秋田県、山形県、宮城県
【宿題】
さあ、せっかくこんなところまで来ているんだから、何とかして山形産と宮城産のヒメオオを採りたい。実績のある場所を調べて採れば簡単なのだが、偏屈なのでどうしても聞いたことのない場所を探してしまう。
目標は今日中に山形産と宮城産を採集してしまうことだ。しかし、昨日のようなペースではとても無理だろう。
今日は相性のいい秋田からのスタートだ。午前中に山形まで行って採ってしまって、午後一から宮城に入れるようにしたい。そう言えば秋田でゆうべ灯下回りをしている人がいた。もしかしてこのあたりもオオクワポイントか?
今日もとてもいい天気だ!
遠くに日本海が見える。すっごいきれいだ。
なんともきれいな・・・
何だかクワガタの写真より風景の写真の方が圧倒的に多い。(^^;) 載せてる写真はクワガタなのだが、うちにある写真は全部風景写真だ。(^^;)
地球は丸い
ブナ帯を横に見ながらグイグイと標高を上げていく。途中でちらほらとヤナギも見受けられるのだが、ヤナギのある場所にはブナやミズナラはなく、まるで南総のような風景が広がっているだけだ。う〜〜〜〜ん、苦しい。
さらに標高を上げると、もっと植生は貧弱になった。(+_+) が〜〜〜〜、ダメだ。
しかし、とっても綺麗な風景が目の前に広がった。地球が丸いことがよくわかった。
ほんとにいい風景だ
標高を下げてヤナギがなくなると、ミズナラの大木などがたくさんある。ん〜〜〜〜、中途半端!
とうとう今日もボーズのまま山を下りた。相性のいい秋田でもアウトだ。まあ、これは山形の練習っちゅーことで。(^^;)
んでは本番の山形へ移動しませう。
再び山形へ戻ってきた。田んぼの中の一直線の道をひたすら山へ向かって走る。
このあたりの車は極端に速いか極端に遅いかのどちらかだ。
そして地元ナンバーの確率が非常に高い。これには驚いた。だいたい近隣のナンバーか習志野や練馬などの首都圏のナンバーが時々混ざっているのが普通だが、ここの車はほとんど全部が地元ナンバーだ。こんなのは初めて見た。
いよいよ目的の山が近づいてきた。地図を確認しながら走っていたのだが、全然道に標識がないのでどこに向かっているかわからない。ちゃんと走っているつもりだったのだが、突然砂利道になり林道へ入ってしまった。ミズナラがいい感じで生えていてリスが目の前を横切る。
林道へ紛れ込む
しかし、標高が上がりそうになかったのと、ヤナギがなさそうだったので、ここは引き返すことにした。
ほんとはもうヒメオオを採集して宮城へ向かっていたい時間だ。
一旦、山を下ってさらに別の山に向かう。
今度はなかなか快適な道で、すんなり目的地へ行けそうだった。
ところがまたまた分岐点で標識がない。いつの間にか行き止まりになった・・・
再び分岐点に戻り、別の道に入る。
ちらほらとヤナギが出てくる。
ほんとにいい天気だ。
空の青!!ヤナギの緑!!・・・
黒が見たい・・・
うぐぅ〜〜〜、黒いのが欲しい!
ここもさっきの山と同じように、発生源となりそうな場所にヤナギはなく、ヤナギがある場所には発生源となるような木はない。いいところまでは行ってると思うのだが、とても苦しい展開だ。
雪の残る山を見ながらさらに標高を上げてみた。ちらほらとヤナギはあるものの、やっぱりブナがない。仕方ない、諦めよう。
雪が残っている
トボトボと山を下りる。グネグネ道を下っていく途中にヤナギがあった。
カブちんがついていた。(-。-;)
何でお前やねん。(+_+)
ほんとにどこにでもいるヤツらだ。
この山から抜け出そうとしたのだが、また道に迷ってしまった。このあたりの道は砂利道でも平気で地図に乗っているらしい。間違っているかと思うと、実は正しかったりして、とてもややこしい。
結局安全な道を選んで幹線道路を走ることにした。なんせスペアタイヤがない状態だ。
こんな状態を今日も繰り返し、早くも諦めムードが漂ってきた。ダメか。
まっすぐな東北の道
コンビニでパンを買って食べながら走る。最近はコンビニばっかりなので、何が美味くて何がまずいかだいたいわかっている。しかし、同じものばかり食べているとすぐに飽きてしまう。
風力発電?
