【凹作】
【2004年06月22日】
台風一過。
カッと照りつける太陽。
爽やかに水無月晴れなのでございます。
梅雨の合間に思わぬ晴天を得て、勤務中の昼真っからソワソワしていた凹であります。
明日の晩は、凹&カミサンが注目するTVドラマ・・・光とともに・・・の最終回。
もしかしたら、採集はパスするかもしれない。
この日に行っとかんと、このソワソワに二日間以上も付き合い続けにゃならん事態も想定される。
だもんで、出発です。
強烈なお日様の光も完全に姿をくらました午後8時30分。
幼馴染の樹の所へ、ご挨拶に行って参りました。
シーン。
この寂しさが怖いのであります。
この日は一人で来ていたから背中サイドも怖かったのですが、一番怖かったのは幼馴染の不機嫌っぷりでありました。
街の明りがモロに射し込んでいるのが致命傷か?
確かに、昨年までは雑木がブラインドしてくれて気にならなかったのだ。
にしても、眼下直ぐに構える某施設様。 W数高すぎっす。
という訳で、キッパリとこの樹を諦めて、更に奥の樹を目指すべく、おっかない山道を進む決心をした凹。
気を紛らす為に、頭に電波を流して感覚を麻痺させます。
そういえば、昨日までの3日間、各所で『1000000人のキャンドルナイト』をやってたンだよなぁ〜。
元上司のHさん。今年もリモートセンシングのお仕事で協力したのかしらん?
そういえばHさんトコ界隈って、あの広大系なお土地柄のせいか、サーチライトの光を垂直方向に振り回しているパチンコ屋さんが多かったけど、
あの3日間はどうやって凌いでたンだろう?
普段の週末ならば、あの真上に向けた強力な光をめがけて飛翔してくる金持ち天上人達を沢山採集して採算を合わせていたンだろうに。
いやいや、違うな。そんな宇宙人もどきの金持ちなんか居るわけは無いな。
じゃあなんだろ?アレ?
目を惹くには惹いても、文字や絵が入ってるわけじゃないから看板代わりになるわけじゃなし。
第一、ただ目立つというだけならば、せっかく電気代をかけて作った光を上空に撒いてしまうよりは、
自分トコの店の壁面だけを集中的にやった方が綺麗でよっぽど効果的だ。
光害の最先端という好感度大激減のリスクを背負ってまでやるからには、なにか美味しいウラがあるに違いないンだよな。
商圏一帯の個人投資家達や庶民を敵に回してまで得たいソノ美味しい中身とは??
オオクワに違いない。
ああやっているとオオクワがウハウハ飛んで来るのに違いないのだ。
ちっくしょー。 独り占めかい。 一人だけいい思いしやがって。
こんど△泉が俺様に親しげに手を振りかざしてきたら、その時にでも言いつけてやるゼ。
(俺様クンと△泉総■大臣の馴れ初めは、凹採集記03/05/30をご参照下さい)
いやいや、待て。冷静に考えるんだ。
この頃じゃあ、アノ巨大な光柱を屋上にくっ付けてる店は もう殆ど絶滅しかかってるじゃないか。
そうなのだ。やはり、あれではオオクワは採れないと判って諦めたのだよ。
それならば、やっかんで悔しがる必要もなかろう。 フッハッハッハッハ。
(って、あれ、マジでムシ寄ってこないンすかねぇ?)
なんぞと、一生懸命に電波系のバカ話をこしらえて、自分を笑かそうとしたのですが、やっぱり夜の林は怖いのです。
光の届かない山道を潜る凹。顔が強張り、完全に真顔モードであります。
(の割にはオツムの中には電波が充満です)
やっとの思いで元エースの樹に到着。
う〜ん、いいですねぇ。
完全に復活ですねぇ。
コクワだけど40mmオーバー♂と普通クラス♀がくっ付いている。
この頃では、nクワガタさん達には寛容な凹である。
拝観のみで満足し、さらに奥の樹へと進んだのであります。
懐中電灯を一つ持っただけの暢気な閲覧会のつもりだったのに...
うわっ!
居るわ居るわ。
今日はクワガタ殿が10頭以上も集ってらっしゃる。
見た感じnクワさんばかりだけど、ヒラタ殿が混ざっているかもしれないから、ちゃんと一つ一つを眼光鋭く射抜いていきます。
!
