こんなことって・・・

【S井】


                        

【2004.8.13】

帰宅しました。

今回は昨年に引き続き福島詣でにいってきました。

目的はオニと焼肉です。

地元でのオニの灯下採集が「とある理由」で困難になってしまったため場所を変えて狙ってみることにしました。

昨年何度かトライしていますが実現しなかった場所です。

福島のヒメオオ/アカアシはまだちょっと時期的に早いかもしれないとは思いましたが折角ですから「焼肉も食べたいなぁ・・・。」という欲張り貧乏採集行です。

13日は恒例のお墓参りがあるため、12日の夜に出るのは諦め、13日の昼前に出て地元でのヒメオオなんかの写真を撮ったりしながら目的地に向かうという珍しく時間に余裕のある採集計画となりました。

 

8月13日−−−−−

家を出て、通いなれたルートを通りヒメオオの棲息するエリアに入りました。いつもは割と朝早く家を出るのですがお墓参りのために遅めの出動だったためもう暑くて大変です。

節約のために可能な限りエアコンを使わずにいたため、汗だくでの目的地到着となりました。

早速探索を開始しましたが、暑さのためなのかなかなかヒメオオは見つかりません。

「まぁ最悪1頭も見つからなくても仕方ないかなぁ・・・採集しても今以上の飼育はちょっと困難だし。」

こんなテキトーな採集では良い結果が出るはずもなく、結局発見できたヒメオオは♂4♀2でした。割と遠い位置にいる個体が多く、写真もイマイチですが、1頭だけ撮りやすい位置にいてくれた個体が居たのですがこれは日陰部分にいてこれも写真は幾分ブレ気味になってしまいました。

「まぁこんなもんかぁ・・・そろそろ移動を開始したほうがいいかな?」

山を降り、目的地に向かいました。

途中で食糧や飲み物を調達したりしながら向かったため次のポイントに到着した頃には程好い時間になっていて、既に羽虫が飛び始めています。

暫く待っているとその数は爆発的に増えて、まるで幕のように見える程になりました。

「うわ〜っ・・・こんなの初めて見たよ。羽虫ばっかり。クワガタはどこ?」

羽虫目当ての採集であればこれはまさにパラダイスなのですが、可能ならクワガタが採りたい自分には「割と地獄」な状態です。

羽虫のピークの時間は思ったより短かくてウロウロとあたりを徘徊しているといつのまにか少なくなってきました。

「あれっ?クワガタは?全然だめじゃん。」

羽虫がおさまった後には僅かに蛾が舞っている程度でクワガタの姿はさっぱり見つかりません。今期良く探していとるミヤマの♀がポツリポツリと見つかるようになりました。

アカアシ♀、ミヤマ♀、ミヤマ♀、ミヤマ♀・・・。

ミヤマ♀の8連発をくらい、さらに探索している時にやっと別のクワガタが見つかりました。

「う〜ん・・・ノコ♀かぁ・・・。」

こうも♀ばかり続くとなんたが疲れがどっと出てきます。

「ここはダメだな、移動しちゃお。」

採集した全てをリリースしてやっと本来の目的地に向かうとことになりました。

「今年はどうだろう?去年はさっぱりだったけど。」

到着してみると昨年同様かなりの採集者がいるようでした。

「こんなに居たら自分が採集する場所はほとんど無いなぁ・・・。」

仕方なく移動しながらあたりのショボい灯下を回り始めたのですが、大量の蛾が舞っていてなかなかの夜だと思うのに「黒いヤツ」の姿はなかなか見つかりません。昨年もこのあたりなら絶対オニが採集できると思って何度か来ていますが結局1頭も発見できなかった悲しい実績のあるポイントなのですが、先ほどの羽虫の数を見る限りそんなに条件は悪くないと思わずにはいられません。

(シロート考え以外の何物でもないのですけれど。)

