8/24報告

【凹作】


【2003年8月24日】

クワ好きさんの中には、気が付いたら四輪駆動車を買っていたという方も多いとのことです。

凹作は、『気が付けば四輪駆動車を駆っていた』クチであります。

 

これを仕出かしたのは、もう十年程前の事。

今もまだ乗り続けているワゴンタイプのボロ愛車を買ったときのことでありました。

 

車の仕様等について若干疎いところのある凹作は、新車を手にしてはみたものの、

それがFFなのやらFRなのやらも気にしていなかったといった始末。

 

数ヶ月間乗り回した後、ふとしたきっかけで、愛車内に4WDの表記を見つけてしまったのです。

驚いたのなんのって。

 

その当時の凹作の認識では、4WDというのはジープのような形の車だけに備わっている装備であり、

少なくともワゴンタイプの我が愛車とはまったく関係の無い駆動形式と思っていたからです。

 

4WDを欲しくて買ったのでもないし、ましてそれの本当の有り難味なんぞ、カラキシ判っていなかったのですが、

それでも、予期せぬ機能が備わっていたことに嬉しさを感じたのを覚えております。

 

 

 

Oh!夏休み最終日。

凹作は一人でこの四輪駆動車を駆っていたのでありました。

目指すは、三浦半島を縦断する私鉄路線の終着駅。

先ほど最寄駅まで車で送ってあげた凹ジュニアーズ&ママは、その私鉄を利用して終着駅を目指しています。

一旦、車組みと電車組みに別れ、終着駅で再び合流する作戦なのであります。

テッチャンでもあるジュニア(兄)への凹作からの粋な計らいという訳なのです。

 

 

ついに最終日の今日に至るまで、目ぼしい成果もあげることなく終わろうとしている夏休み。

そんなこの日のお題は3つ。

 

車組である凹作パパが電車組よりも先に終着駅に辿り着くのが第一のお題。

二つ目のお題は、城ヶ島でのサビキ釣りで鯵をGETすること。

そして、凹的メインであり、夏休みを通して・・・というよりもシーズンを通して・・・の命題でもあるカブ殿探し。

であります。

 

 

高速道路に乗っかって、四輪駆動車で一人ひた走ります。

途中の料金所には、凹作ファミリーが賽銭箱と呼んでいるボックスが設置されています。

 

『三つのお題が成就されますように!』

 

車の神様と海神様、そしてクワ神様に祈る気持ちで通行料金の300円をそのボックスに投げ込みます。

 

 

30分後、300円の賽銭のうちの100円分の願いは無事成就。

凹作より遅れること約10分で終着駅に到着した電車から、凹ジュニアーズ&ママが降りてきて無事合流です。

 

 

次は海神様。よろしくお願いします。

と、そうそう一般庶民の願いがことごとく成就するはずもなく、

次の100円分のご利益はゴンズイ(スズメバチ級外道)3尾だけでありました。

 

釣りの後、夕食にと入ったxx港界隈の家庭料理風のお店では、

ブリ照り焼き、鮪カツ、鮪ユッケ、鮪ズケ丼を注文。

全品100円での祈願成就、、、いやいや、ちゃんと正規のお勘定をして海の幸を堪能させていただきました。

 

 

さぁ、大詰め。メインであるカブクワタイムに突入です。

車にて、xxxxを目指しての大移動です。

 

途中、昨年ノコギリを拾った灯下に立ち寄ってみます。

おぉ、居る居る!

黒光りも油々しい4頭のゴキブリを発見。

ええと、1頭あたりにすると賽銭25円分になる勘定、、、

ええぃ、違ぁ〜う!

特殊能力集団・凹作ファミリーをもってしても、油々しいヤツラを相手に御利益とみなすことは さすがに出来ません。

 

気をとり直してさらに近くのスイカ畑界隈に潜入です。

商品になりそうな新しいスイカがあるところは避けて、古くなったグズグズのスイカが置き去りにされているような区画を選びます。

しかし、暫し粘るも成果無し。

 

 

目線を水平にまであげてみた。

 

燦々と降る太陽の下、清々しい正の絶対値で溢れていたであろう田園地帯。

把握できない程のスペースの広がり。

 

頼りない星明りに翳される闇の時間帯に、この風景への心象は一変させられてしまっていた。

 

見通しの良さが、かえって取り付くしまの無い不安感というモノを萌芽させる。

ヒタヒタと迫ってくる感情をはぐらかすかのように、無防備に開かれた広大な黒い空間へ背を向けてみる。

 

顔を向けた先から、鬱蒼とした傾斜地に遮られて行き詰まりとなっている地帯が目に入ってくる。

 

目を凝らすと、そこにはポツン佇む白い影が。

闇の霞越し、微かに認めたのは何かの作業場のような怪しげな小屋。

 

惹かれるようにそこに向かっていく。

 

