12/21 & 22報告

【凹作】


【2003年12月21〜22日】

年の瀬だった。

九連休という正月休みも控えていた。

パパである凹としては、一泊旅行でも良いから九連休中に、家族を何処かに連れ出してあげたかったのである。

 

ところが、あろうことか、お財布が言う事を聞いてくれないのだ。

否、お財布の態度の悪さばかりを非難することはできまい。

責められるべきは、正月になる度にお財布と折り合いの悪くなる観光地の宿泊代の方かもしれないのだから。

 

くれぐれも、家族の旅行である。

クワ採りの都合を全面に打ち出した計画なんぞをぶち上げようものなら最後、非難轟々の憂き目に遭ってしまふ。

この辺りの事情は、全国のクワパパ諸兄に共通のトコロなのであろう。

 

貧乏ファミリーにとっては、ただでさえ難しいハイシーズンの旅行だ。

しかし、その上で更に、シタタカにクワ採り時間の糊代までをもそっと算段できてこそ、優秀なクワパパと言えるのであろう。

 

凹パパはというと...

ダメダメである。

 

正月休み中の旅行計画案は全て頓挫。

結局、千歩譲った代替案として、21日の月曜日に有給休暇をとって県内(神奈川西部)にお泊りに行くこととしたのであった。

 

旅行のメインは、半額セールで入手したチケットを利用して箱根△涌園のプールや温泉を楽しむこと。

△涌園へのアクセスを考えて県西部に宿をとったのである。

間違っても『県西部に行けばクワガタがとれそうだ』との思いから宿の場所を決定した訳ではない。のだ。とは思う。たぶん。

 

 

 

快晴の日曜日。 県西部へ出発。

当初は東名高速道路経由を考えていたが、交通費節約にもなるからと、湘南海岸の眺望を楽しみながら下道を伝って行くことに。

渋滞も無く、快調に目的地に近づいていきます。

 

途中、海っ端のパーキングエリアで休憩。

ここから凹車は内陸方面へと進路をとり、県西部のクワが沢山住んでいそうな(←あくまで凹のイメージ基準)地域へと入っていくのです。

 

△涌園のあるエリアを通り越し、山越え谷越え川越えて。

予定よりだいぶ早く、スイスイと宿に到着した凹車なのでありました。

 

 

晩飯付きで一人3500円の宿なのです。

間違っても豪華とは言えない宿なのです。

でも、並ランクの宿と比較しても、その室内はなんの遜色もない造りなのです。

過度な装飾類なんぞは猫に小判状態の凹ファミリーにとっては最適な宿かもしれません。

 

 

宿の部屋にて一休み。

クワ採りのタイミングを窺う凹...

...で、ありますが、家族サービス第一優先。なのであります(汗)

 

一休みした後、ホテルの芝グランドでジュニア(兄)とサッカーをやりながら、明日の予定を頭の中で組み立てていく凹パパです。

「明日の早朝、家族が寝ている間にスッと起きて、サクッとスジクワを採って自慢気に部屋に持って帰ってこよう。」

明日の筋書きが整ったところで、ようやくと本日のクワ採りへ未練が断ち切れた。

 

こうなれば、アトは今日という一日を思いっきり楽しむことに全力を注ぐだけなのであります。

 

サッカーを楽しんだその次はパターゴルフ。

ちゃんと9ホールあるのだが、その表面がちゃんとしていない。 

度を越した早い芝目なうえ、グリーンなのにフェアウェー部分とハザード部分があるのだ。

擦り切れて芝高0.00mm程度になってしまった年代モノの人工芝カーペットが敷かれているフェアウェーと、コンクリート製のハザード。

オープン当初にはハザード部分もフェアウェー部分と同質のカーペットで覆われていたのであろう。

歴史を重ねる毎にカーペットが千切れていき、やがてはこれだけの広大なハザードを持つに至ったと推測される。

 

1ホールの平均ストローク数は凹ファミリーの誰もが15以上だったが、途中で数えあげなくなったので正確なところは良く判らない。

兎に角難しいのである。 難しいからこそ逆に面白い。

 

