01/11/3

福島

【今世紀初】

今年の夏、何度か行きかけた福島であるが、とうとう一度も行かなかった。待ちに待った・・・という状態はとっくに過ぎていて、あきれ返るような状態であった。シーズンも過ぎ去り、捨て鉢になっていたのだが、ここでtubasaさんからお誘いがあり、ついに今世紀初の 福島に行くことになった。

すでにヒメオオの楽しみも何もないのだが、今回は思いっきりオオクワ狙いだ。そして、やっとFrontierに顔を出せる。去年の9月以来、この焼肉が食べたくて仕方なかったのだが、とうとうそれも実現する。狂牛病の騒ぎなどクソ食らえだ。ここの焼肉なら狂牛病と刺し違えたっていい。(^^;) (Frontierの肉は大丈夫です!)

ということで、1年と2ヶ月ぶりに足を踏み入れることになった。遠出も東北遠征以来だし、とにかく何もかもが久しぶりだ。


【出発】

5時に家を出て、栃木県のtubasaさん宅に向かう。車に乗ってテレビを見た瞬間、思いっきりショックを受けた。なんと西と北から雨雲が来ていて土砂降りになるらしい。(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)

どこをどうやってみても確実に雨になるようだ。雨の中の採集を覚悟しなければならない。11月3日って晴れの特異日じゃなかったっけ? 午後から降り出すということなので、午前中が勝負になる。

首都高は順調に進んだのだが、東北道に乗った瞬間、いきなり混雑が始まった。やけに交通量が多く、あまりアクセルを踏めない。岩槻を過ぎても加須を過ぎても全然交通量は減らない。(T.T) とうとう鹿沼までこの混雑は続き、とてもストレスの溜まる行程であった。

tubasaさんをピックアップし、車を走らせる。いよいよ近づいてきた。

相変わらず交通量は多く、すんなりと行けない。紅葉シーズンだから仕方ない。

紅葉も終わりかけ

福島に入り、懐かしい光景が広がってくる。あ〜〜〜〜〜、やっとここに来れた!!

とても嬉しい。

山々はすでに落葉が始まっていて、冬の景色に変わっている。気温は7度。なかなかの寒さだ。

いつも非常識な時間に走ってガラガラの国道は、今日はとってもノロノロ運転だ。何台も車が連なっている。こんな光景は初めて見た。

そんなこんなで、ようやく目的地に到着。ここから山に入る。福島で使おうと思って買った長靴はここに来る前にオシャカになってしまった。今のは二代目だ。二代目にして初めて目的が果たせる。


【あれ?】

さて、山に登り始めた瞬間、途端に身体がキツくなった。あれ?

全然足が動かない。あれあれ???

あれだけいつも小型種で崖を登ったりしていたのに、今日は数十メートルで完全に息が上がってしまった。信じられない。足全体に乳酸が凝り固まっている。全く前に出ない。こんなのあり?神奈川の採集を思い出してしまった。

登り始めにいきなり休憩だ。(^^;;; tubasaさんも不思議そうだ。励まして下さるのだが、ほんとに苦しい。これは貧血か? 完全な運動不足らしい。

と思ったが、荷物を持っているからだということに後から気づいた。

何度も休憩を取りながら登るので、思いっきり時間がかかってしまう。

冬の景色

ポイントが近づいてくるのだが、いっこうに足は動かず、tubasaさんに先に行っていただくことにした。実はさっきから小型種の材が気になって仕方がない。(^^;) ツヤハダ材もルリ材もふんだんにある。小型もずいぶん久しぶりなので、これもやりたい。(^^;)

なので、途中にある材をちらほらと物色しながらゆっくり登ることにした。

ルリの産卵マークなども確認したが、これはあとのお楽しみにとっておこう。

視界が急に開け、いい感じの場所に出た。といっても、小型種にはもってこいのシチュエーションなのだが・・・(^^;)


【到着】

オオクワと小型は違うという頭があったので、ここがポイントだと聞かされた時にはかなり意外な感じがした。しかし、このあたりのオオクワが育つには、やっぱりこういう環境しかないわけで、これはどこに行っても一緒だろう。オオクワだって小型種だって同じクワガタだ。

