7/15報告

【凹作】


【2003年7月15日】

日頃から、決してダイナミックとは言いがたい働きップリの凹作。
この日は、社長様への直々の報告会を午後に控えていたのでありました。

報告会開始まで後2時間足らず。
凹作にとってのトンデモ一大事だというのに、まだ資料が出来上がっていないという大ピンチ状態です。

珍しくピリリとした面持ちで仕事に立ち向かう凹作。
そんな最中に届いたのは、凹ジュニアーズ(兄の方)発の携帯メールだったのです。

『きょうの夜にぜったいにノコギリに連れていってください。』

う〜ん、このピリピリとした鉄火場に、何という嬉しいメールを送りつけてくれやがるのだ!
お兄ちゃんがこれ程までノコに熱くなっていたとは、凹作パパも察っしてあげることが出来なかったのであります。

油の切れかかったオツムをレッドゾーン寸前にまで無理繰りブン回し、死に者狂いのラストスーパートで資料を完成。
でも、その目元を占拠し続けていたのは、どうにも抗い難い微笑みだった凹作なのでした。

目元に湛えた柔らかな微笑みが功を奏したのかどうかは判らないが、 報告会の方は、何とか予定通りスラダラすいすいスィ〜と無難にくぐり抜ける。

さあ、お兄ちゃんが待ちわびているであろう自宅へダッシュでご帰還です。


帰宅すると、カミサンから、お兄ちゃんの入れ込みっぷりの報告があった。

「自分一人ででも(今夜)ノコを探しに行きたいから、車で送り届けてくれ」。
「暫くしたら携帯電話するから、車で迎えに来てくれ」。

こんな訴えをしていたとのことである。
ポイントは連続した坂道の果てにあるから自転車では行けないのだ。

家事に忙しいカミサンへの依存を最小限にしつつ自分の願望を達成させる為の窮余の案だったのだろう。
ん〜、いぢらしくも勇敢なお兄ちゃん。
ノンビリタイプかとも思っていたが、彼も一歩一歩成長しているんだなぁと実感してしまふ。
けなげな自立っぷりのご褒美として、五年生の彼に原チャリをプレゼントしてあげようか?なぞと思ってしまふ凹作なのでありました。


さてさて、夕食を3倍速早送りで詰め込んだ凹作。
さっそく、お兄ちゃんへ出発の号令をかけます。

凹:「行くぞ〜〜」。
兄:「...」。

あり? 返事が返ってこないのであります。
移り気な小学5年生は、ポケモ■のTV放送に夢中になっていたのでありました。

日中までのクワへの入れ込みは何処へやら?
今度は、凹作の方がお兄ちゃんを待ちわびる格好だ。

おや?
ポケットの付近に何やら付いている。
ちっちゃな黄金虫だ。
車庫ヒラタには遠く及ばないが、家で甲虫が採れるのだからやはり幸先が良いってぇモンでありやス。
なぞといった事を考えつつもジリジリと待つこと数十分。

ようやくポケモ■の放送終了時間です。
すると、何て変わり身の早いヤツでありましょう。
瞬時にタタ−っとクワ採りモードに突入のお兄ちゃんなのでありました。


と、いつもの如くのチンタラ前置きを乗り越えて、ようやく採集の行へと進んで参る凹作採集記であります。
お兄ちゃんと二人でご近所ポイントを攻めて参りましたので下記に報告を致します。


この日の当地は、小さな羽虫の舞うカナリいけそうな雰囲気。
期待を込めて樹々を見てまわる。

一本目、、、ホ をGET!
二本目、、、、゛ をGET!!
三本目、、、、、ー をGET!!!
四本目、、、、、、、ス をGET!!!!

まずい。
ポイント奥の折り返し点近くまできて、未だボーズ街道驀進中だ(コクワ見逃しを少々だけだ)。
だんだんと寂しげな表情になっていく お兄ちゃんの心中を思うと不憫でならない。


背水の折り返し点直前。
すがる思いで数本目の樹をライトアップしてみる。
居るのはクワガタか?はたまた、『濁点』か?

下の方の洞から順番に探り上がっていく凹作。

!。手の届かない上方の隙間に、細長い歯が光っています。
しかし、歯の細さからしてコクワ♂にも見えるのであります。

棒で突付き落とそうかと躊躇している凹作。
すると、、、

「居たぁぁぁ! ♀のノコギリぃ〜」。

お兄ちゃんが、樹の下の方にノコ♀を発見です。
う〜ん、でかした我が愛息!であります。

どれどれと、確かな♀判定眼(←無論、我が家基準だ)で検分を行う凹作。
「うむ!」
凹作にでも簡単に見分けが着くほどにノコの特徴が色濃い♀でありました。

これ程までにノコギリ然とした赤い♀を、何故に見落としていたのだ?> 自分

否、取り沙汰すべきは、自分の『低採集視力』の方では無いのであります。

昨年の凹作一行では見逃していたであろう難しい位置に居た獲物。
きっと、お兄ちゃんの『採集視力』の成長が、その発見を可能にしたのでありましょう。


『濁点』逃れのノコ♀GETに浮かれていた二人。
つい不用意に先ほどの長細歯クンをダイレクトライトアップしてしまったぁ〜!!

「ポロリ」。

案の定の擬音を残し、足元の落ち葉の中に埋もれていく正体不明の長細歯。
あぁ、これは見つからない。 可愛そうなお兄ちゃん...
と、思っていたのはパパだけであったようです。

冷静に着地点を見極め、サクっとそれを拾い上げるお兄ちゃん。
正体は、赤い中歯型ノコ♂だったのでありました。


折り返し地点。
凹作が樹液に着いたコクワにばかりに気をとられているうちに、
根元付近に泊まっていた大歯ノコ♂をサクッと見つける広角視野なお兄ちゃん。
もう、この日はお兄ちゃんの独断場なのでありました。

うむむ、いつの間にやらずいぶんと腕を上げているゾ!お兄ちゃん。

やがては背が伸び高い洞にも手が届くようになり、、、
原チャリの免許もとれるようになる、、、

考えてみれば、今はまだ物理的諸条件が異なるっていうだけの話でありまして、
『採る』という本質においては、既に自立したライバルなのであります。

5年生はノコギリを採りたいから5年生自身の力でもってノコギリを採る。
ノコギリをロストしたからといって、パパがでしゃばって不憫に思ってやるのは、本当はもう季節外れの心持ちなのでありましょう。


ポイントの復路。
出口辺りで更にもう一頭大歯型を追加。
またしても発見はお兄ちゃんだぁ〜。

ふぇ〜、やはり、これはもう完全に『不憫に思う』なぞといった上から見下ろす立場ではないぞ!
対等。
否、採集眼力においては、既に追い抜かされているのであります。



幼虫は蛹に変態する。
蛹は新成虫へと変わっていく。
変化は理。

愛息が纏う長足の理。
そのスピードは大人の比ではないことくらい頭では理解しているつもりなのだ。
でも、それを感覚的には理解しきれていないクワパパ・凹作なのであります。

今はまだ子離れしきれていない凹作にも、そのうちに必ずや然るべき変化はやってくるのだ。
理は子供限定のものではないし、ましてやダイナミックな人達だけの特権でもないのだ。
不惑前の一般人・凹作だって、まだまだバージョンアップしていくのだ。

この日の凹作。
ようやくコクワサイズ以上をGETできたのは、採集帰りの玄関の前。
それも、触覚長めのキーキーとうるさいヤツでありました。

早く自分も子供から独立せねばと思う凹作なのでありました。

=結果=
ノコギリ♂3♀1、コクワ少々、カミキリ1、コガネムシ1

 


戻る