茨城
【山へ】
車の中で目が覚めると午前5時になるところであった。そろそろ移動を開始しよう。
早朝の茨城はものすごいガスであった。しかし車は全然なく、快適な走行ができる。いつもこの道はトロトロ運転でうんざりするのだが、今日は前の車がすごいスピードで走っていて、ついて行こうとしても全然追いつけない。高速でも捕まるようなスピードだ。(^^;)
高速走行
だが、目的の山を抱える町に入る手前から「遅トラック」につかまり、いつものようなトロトロ運転となってしまった。コンビニで食料を調達し、10ヶ月ぶりの山に登った。
小型種を最後にちゃんと採ったのはいつだっただろう?11月くらいか? あれからウンゼンルリの惨敗、雪の静岡の惨敗があり、消化不良は続いている。たまには確実に採れる場所で憂さ晴らしをしてもいいだろう。(^^;) とっとと採集して、昼には帰ろう。
頂上が近づいてくるにつれ、ブナの大木が現れ始める。気分がぐ〜んと高まってきた。ポイントまではまだあったが、道端にマダラ材が転がっているのを見て、とうとう車を下りてしまった。(^^;)
マダラくん、入ってますか〜?
今日もマダラくんからスタートか? 慎重に削いでいく。マダラ採集にはほんとに包丁を使ったほうがいいかも知れない。(んなわけないか。(^^;)) いい感じなのだが、全く食痕が現れない。(;_;) どーやら腕が落ちたようだ。ここでボーズはありえないと思うのだが、惨敗グセがついているのでちょっと焦ってきた。
結局全てのブロックから何も出せずにここを立ち去ることにした。かなしー。(;_;)
標高を上げていくと、雪が沿道に目立ち始めた。まだ春は遠いらしい。
寒い
とりあえず、まともにクワガタが狙えるポイントに到着した。
いちばんのポイントは何も採れなかった時のために残しておくとして、今日は周囲から攻めてみることにした。
いつもとは全然違う場所に車を停めて、斜面を這いつくばって登っていく。
んが・・・なかなかルリ材がない。(;_;)
こんなに少なかったっけ?>ルリ材 早く1頭出して落ち着きたいものだ。
しばらく歩いてようやく産卵マークを見つけることができた。
見っけ!
しか〜し、ここからは外道が出てくるだけで、ルリの姿を見ることはできなかった。どうも最近縁がないようだ。
久々に薮の中を泳いだが、とうとう稜線に出るまでルリを採集することはできなかった。
マークはあるものの・・・
稜線を越えると、そこは一面の雪景色であった。
さっぶ〜〜!
これくらいなら楽勝かと思ったのだが、第一歩でいきなりズボっとヒザまで埋まってしまい、長靴の中に雪が入ってきた。ちめたい。(>_<)
一旦こうなってしまうと、あとはどーでもよくなる。(^^;) それからズボズボと大木の立枯れを目指して歩いたのであった。1本目・・・ダメ! 2本目・・・ダメ! 3本目・・・ダメ! あれ〜〜〜?どーしてダメなんだ??? 俺はルリの採り方を忘れてしまったのか???
かなり遠くまで歩いたところで、これしかない!という倒木を見つけた。こんな場所で「これしかない!」もクソもないのだが、なんせ今日はまだボーズだ。(^^;)
これしかないっしょ
最近人が削ったあとがあったのだが、削り残しのところを削いでいくと、ラッキーにも♀が出てきた。(^_^)
やっと出た
これが今年初のルリだ。青い♀だ。
ようやくこれで落ち着いた。今日は、あとツヤハダを採集して帰ろうと思った。これなら10時くらいには山を下りられるかも知れない。
とりあえず、この斜面は諦めて、別の場所に移動することにした。しかし、ここから車に戻るのが大変だ。雪に埋もれながら斜面を登って、薮をこいで斜面を下る。しかし最近、採れるかどうかもわからない場所に2時間も3時間もかけて登山しているクワ道さんやるど松コンビの活動の過酷さに比べれば、屁みたいなものだ。というか、全く比較にもならない。こんなことで泣き言を言うとバチが当たるだろう。
車で少し移動して、別のエリアでツヤハダを探すことにした。
今度は雪の全くない斜面を歩く。こちらは薮の中を歩くのがキツいだけなので助かる。転がっているミズナラあたりを狙って探すのだが、なかなかいい材がない。倒木は笹の中に埋まっているので遠くから見つけることはできない。とりあえずローラー作戦で歩き回るしかない。(^^;)
時々それらしい材が見つかるのだが、全く歯が立たないカチコチの材が多く、ツヤハダの存在すら確認することができなかった。(;_;)
ルリ材はかろうじて数本ある。そのうちの1本を削いでいくと、いきなり♂が出てきた。
ルリの♂
よかったよかった。久しぶりなので、ついつい写真を撮ってしまう。
アップで
斜面を200mほど薮こぎで下りて、また別ルートで薮こぎして登ってきたのだが、ツヤハダ材に巡りあうことはなかった。(;_;) しかし、車に戻ろうと歩き始めたところで、それらしい立枯れを見つけた。
さっそくいつもの死骸が出てきた。(-。-;)
あぁ。(-。-;)
この死骸、なんかメチャでかい。(^^;) 死骸がデカく見えるのは世の常だが、それを差し引いてもかなり大きな個体だと思われる。
それにしても、ほんとによく死んでるヤツらだ。硬い材をガシガシやったのだが、ここから出てきたのはオサムシと原名ツヤハダの死骸が3つだけ。存在を確認しただけで終わってしまった。けっこうな徒労だ。(-。-;)
次に、これまで全く足を踏み入れたことのないエリアに行くことにした。こんなところがあったとは知らなかった。標高はかなり下がってしまうのだが、植生的には問題なく、きっと何か採れるだろう。
途中で不思議な場面に遭遇した。このタイヤ、どうやってはめ込んだのだろう???