藪をこいで、目的の木に到着した。

ポイント到着直前のtubasaさん

写真中央の枝の向こうに見える立ち枯れが問題の木だ。ぱっと見は、ごくフツーのルリ材だ。いや、ぱっと見だけではなく、完全なルリ材であった。中まで削ればアカアシが出るパターンだ。こんな材ならこれまで小型採集の時に腐るほど見てきた。そんな材でオオクワも育つのか? しかし、オオクワが入るとすればやっぱりこういう材しかないだろう。自分としては、どうしてもこういう材とオオクワを結びつけて考えることができなかった。

キノコ

こういうのもよく見るキノコだ。この木からオオクワ幼虫が出たらしい。

準備も終わり、さっそく削ることになった。

しかし、こういう材にナタを入れる前に必ず確認するのはルリの産卵マークだ。これは完全に条件反射だ。(^^;)

近づいて見てみると・・・

うっしっし。(^_^)

あるわあるわ、ルリがいっぱい産んでいる。(^o^)

ついに小型種シーズン到来だ。オオクワそっちのけで、さっそく表面を削ぎ始めるあ〜であった。(^^;)

ところが予想に反してルリは出ない。

材としてはとってもオイシイはずだ。食痕はあるので間違いなく出るはずなのに・・・

最後にルリを採集したのはいつだっただろう? どうしてもルリの成虫が見たい。

 

ひたすら表面を削ぐ・・・・・出ない。(T^T)

 

削ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・出ない。(T^T)(T^T)

 

削ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・出ない。(T^T)(T^T)(T^T)

 

削ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ”!!!

 

頭の中が真っ白になった。

あ”!!!には二つのショックがあった。

削いでいたにもかかわらず、いきなり出てきた黒い虫を真っ二つに割ってしまった。

そして、その虫の背中には、くっきりと点刻が並んでいた。(ToT)(ToT)(ToT)

 

「どうしました?」とtubasaさん。

「真っ二つです」とあ〜。

あ:「オオクワです」

tu:「えっ!! 幼虫ですか?」

あ:「成虫ですぅ〜〜〜〜〜。(ToT)(ToT)(ToT)」

tu:「っっっっえ〜〜〜〜〜〜〜〜?!!」

下の材を削っていたtubasaさんが慌てて飛んでくる。震える手で写真を撮っている。それを呆然と見守るあ〜。

tubasaさんもオオクワ成虫に大興奮だ。やっぱりオオクワってすごい! そのオオクワをあ〜ちゃんは真っ二つにしてしまった。なんて贅沢な・・・(・_・、)

蛹室の外からでも一瞬でオオクワとわかる

劇的な生涯初材割採集オオクワ成虫は、何の前ぶれもなく現れ、そして真っ二つになってしまった。ルリ狙っててこんな状態になるんだったら、オオクワ狙ってたら跡形もなく吹っ飛んでいたのだろう。

いや、これまでそうやって吹っ飛ばしていた可能性の方が高いかも・・・(^^;;;

真っ二つにしてしまったものの、生まれて初めて見る蛹室内のオオクワはやはり感動的であった。でも、あまりにもビジョンと違う。(T^T)

サイズは30mm台前半の小型個体であった。これが本日1頭目のクワガタだ。

それにしても、こんなアカアシも食わないようなショボいところに入っているとは思わなかった。ルリ狙いでオオクワを潰してしまった人はあまりいないだろう。(T.T)

ごめんちゃい。(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)

まだまだ元気に動いている姿が痛々しい。ルリ狙いの慎重な削り方でこうなってしまったのだから、これは仕方がない。←言い訳。(T^T)

それからまたルリ狙いで削ぎ始めたが、このオオクワの横っちょからようやくルリの幼虫が出た。しかしとうとう成虫は出てこなかった。どうして狙ったものと違うものが出るかなあ。今回のは究極だろう。(^^;)