白い小屋に突き当たり、歩を止める。

 

...。

 

明らかに農作業小屋だ。怪しげでも何でも無い。

 

怪しげなのは、人の農地で勝手にビクビクとした行軍をしていた凹作達の方でありました。

 

 

小屋の正体が判って一安心。

チョッピリ気が大きくなって、小屋の裏手に回ってみる。

 

裏面は漆喰のような白い壁であります。

懐中電灯でツツーっと表面をサーチ。

 

おっと!居てくれました。

壁面をトコトコと歩いていたコクワ♀であります。

 

これでボーズは無くなりました。

とりあえずは、最後の100円分のお賽銭のご利益をGETです。

 

 

ボーズ段階のような苦しい時には、神頼みでも何でもして、とにかく一頭を目指したくなるのが大方のクワ庶民でありましょう。

そして、苦しい状況から逃れたとたんに気が大きくなって、自分の力だけを頼りにやっているような心境になっていくのもクワ庶民というものでありましょう。

 

『自分達の手でカブ殿をGETしてやる〜』

 

気概充分の凹作一行は、さらに大移動をして、昨年コクワを採った街灯を目指したのでありました。

 

 

時刻は既に夜の9時を回っています。

普段の凹作一行ならば、帰りの移動時間も考えると、既に尻尾を巻いて帰途についている時間であります。

しかし、なんせこの日は区切りの日。

今日、なんとしてでもカブ殿と巡りあい その嬉しさを最後の最後に分かち合いあいという気持ちは、四人の共通のところだったのであります。

 

 

畑の中を走る道路。

昨年コクワ♂を灯下でとったポイントで、ほとんど同じような場所にコクワ♂を発見。

 

次の灯下でも同じような感じでコクワ♂。

 

更なる灯下では、カブ♀殿と間違えるような大きいコガネムシの類を発見。

同じ灯下で、カブ殿の足を発見。

 

コンクリの上でこれだけ採れるのだ。

やはり、凹作の住む近所とはゼンゼン虫の濃さが違うようだ。

これでこそ、遠征した甲斐があるというものだ。

 

このままカブ殿との出会いは来年への宿題となってしまうかもしれないけれど、

それでも、ショボいヤツらでも、発見をし続けている今この時がとっても楽しいぞ!

 

 

海沿いの道路上、XX霊園の標識が見えてくる。

いよいよ この日の本命ポイント界隈に到着だ。

 

目指す街灯は、たぶん次の角を曲がった先、、、

おっと、入るのが角一つ早すぎたようであります。

 

ありゃりゃ、なかなかターンを切る場所が見つからない。

海辺の小さな住宅街の細い道。

なんだか、ずいぶんと無駄に登って行ってしまっている。

 

微かな焦りを隠すかのように、ジュニアーズとカミサンに悟られぬ角度でチラリと時計を覗く。

あぁ、もう夜の9時半過ぎ。

一行の隊長として、そろそろ、終焉の鬨を告げねばならない。

 

寂しさと苛立ちが、ターン場所選択のタイミングを誤らせたようだ。

 

ステアリングを急角度で回したその先は、思いのほか奥行の無い場所であった。

 

仕方なく、数度の切り返しを覚悟する。

 

 

普段の採集行よりも少し遅い時間帯であることが、背伸びをしたい盛りのジュニアーズには嬉しいようで、

相変わらずのハイテンションを保ったまま後部座席で忙しなく動き回ったりオフザケをしたりしている。

 

車の後方を直視で確認しようとする凹作の視線を、ジュニア(妹)の頭が遮る。

 

う〜ん、うざったい。運転の邪魔だ。

しかし、せっかく楽しく騒いでいるのだからと仏心で文句も言わずに切り返し作業を続ける。

 

『ガッツン!』,『ガコッ!』

賑やかな車内を、大きな音と共に若干の落下衝撃が襲う。

50cmはあろうかという段差を見逃していたのだ。運転ミスだ。

 

恐る恐るアクセルを踏み込む。

スタック。

しかも、前方10cmの地点はコンクリの高い壁。

 

車を降りて状況確認。

マフラー部分が段差の上側に乗っかっている。

そして、両後輪は段差の下側の窪み中にあり、空回り状態になっていて上手く地面をグリップできていない。

 

子供二人を抱えた遠征だ。虫採りどころの話しではなくなってしまった。

とりあえず、カミサンとジュニアーズを安全な少し離れた明るい場所に退避させる。

 

そうだ。 我が愛車は、『気が付けば四駆』なのだ。

前輪のポテンシャルに命運を託そう。

スタック打破へ向け、長期戦の覚悟を決める。

これでもう、採集のラストチャンス分の時間は費えてしまうだろうけれども...