カミサンやジュニアーズに対して、手加減せずに本気でやっても対等の勝負になるところがとても良い。

久しぶりにゲームに熱くなった気がする。 ちゃんとしたパターコースならば、これだけ家族ぐるみで熱くなれることはなかったであろう。

 

 

サッカーとパターゴルフ。 思いっきり遊んだら腹ペコだ。

 

宿が自らホームページ上で「晩飯はショボいから覚悟してね」という旨を宣言していた。

「その代わりに米は食い放題だよ」とも宣言してくれていた。

 

つくづく凹ファミリー向けの宿である。

これらの事前情報を基に我々が用意していた作戦は、ありきたりではあるが『米のオカワリを重ねて腹を満たそう作戦』である。

 

が、しかし! 夕食に出てきた米飯はあろうことか半腐り。

ジュニア(妹)は一口食べて吐き出してしまった。

幸か不幸か、凹パパは口に入れる直前、湯気を伝って危険を察知したので、吐き出すことはしないで済んだ。

 

まだまだぜんぜん腹は満たされていない。

 

幸いなことに、この程度の事態は想定済みだった我々である。

事前にスーパーの特売で買い込んでおいたカップ麺を人数分携行していたのだ。

 

部屋に戻って四人で肩を寄せ合い食べる侘しいカップ麺。

否、楽しいカップ麺。なのだ。

 

多少のアクシデントも、ある程度の予測が出来ている範疇でさえあれば、不思議と楽しいものなのである。

要領良く事態をリカバリーしていく自分達を劇中のヒーローヒロインに見立てて、自分達主演の劇を観て楽しんでいるのかもしれない。

 

楽しい雰囲気の中、明日に備えて早めの就寝となったのであった。

 

 

 

さて、翌早朝。

一人早起きを敢行し、「ちょいと行ってくるよ」とカミサンにそろ〜りと告げた凹なのです。

まだ八割方夢の世界の住人であるカミサンは、なにがなにやらといった面持ちで「がんばってねぇ〜(ムニャムニャ)」なぞと言っていた。

 

いつもながらの脱兎のごとくの勢いで車に乗り込む凹作あります。

行き先のアテは...

無い。

一応の目安としては、杉林以外が見えたら兎に角やってみようってところなのであります。

 

スジ、スジ、スジ、スジ。

頭の中をスジクワという言葉だけが駆け巡る。

実は、あ〜さんから、この辺りだったらスジが期待できるかもとの事前情報を頂いていたのでした。

 

スジクワはおらんかね〜。 と、念じつつ、車を駆っていると雑木林が見えてきた。

早く朽木を叩いてみたくって、すぐさまその雑木林に飛びついてみます。

 

んんん、あまりヨサゲな朽木が無い。

いいや、それどころか、枯木自体あまり存在しないのであります。

 

それでも、ようやくと凹斧2号でも刃が立ちそうなヤツを一本発見し叩いてみます。

 

んんん、硬い。

んんん、寒い。

んんん、ダメかな?

んんん、眠いし。

 

めげそうになっていた時、細い食痕が現れてくれた。

 

ホッ。 やっと幼虫を発見。

コクワ幼虫だろうけど、ボーズは逃れたのでありました。

 

この木にタップリ30分をかけて幼虫数頭とコクワ♂成虫一頭を採ったところでタイムアップ。

大満足には程遠いけれど、ボーズではなかったのだから不満ではない...

 

不満ではないのならば、ここでサラッと家族サービスに切り替わるのがカッコいいクワパパなのだろう。

さらに言えば、サクッとスジクワをGETして、軽やかに子供達の前に差し出せたならば、とってもカッコいいクワパパとなるのであろう。

 

で、凹は...

宿へ戻る車中にあっても、まだチラチラとヨサゲな林はないものかと、車道の両脇を窺っているのでありました。

 

カッコ悪ぅ!