それから今度はオオクワ狙いに切り替えた。

永谷園の松茸の味お吸い物の匂いが立ち込める。すぐにコクワの幼虫とアカアシの成虫が出てきた。

足が赤い

あっという間に4目が出たことになる。

アカアシ♂

永谷園を叩いて疲れてきたらルリを狙うという作業を繰り返す。ルリの成虫どころか、クワガタが全く出ない。

そうしているうちに、tubasaさんがあれよあれよという間にオオクワ幼虫を数頭出した。立派な体格はさすがにオオクワだ。


【小型種】

それから先ほど見つけておいたルリ材を削りに行くことにした。産卵マークが狂ったようについている。

いっぱいある

しかし、削いでも削いでも出てくるのは食痕だけで、ルリの姿は見えなかった。かろうじて幼虫が出たくらいだ。

オオクワより難しいなんて・・・(^^;)

ついにルリの成虫を出すことができなかった・・・

そのあとツヤハダ狙いで赤枯れを削ってみた。おびただしい食痕があるものの、出てきたのは死骸が1個だけであった。幼虫すら入っていない。これはいかにもツヤハダらしいパターンだ。

続いてマダラくん狙いで材を擦ってみる。これは疲れる。2分で飽きてしまったのでやめてしまった。もちろん何も出なかった。(^^;)

最後にオオクワ狙いで見た大木にはでっかい食痕はあるものの、主はいない。

でか

残った紅葉を見ながら山を下りる。途中のツヤハダ材などが気になって、ちょっとだけ叩いてみるが何の成果もなし。

まだ紅葉が残っている

ツヤハダいない・・・

次回の場所を物色しつつ、ポイントをあとにした。間違いなくイケるだろう、という場所を見つけた。今度は♂を・・・というか完品で出したいものだ。(T^T)


【待ちに待った・・・】

帰りに土産もの屋で買物をした。どうやら今年はこの土日で店を閉めるらしい。もうそんな時期か。確かに尾瀬が閉鎖されればこのあたりで店を出しても意味がないだろう。檜枝岐もこれでようやく人口密度の低さ日本一の実力を発揮する季節となる。

それからFrontierに向かって車をすっ飛ばした。ず〜〜〜〜っと食べたかった焼肉がやっと食べられる時がやってきた。

顔を忘れられているかと思ったが、そんな心配は一歩店に入った瞬間に吹き飛んだ。いつものような手厚いもてなしに心が温まる。お店の人と話していると、1年以上時間が空いていたという感覚が全くなかった。つい先週来たような錯覚に陥ってしまう。

当たり前だが、焼肉は最高だった。ひっきりなしにバクバクと食べた。これで採集に行けば貧血になどならないだろう。(^^;)

店を出たところで雨が降り出した。東京では午前中から降っていたようだが、それを考えるととてもラッキーだった。

中山峠を走るときは何故かいつも雨だ。あそこは路面が濡れている印象しかない。

帰りは紅葉客で大渋滞が予想されたものの、この天気予報で出足が鈍ったらしく、道路はガラガラであった。一ヶ所だけ正面衝突の現場で混雑があったくらいだ。順調にtubasa邸にたどり着いた。

ベタ道で帰ろうかとも考えたのだが、居眠りしそうなので高速に乗った。土砂降りの高速は佐野から渋滞が始まり、結局浦和料金所まで全部渋滞であった。それから三郷に出てベタ道を帰った。外灯採集でもできればいいのだが、この時期の帰り道は何もすることがなくてとってもヒマだ。


【おわりに】

今回はtubasaさんの努力のおかげで、オオクワが入っているとわかっている材を削らせていただき、生涯初のオオクワの入っている蛹室を見ることができた。連れて行っていただいて削っただけなので、tubasaさんが出すべきところを間違えて自分が出してしまっただけだ。(^^;) ビジョンとはえらい違う出し方であったが、やはり蛹室内のオオクワを見ることができたのは貴重な体験だ。

オオクワのいる山

今度は千葉や茨城で 食痕→蛹室→オオクワ完品 というストーリーで採集記を書きたいものだ。何年かかっても書けないが、その難しさもまたオオクワ採集の魅力だろう。

でもやっぱ下手なだけか。(^^;;;


今回の成果(二人分)

コクワ:1♂、幼虫2頭くらい

アカアシ:1♂、幼虫2頭くらい

オオクワ:1♀(真っ二つ)、幼虫4頭くらい

ルリ:幼虫数頭

ツヤハダ(原名):死骸のみ


2001.11.6