざん笑われた。)ちなみにその木はくぬぎの木ではなく、たぶん楠木だと思う。目指すくぬぎは隣りにあったので、こちらも見てみると「♂ゲ〜ット」(30ミリ)。また隣りのくぬぎを見てみると、ノコ♂55ミリ「ゲ〜ット?って死骸だったー!」。この2本のくぬぎは巨木なのだが、クワガタははっきり言ってショボかった。

また別の木(何の木かわからないし樹液もでていない)の根本からヒラタ♂(40ミリ程度)を「ゲ〜ット」し、この日はそれで終了。ここは良い場所で、その後も9月までの間にコクワ3♂を捕まえることができたのですが、どれも小さくて30ミリ程度しかありませんでした。昆虫ゼリーも仕掛けてみたのですが、スズメバチが来てしまったのでこれは控えることにします。

9月になってからも、1ペア(♂35ミリ・♀20ミリ)と1♂(30ミリ程度、この日は9月9日で日付を記録していた)と小さく、今年最後の獲物でやっと50ミリ♂(左の前脚が1本無かった)のコクワガタを「ゲ〜ット」。木から引っぺがすと、その下に極小♀(20ミリ程度)が隠れていた。悪いことした。しかしコクワガタの50ミリがこんなにかっこいいとは知らなかった。脚が1本足りないのは残念だが、お亡くなりになったらぜひ標本にしよう。コイツは大顎も長く、体格がバランス良くて少々赤っぽく、他のコクワガタとはまるで別物のようでした。きっとあの公園にどこからか飛来してきたのでしょう。ということは?まだあの付近に捕れる場所があるということ?しかしもう9月も中旬、今年はあきらめて来シーズンまで下見でもしましょうかね。という訳で長い長いシーズンオフに入ります。
 


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