移動中にまたいい感じの場所を見つけたので、ヒラタ狙いで降りてみることにした。
しかし、昨日ほどのムードはなく、ちょっと寒い印象だ。これでは厳しいかも・・・
どうしてここまで来てヒラタ狙うかなあ。(^^;
半パンのまま長靴を履いて薮をこいでみた。どうやら毛虫に触ったらしく、ヒザの裏あたりがチクチクする。
痛〜〜〜〜い。(T^T)
しかもたどり着いたヤナギは樹液を出しているものの、カナブン1匹いない。(T^T)
薮を出るときにまた毛虫に刺されて踏んだり蹴ったりの状態になった。はぁあ。(-。-;)
まあ、好きでやってるんだから仕方ないだろう。
それからさらに別の山に登ろうと思い、車を走らせていたのだが、この山は麓まで行きかけて途中で引き返した。
実は頭の中でひらめきがあった。ここで全く視点を変えてみることにした。ヒントになったのは去年までの惨敗と、去年までの実績と昨日今日の惨敗だ。それを全部組み合わせてみると、ある一つの 解答が導き出された。
その解答を元に、全然別の山に向かってみた。
だんだん道が細くなり、ここも砂利道になった。この道の怖いところはカーブミラーが一切ないことだ。平気で出合い頭の衝突が起こりそうだ。スピードをセーブせざるを得ない。
そうやってガリガリと走っているうちに、見事なブナ林が目の前に広がった。予想通りだ。
ムード満点
ブナの幼木などを見ていくが、クワガタはついていない。そうしているうちに、ヤナギもちらほらと現れ始めた。これはラッキーだ。
ここにきて、ようやくヒメオオムードがある場所にやってきた。絶対にいると思った。
だんだん標高を上げていく。
唐突にヤナギにつく黒い塊が目に入った。
いた!!
♂が幹のこっち側にベタっと張り付いている。けっこうデカい!山形産ヒメオオ初対面だ。
山形産ヒメオオ♂
速攻で写真を撮って網を持ち出す。車にはあっという間にアブがたかってくる。
いざ網を伸ばそうとすると、視界にもう1頭現れた。小さな♀だ。いるいる。
♀もいる
さらにさっきの♂の場所に上から別の♂が降りてきた。なかなかの光景だ。
中央に1頭、右上に1頭
しかし・・・全然別の場所に複数でついている念願の山形産、どうやって採ろう。(^^;) だから一人の採集は嫌いだ。見つけても大げさに喜べないし、こうやって物理的に採集できないことも多い。
いろいろ考えたが、かたまっている♂2頭を採ることにした。難しい角度だなあ・・・と思いながら、サっとヒメオオの直下に網を出した・・・・・つもりだった。
しかし、手前の枝に邪魔されて、網は全く届いていなかった。パサっ、パサっと音を立ててヒメオオは落下していった。(T。T)
こうなると薮も何も関係ない。軽装のままでヤナギの根元に飛び込んだ。
必死で落ち葉をどけてみる。
奇跡的に♂が見つかった。やった!(^o^) かなりカッコ悪いゲットの瞬間だ。これで宿題をひとつ片づけた。もう1頭の♂は当然見つからなかった。
山形産ヒメオオ♂
47mm
枝先で見つけておいた♀はラッキーにもそのまま残っていて、これは手づかみで採った。
さらにこの木を下から見ると、目の前に1♀、枝先に1♂いた。けっこう濃いかも?
♀もまだいた
ブッシュから帰還して、もう一度その木を見ると、またまた1♂1♀がいて、これは網でゲット。
大きめの♂
なんだかんだで7頭のヒメオオをこの木で見つけた。
やっとクワガタの写真がたくさん出てきた
それから山を降りる途中で、今度はアカアシの木を見つけた。
アカアシの木
次から次へと見つかる。何頭いるかわからないが、採ったのは10頭くらいか。
いっぱいいる
とりあえずポイントが見つかってよかった。
数年来の宿題が果たせたので、けっこう満足した。嬉しいというより、「もう来なくていい」というホっとした気持ちが強かったかも知れない。(^^;)
山を降りて、ようやく平坦な道のりになった。宮城に向かって驀進する。さすがに東北は広い。
宮城ではオオクワ狙いで灯下採集をやりたかったので、今のうちに移動をしておいて下見をしようという腹だったが、ここ数日の状態では外灯での採集は不可能である可能性が高い。じゃあ、陽のあるうちにヒメオオを狙うか???