未練がましくも帰り道の車中から見かけた雑木林に寄り道をしてしまう。

当然のように、そこに朽木なんぞ有りはしない。 でも、そこに温泉の源泉部を発見!

アトで子供達に見せてあげることにして、予定時間から少し遅れて宿の部屋に戻ったのでありました。

 

 

チェックアウト。

その際、昨日の半腐りの米について訊ねてみたら、昨日停電があったのでその影響だろうとのこと。

小銭程度だったけれど宿代を少しマケてくれたことが嬉しくってルンルンとする凹とカミサンなのでありました。

 

 

小銭を得したことで気分上々。 △涌園へ向けて出発です。

 

△涌園の中でブランチとしたのでは、お財布様が許しちゃあくれねぇ。

という訳で、よりコストパフォーマンスの良いコンビニ弁当を選択し、先ほど凹作が見つけた源泉部近くに止めた車内でブランチといたしました。

 

5分足らずで弁当を平らげる凹。 いつも食べるのが遅いジュニア(兄)は、まだ三分の一も食べ終わっていません。

!(しめた)。

「ちょっと見てくる」と言い残して、車を飛び出した凹なのでありました。

 

某施設の脇に転がっている材を叩いてみたのです。

ヨサゲと思って叩いたのではなく、叩けそうなのがこれしかなかったからであります。

そして、意外にも食痕を見つけてしまったのであります。

 

で、3分程ヤッていたら、なんと成虫が出てきたではありませんか!

そっと繭室から取り出してみる。

 

ん、デカイぞ!?

 

それはそれは大きなスジクワだ!

 

やった!  自分でポイントを探して自分の手で採った初めてのスジクワだ!

兎のように飛び跳ねながら車に戻る凹。

三人に見せる。 車内は大騒ぎ!!!!

いきなり気前の良くなった世帯主から、大乾杯の儀は△涌園に行ってからアイスクリームにて行う旨の通達が出され、更に盛り上がった車内でありました。

 

 

スジクワGETの報を、慌てて あ〜さんにメール。そして...

 

VIPクワガタ(←我が家基準)GETの余韻で浮かれ気分のままに源泉部の見学をしていたら、あ〜さんから素早いお返事が...

 

あ〜さん:それはアカアシです〜

 

どひゃひゃひゃ。

スジクワばかりに頭を占拠されていたから、思いっきり思い込んでしまったのでありました。

どうりで大きいわけだ。 46mmだものね。 それに、脚と腹だってちゃんと赤いし。

しっかし、スジもアカアシも採ったことがあるのに、なんでそれでも間違えるかなぁ>俺

 

 

 

そろそろこの辺で とある疑念にお答えをしておかねば。であります。

 

あ〜さん&S井さんとご一緒させていただいた11月のクワ採りでは、自分が そうなん していることにも気がつかずにS井さんを笑っていたり。

今回では、アカアシをスジと間違えてみたり。 それ以外にも沢山の有り得ないようなアホウっぷり。

 

もしかしたら『採集記でウケようと思って凹作がワザとそういうフリをしているのでは?』と思われる方も多いことかと存じます。

しかして、残念なことに凹は断じて天然なのです。 これは、持って生まれた特殊能力なのであります。

 

自分でも判ってはいるのです。これほど呆れた失敗を続けてしまう大人ってのは余り多くは居ないってことくらい良〜く判ってはいるのです。

一般的には恥かしいとされる性質なのではありますが、凹採集記を書くにあたってはとっても重宝な性質でもある訳なのです。

 

 

 

山越え谷越え川越えて、ようやくと△涌園に到着。

半額チケットにて温泉とプールを存分に楽しんだのでありました。

 

シタタカでスマートなクワパパには程遠いカッコ悪いやり口での採集だった。

でも、万々歳

 

安宿だったけどそれなりに楽しめた。

金が無くても万々歳。

 

ん〜、こんなんでいいのか? 一家の主・凹 舳作。

 

まぁ、いいや。 何はともあれ、万々歳。 ということにしておこう。

 

=結果=

アカアシ♂、 コクワ♂、 コクワ幼虫


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