 

 

あぁ無念、、

それにしても、なんて情けない幕切れだ。

 

 

少し離れた場所では、ジュニア(兄)が、道路標識を『蹴り採集』よろしくガンガンと蹴飛ばしている。

腹立ち紛れか、はたまた『蹴り採集』の練習か?

まぁ、そんなことを気にしている余裕は、その時の凹作には全く無かった。

 

 

「なんか落ちたぁ〜? セミぃ〜?」

微かにカミサンの呟きが耳に入った気がしていた。

 

「カブトだ〜! カブトの♀が落ちてきた〜〜〜!!!」

住宅街に響き渡りそうな大声でジュニア(兄)が叫ぶ。

 

どうやら、ガンガンと揺さぶられた道路標識に煽られて、その近くの茂みからカブ♀殿が落下してきたようである。

パパの苦境を尻目に、三人は嬉しさ大爆発!

 

一人あぶら汗を流している凹作、、、と思いきや、、、

一緒になって嬉しさ大暴発していた(;^_^A

 

大人である自分が置かれている今の状況をちゃんと直視しましょうね> 一家の主・凹

 

 

さあさあ、後はこの車の状態をなんとかせねば。であります。

車の神様、海神様、そしてクワ神様。何卒、ご加護を!

 

微かに漂う海辺の街の夜風の匂いが、イランイランやマージョラムを凌ぐアロマテラピー効果となったようであります。

冷静を注ぎ込んだステアリングと渾身のアクセル操作が、車の神様のご加護を呼んだのでありましょう。

なんとかスタック状態から逃れることができました。

 

嬉しさをブン巻きながら、雪崩れのように車内に戻ってくるジュニアーズ。

破顔のカミサンも続いて戻ってきた。

 

四輪駆動という今まで意識していなかった機能に救われた!

そして、全く予期していなかったクワ殿の出現に舞い上がった!

偶然に道を間違え、偶発的に車のスタックを起したことが呼び込んだ幸運。

クワ神様、この幸運をありがとう!

 

ゲームセット寸前。劇的な大逆転勝利。

 

 

意気揚揚と乾杯の儀用のジュースを求めてコンビニを目指す四人。

しかし、なにやら、また道を間違えたようであります。

10分ほど小道を突き進んだそのドン突き行き止まりは...

 

XX霊園の正門。

ドキリ。

 

カミサンとジュニアーズは、何の門なのか気が付いていない様子。

ここでドライバーに焦りの色が浮かんだならば、

同乗者一同にもそのオーラが伝わってしまいます。

 

微かに握った脂汗の湿り気感。

それを感じていないものと故意に思い込みながら、、、

そして、飄々とした面持ちを演じつつ、、、

それでいて、先ほどの二の舞だけは避けるべく慎重に、、、

 

ホッ。 ターン完了。

 

 

コンビニでは、特別にお菓子付きでジュースを購入。

大乾杯の儀とあいなりました。

 

 

足柄惨敗で始まり、そのままの調子を堅持しながら過ごしてしまった8日間と最後の一日。

高校野球風にプレイバック。

 

 

1回表・・・・凹作チーム、三者凡退(足柄初日惨敗)。

1回裏・・・・ピッチャー凹作、打ち込まれて冷夏コールド負け寸前。

        なんとか失点9で踏みとどまる。

 

2〜8回・・・まったく点を取れずに膠着状態。

 

9回表・・・・2アウトランナー無し。

        エラー(道に迷う)、死球(車がスタック)、四球(偶然灯下で待機)で満塁に。

        次のバッターはお兄ちゃん。

        その時、ボーク(掟やぶりの標識メチャ蹴り)が有り、棚ボタで狂喜の一人生還(カブト♀GET)。

9回裏・・・・懸命に凌いで(スタック脱出)試合終了!

 

 

って、これじゃあ1対9で負けだろうって?

ノンノン。 10対9で凹作チームの勝ちなのさ!

 

なぜって?

 

そりゃぁ、カブト♀1頭につき10点っていうルールを凹作が決めたからさ。

 

さしもの+ベツネさんだってそんな無茶を言わないだろうって?

うん、うん。G党・凹作も、そう思うよ。

 

でもね、誰がなんと言おうとも、『全人類 − 4名』の人達がこぞって口を揃えようとも、

凹作ファミリーにとっては、あの1頭の嬉しさは10点分だったの。

 

惜しげも無く世界中に対して自慢できる、心底嬉しい至極の1頭だったの!

 

 

カブ殿、

劇的(←我が家基準)フィナーレを飾っていただいて感謝でございます。

貴殿のお陰をもちまして、最終日の格別であるこの一日は、

改題したシリーズ名を名乗らせていただくこととなりました。

又、貴殿の呼称につきましては、『殿』から『ちん』へ逆戻りだからね!

 

お〜夏休み!

素晴らしい思い出をアリガトね、カブちん。

 

=結果=

コクワ少々 / 外道(カブちん♀)


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