どっちつかずの状態で車を走らせる。だんだん陽は傾いてくる。夜が勝負にならないのも怖かったので、明日のヒメオオの下見ということで自分を納得させ、目をつけていた山に向かうことにした。と言っても目をつけたのはさっきのヒメオオを採集してからだ。何となくコツがわかってきた。
ヤナギがいっぱいある
山に入ると予想通りブナとヤナギのオンパレードだ。かなりイケてる。ここで灯火を張ればものすごい数のクワガタが飛来するだろう。オオクワだって夢ではないはずだ。
そんなことを考えながら林道を走る。しか〜〜〜し、クワガタの姿は全く見えない。ヤナギの上の方は、すでに見えなくなってきている。いっぱい見逃しているに違いない。
その林道とクロスする道路に入った瞬間、ヤナギにつくクワガタの姿が目に入った。お〜〜〜、いたいた。
ヒメオオにしては小さすぎるか・・・
小さいクワガタ
と思ったが、これがヒメオオの♂であった。かなりあっさりと目標を達成した。下見のつもりだったが、とってもラッキーだ。
あっさりゲットの宮城産
この道は延々ヤナギが続いているので、いちいち車を降りるわけにもいかない。いそうな場所だけ徐行して探してみるのだが、そういうところにはことごとくヒメオオがついている。(^^;)
次々に見つかる
標高も低い。
かなり濃いかも
1本の木から何頭も採れるわけではないのだが、近くの木を見ていくとすぐに見つかるので、網はあっという間に真っ黒になる。なぜかスジが一緒に落ちてきたり、ミヤマのペアが混ざっていたりする。(^^;)
枝上のペア
そんなことをしながら今度は標高を下げてみた。
右前方のヤナギのてっぺん近くに大きな影が見えた。あれはクワガタか???
デカいぞ!
見間違いはないとは思う。車を降りて網をかけてみる。5mがギリギリで届いた。
でっかく見えるのは、だいたいペアのヤラセなのだが、こいつもやっぱりペアであった。
な〜んだ・・・と思いながら網の中を見ると、でっかいアカアシが入っていた。
おおおおおおおお!
中部地方でも50クラスのアカアシが採集できたが、今回もそれに匹敵するサイズだ。あ〜的にはでっかいヒメオオよりもでっかいアカアシの方が嬉しい。(^^;)
サイズを測ってみると51.5mm。フツーにアカアシを採集している人にとっては全然驚くサイズではないが、自分としてはとっても嬉しいサイズだ。(^o^) やっぱりこれくらいになると迫力が違う。これがいちばん嬉しかったかも知れない。(^^;)
やっぱりデカいアカアシはカッコいい
もうヒメオオもいないかと思ったが、さらに低いところでまた1頭♂を見つけた。ダニまみれでほとんど動かない。不自然なつき方をしていたので、寿命を迎えた個体だろう。フセツが勝手に木に引っ掛かっているだけという状態だ。
ぱっと見ただけで、ヒメオオを中心にかなりの数のクワガタが採集できた。ここはいいポイントだと思う。最近の福島よりも何倍も採れるかも知れない。(^^;) 丸一日かけて採集したらとってもおもしろそうだ。いいところを見つけた。
さて、ほとんど日没を迎え、夜の部に突入だ。
といっても、ここ数日の状態を見て全く期待をしていなかった。根拠はないが、気温が17度以上ならちょっと頑張ってみようという感じだ。ところが18時過ぎの時点ですでに15度まで下がっており、非常に厳しい状態であった。
というより、寒くて何もする気は起こらなかった。(^^;) いい時間になぜか仙台のど真ん中を走っている。(^^;) すでにオオクワのイメージは頭の中には全くなかった。
さあ、これからどうしよう? と考えた。あとヒメオオを採集していないのは青森だけだ。しかし、一人であんな遠くまで行く気はさらさらない。夜の部はこんな感じだ。宿題も終わったので、何もやることがないことに気づいた。じゃあ帰るか。(^^;)
ということで、唐突に旅が終わることになった。
給油をしつつ南下を始める。途中で見覚えのある国道のナンバーを見つけた。
「この道、こんなところまで来てたのか!」
地理オタクのあ〜としては、こんなところでこの国道を見つけたのがとっても嬉しかった。(^^;) で、思わずその国道に乗ってしまった。この国道ナンバーならいつかは帰れるだろう。(^^;)
沿線にオオクワポイントもあったりするので、外灯を見回ればよかったのだが、結局ほとんど何も見ずに通過してしまった。ポイントとは別に、かなり有望な外灯は見つけることができた。当然いるのはカブちんだけだ。
延々と国道を走り続ける。俺はこのまま一般道だけで千葉に帰るのか???
しかし、この国道を走破してみたい気持ちもある。ボケ〜〜〜〜っと走っていると、いつの間にか関東地方に戻っていた。それからのことはほとんど記憶にないのだが、こうやって採集記を書いているということは無事にたどり着いたのだろう。(^^;)
秋田から始まって、一晩のうちにとうとう千葉まで一般道で移動してしまった。高速を使ったのは初日のみであった。
アホか。(^^;)
アカアシ:15♂♂11♀♀
ヒメオオ:14♂♂12♀♀
ミヤマ:1♂1♀
2001.9.5