やった。
ヒラタ殿ではないけれど、ノコペアさんであります。
そーと間合いをつめ、iShotのレンズを近づけようとします。
バラバラバラ。 凹の足元で、雨だれのような音がn回ほど響く。
ノコペアさんを淡くライトアップしようとした光の輪が、n域一帯に光害をもたらしたようであります。
カシャリンコ。
凹にしては珍しくノコの生態写真撮影です。
ありゃりゃ、でも、ゼンゼン映ってなかったりする。
右手に懐中電灯、左手に携帯電話だと、どうも上手く光を当てられないのです。
うわっと。 ノコ♂が動き出しそうであります。
仕方ないってんで、急いで『ペアを一からげ鷲掴み作戦』に移ります。
鷲掴むなら利き手である右手で...
うむむ、ライトを握ってちゃムリだ。
ってんで、即座にライトを下草の上に軟着陸させる。
真っ暗闇の中、空いている方の右手一本で掴もうとするが、コレがなかなか上手くいかない。
闇鍋状態ぢゃ上手くいかんだろ? > 自分
右手が掴んでいたのは、結局♂の方だけ。
左手の握り締める冗長な機材・・・携帯電話・・・を見詰め、首を捻る凹であります。
引っ込めるべき機材を間違っちょるよな? > 自分
車で移動をし、次に訪れたのは、いや、訪れようとしたのは林のずーと奥に位置する洞々の樹。
林に入る前から既にビビリモードに入っている単独行の凹なのです。
十歩奥へ。
さらに十歩奥へ。
凹をバックアップしていた小さな水銀灯も、やがてその光を届かせない距離となっていく。
それまで昼行灯状態であった懐中電灯が、急に頼もしい存在に変身する。
黄色く野暮ったい光に心を預け、ビビリ屋・凹が歩を進める。
最初の目ぼしい樹。
コクワが数匹くっ付いている。
次の樹。
やはりコクワが数匹。
次の...
歩みの先を窺う。
ダメっす。
外光の届かぬ闇路なのでございます。
懐中電灯の黄色い光を差し込むのさえ恐ろしく思われてしまうのです。
朧に何かを窺いそうな嫌怖感。
得体の知れぬモノならば、いっそ白銀のスパッとした光でスッキリと認めたいのでございます。
僅かに三本の樹だけをチェックする。
早々に踵を返し、闇に背を向けたのですが、勝負はここからなのです。
蹴り採集なのでございます。
一旦は敗走の体を為す復路。
敢えてテンションを溜め、復路での爆発を待っていたのでございます。
跳梁する『ナニカ』と背中合わせ。
復路で心を託すのは、両肩に背負ったボロボロのナップザックでございます。
生身の背中に べったりと闇を張り付かせてガチンコ勝負をするよりも、
コイツにしんがりを執らせて闇の跋扈に甘んじながらも退路を冷静に凌ごうという胆なのでございます。
ガサンッ。
一本目が揺さ振られます。
ガサンッ。
二本目が揺さ振られます。
そして三本目。
ガサンッ。
ウ"ゥゥーーン。
一瞬たじろぎ、次の刹那に狩猟モードのスイッチOn!
空飛ぶアーモンドチョコレート(大粒)を目がけ、光を投じます。
旋回し、近づいては離れる羽ばたきの音。
懐中電灯の光がヤツを捕捉します。
間合いとタイミングをはかる。
突きぃっ〜〜!
懐中電灯の前面でヤツを一突きです。
撃墜されたのは、はたして?
大きなコクワ♀? それとも、ノコ♀?、ミヤマ♀?
むっふ〜ん(喜!)
むっちり太めのノコ♀ちゃん。
それを手に掴んだ瞬間、満足感溢るる心情と入れ替わりに、狩猟的アドレナリンはフッと姿を消すのでございます。
蟲入れの蓋を開ける刻に至り、肩越しに覗く誰かの姿勢をフッと脳裏によぎらせるのです。
居ない誰かを敢えて無視するポーズをとり、ユックリと足早に、銀光の支配するエリアを目指したのでございました。
=結果=
コn 、 ノコ♂♀