採集の出来そうな灯火を求めて移動している時、ふと気になる灯火を発見しました。普段であれば無視するところですが、今回は他にこれといって採集できそうな場所も無かったため車を停め懐中電灯を点等して歩き始めた時です。黒い大きな♀のクワガタが足元の薄暗がりを歩いているのが見えました。それまでミヤマの♀ばかり見ていたため、

「大き目のミヤマの♀かな?」

と思い懐中電灯を近づけてみると・・・。

「ん?黒すぎる?なんかスジがあるようにも見えるけど、まさかねぇ・・・。」

更に近づけて見ると光の中に浮き上がったのは紛れも無いオオクワガタの♀でした。

「どっひゃ〜〜〜〜〜〜っ!!!写真撮らないとぉ〜!」

慌ててデジカメを取り出して写真を撮り拾い上げました。

良く見てみるとキズだらけで前足のフセツが欠けたボロボロの個体でしたが、昨年採集したものよりも一回り大きな立派な♀です。

「まぢっ?こんなことってあるんだぁ・・・。」

暫く興奮しながら見とれていましたが、我にかえってあたりを探索てみましたが、これ以外のクワガタの姿は見つかりませんでした。

「欲張ってもそうそうオオクワが採集できるハズも無いかぁ。」

と思い移動することにしました。

こうなると次に目に付いたショボい灯火も確認せずにはいられません。

車を停め、懐中電灯を持ってあたりを探索していると、道路の隅を歩く黒いものを発見し、確認するために近づいて懐中電灯を向けて見ると・・・。

「あれっ?これってオオクワ?だよね?」

「でも一晩で2頭も採れるはずは無いよね?」

「もしかして自分、眠くて幻覚とか見ちゃってるのかなぁ・・・。」

「とりあえず写真撮っとこう。幻覚なら別のものが写ってるだろうし。」

(今考えてみるとこの時の自分、冷静なんだか冷静じゃないんだか良く判らない状態だったもしれないですね。)

写真を撮り、写ったものを確認してみるとやはりどう見てもオオクワ♀です。

拾い上げてよく見てみてもやっぱりオオクワ♀。それも先ほど「大きい」と思った個体よりもさらに大きく見えます。フセツの欠けも無くピカピカの個体でした。

「なんてこったい!一晩にオオクワが2頭!こんなことあっても良いのかなぁ・・・。」

本日二度目のボーゼン状態を抜け出し、さらに移動してちょっとよさげな灯火で今回初のミヤマ♂を採集した頃から風が出てきてしまいました。

「そろそろ最終目的地に向かった方が良いかな?でも最初にオオクワが採集できた場所はもう一度見てみたいな。」

と思い、一旦戻りました。

その場所に到着してみると、風の影響か先ほどよりは虫の飛びが悪いように見えましたが、一応確認してみることにして引き返す時のためにUターンしておこうと一旦通り過ぎようとした時です。道路の脇でジタバタしている何かが見えた気がしました。

「何だろう?」

車を止め、懐中電灯を向けてみるとその光の輪の中に浮かびあがったものは見慣れない形状をした大きなクワガタでした。

「えっ?ええ〜っ?オオクワ♂それも大歯?」

慌ててデジカメを取り出しそのジタバタしている姿を写真に収めて拾い上げました。

ひっくり返してみるとやはりオオクワ♂。それも大歯です。

「うわ〜〜〜っ、何てカッコイイんだぁ〜〜〜!」

目立つ傷やフセツの欠けも無く、ピカピカの個体です。

慌てて先ほど採集した♀の入っているルアーケースに収めようとしたのですが、なかなか上手く収まりません。

「何だかやたら元気の良いヤツだなぁ・・・。」

仕方なく手に持ったまま車を走らせ、路肩に車を停めてキチンと収めようとしましたが、何故か上手く収まらないんです。

「元気良すぎだよ、チミは。」

なんてブツブツ言いながら良く見てみると・・・。

入るはずがありませんでした。♀を収めたルアーケースは冬場の小型種用のものでした。♀であれば大型のものでも何とか入れることができますが、今回採集したのは♂で、しかも小さめとはいえ大歯です。収めるべきルアーケースの区切りの長さよりも体長が若干長いため、このルアーケースに収めるのはいくらなんでも無理でした。

「こんな単純なことにも気が付かないなんて・・・バカか?自分。」

完全にマトモな思考のできる状態では無くなってしまっていたようです。

別のもっと大きなルアーケースを取り出して全てを入れ替えました。(^^;)

「一晩でオオクワが3頭も採れてしまうとは・・・一生に一度くらいはこんなこともあるんだなぁ・・・。」

その後目的の灯火をチェックしていると、やっと今回の目的だったオニの♂を見つけることができました。

「ふぅ・・・これにたどり着くまでに今日はいろいろあったなぁ。」

満足感とともにどっと眠気が襲ってきてしまい、今回の就寝場所に向かいました。

 

8月14日−−−−−

おきてみると異常な寒さで、全身が冷え切ってしまっています。

あまりの睡魔に昨夜は気が付きませんでたが、気温はかなり急速に下がっていたようです。天気もなんだかイマイチで、すごい勢いで雲が流れています。

「これじゃヒメオオ/アカアシもちょっと難しいかな?」

という感じでした。

とりあえず朝食を摂り、林道方面に向かいましたがポツポツと雨が当たってきてしまいました。

「ん〜、最悪の条件かも。」

雨、風、気温の低さと全くもってテンションの下がる状態です。

有名林道の入り口付近までの一通りのヤナギをチェックしてみましたが、私には何も発見できませんでした。

「そういえば去年もこの時期そうだったかもしれないな。」

ヒメオオに関してはベストシーズンには幾分早いのかもしれませんが、某有名林道はそれなりに賑わっているようでしたので採集は可能なのかもしれませんね。

「まぁヒメオオはまた来ればいいかぁ・・・。」(←そんな余裕あるのか?>自分)

やはりここまできたら焼肉は外せません。

一旦戻り、例の店でかなりの時間おいしい焼肉と楽しい会話を堪能しました。

「このためだけにここに来てもいいよね〜!」

下がりまくったテンションは回復しましたが、天気は回復せず、ますます悪くなっているようです。焼肉のお店を後にした直後からついに雨は本格化してしまい、本来は##を回って帰ろうと思っていたのですが断念して来た道を引き返しました。

かなり激しい雨でしたが、昨夜採集のできた場所の近くは相変わらず採集者で賑わっていました。

「この寒さと雨で採集になるのかな?」

「まぁ今回は自分にはこれ以上の追加採集は出来ないよね・・・多分。」

あまりの雨に幾分怯みながらボロボロでいつもの就寝場所に向かい車を停めた直後から記憶がありません。

 

8月15日−−−−−

二日連続で寒さで目が覚めました。

「一体この寒さは何?」

ラジオを聴いていると長野市の最低気温は15℃とか言ってました。

「最低気温15℃って・・・9月の後半?」

道には水の流れた痕跡があちこちにあり気温はひどく低くてヒメオオの採集できるあたりでは車の温度計は10℃と表示していました。

「これはいくらなんでも虫は動かないよね・・・。」

なんとかアカアシを数頭見つけることはできましたが、写真的には×でした。

「早く帰った方がいいかも。」

採集を切り上げ、帰宅しました。

 

それにしても今回の採集はまさに「大金星」です。

2年続けてお盆休み中にオオクワが採集できてしまうなんて・・・。

こんなことってあって良いのでしょうか・・・ありえない。

でもほとんど諦めていたオオクワが今年も採集できてマジで嬉しいです。

もしかするとこの先一生分の運を使い果たしてしまったかもしれません。(ToT)v

でも可能ならもう一回くらいは採集に行ってみたいですね〜。


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