???
写真1枚でいろいろ想像していただきたい。(^^;)
で、肝心なクワガタなのだが、これがかなりの苦戦を強いられることになる。ブナやミズナラの大木はごろごろしているのだが、ツヤハダ的に中途半端な材が多い。何かがちょっとズレているのだ。どの木を削っても死骸すら出てこない。
いてくれ〜
こんなにたくさん倒木や立枯れがあるのに、なぜかツヤハダ材が1本もない。どうなっているんだろう?
そうやって歩いているうちに、ルリの出そうなブナの倒木を見つけた。すごい大木だ。これは間違いなく入っている。
すごい倒木
第一刀でいきなり出てきた。(^_^) いい枯れ方だ。今度は銅色の♀である。
その♀を出して、その部分をまた削ぐと、下からすぐ別の♀が出てきた。今度は黒っぽい。
黒っぽい♀
それから樹皮の枯れた部分を手で崩してみる。
こんな感じのやつ。↓
朽ちた樹皮
すると、こうやってルリが採集できる。
手で崩すと入っている
あれ?このルリ、めちゃくちゃツヤがないか?
一瞬ホソツヤが出てきたかと思った。でもこんなところにいるはずがない。
このツヤはハンパではない。大アゴの湾曲具合がルリとは違っているように見えるが、小型のルリはこんなものなのだろう。大アゴのつけ根の内歯もルリの特徴が出ている。前胸と腹部のバランスもルリのものなのだが、色ツヤと大アゴの湾曲がどうも気になって仕方がない。
えらいツヤがあるように見える
別のルリと比較(下)
などと言っているが、タダの個体差だろう。自分が同じようなものばかり採っていたので、たまに違うのがいてびっくりした程度というところか。引っ張りすぎた。(^^;)
今日採れたルリは5頭全部色違いでおもしろい。
この大木をじっくりやれば何十頭採れるかわからないが、とりあえずはここでごちそうさまにしておこう。(^^;) すっかりルリは満足だ。それよりツヤハダ探さなきゃ。
何本か目星をつけてツヤハダを狙う。ルリのマークがついた木も探すがターゲットの姿はない。それどころか、サンショウウオまで材割で出してしまう始末。(^^;)
案外機敏な動きをする
げっそりしてこの場をあとにすることにした。こうなったら、いつもの場所に行くしかないだろう。そこでサクっと出して帰ろう。
車の中でパンを噛りながらいつもの場所に行こうと思い、脇道に入った瞬間・・・
ガ〜〜〜ン!
何ぢゃこりゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)
唯一の心の支えだった場所がこんなことになっているとわっ!(T^T)
今日はツヤハダはダメらしい。諦めて別のエリアに行くしかない。また引き返してテキトーに車を停めて周辺を散策することにした。
再び薮こぎの始まりだ。何本か叩きながら斜面を登っていく。ルリ材は完全無視だ。
やがて1本の立枯れにたどり着いた。ブナがやや赤く枯れていて、なかなかの雰囲気がある。土中の部分まで削っていくと、唐突にポロっと黒いのが出てきた。何かと思えばアカアシのチビ♂だった。
アカアシ♂
それからポロっと♀も出てきた。ほんとに赤い。
アカアシ♀
白いのも出てきた。(^^;;;
アカアシ白。(^^;)
ツヤハダも入ってそうな雰囲気もあったのだが、ついに痕跡を見つけることはできなかった。(T^T)
いい加減、腰が痛くなってきた。そろそろ1頭出して帰らなきゃ。今日はほとんど寝てない。(=_=)
またまた薮をこいで、1本の立枯れに出くわした。とっても硬そうな立枯れだ。
硬そう・・
こんなの削る根性ないのだが、だんだん執念も出てきたので挑戦してみることにした。いきなりツヤハダの死骸が出てきた。また死骸か。(-。-;) でも、いることがわかったので、ここは粘るしかあるまい。
硬い材を必死こいて叩く。手が痛い。(T^T) 死骸・・・また死骸・・・
揚げ句の果てには、ムカデにちょうど食われているヤツまで出てきた。こんなの生きてる虫を見つけるより難しいはずだ。(^^;;;
上の方も叩いてみようと思った瞬間、樹皮の間に何か黒いものが見えた。目を疑ったのだが、なんとツヤハダの♀が樹皮に挟まっている。
ヤラセではない
こんな形で採れるなんて!!樹液採集ではないが、今世紀初の野外採集個体だ。引っかき棒で慎重に取り出す。
なんでそんなもん持ってんねん。(^^;;;
何とか傷つけずに手に取ることができた。(^o^)
死んでいた。(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)
考えてみれば当たり前の話だ。気温は7度くらいしかない。
まさにツヤハダ地獄!!完璧に気持ちは萎えてしまった。もう帰ろう。
一旦斜面を下りて道に出て、道の下側を平行に歩いて車まで戻ることにした。あとはルリ1頭でも出してお茶を濁そうという魂胆だ。(^^;;;
ぷらぷら歩いて帰ろう
材的にも太いものはなく、ひょろっとしたのがそこここに倒れている。しかしコケも生していて、雰囲気は出ている。
そんなムードの中で気を魅かれたのは、何でもない真っ黒のぐちょぐちょの材だ。樹皮なんぞ、とうになくなっていて、完全に腐っている。なぜかそんな材を叩いてみた。
コロンと黒い虫が転げ出てきた。ツヤハダの♂だ。生きている。(^o^) やった〜〜〜〜!(^o^)
やっとこさ1頭!
これでやっとツヤハダ地獄から解放された。
もうちょっと削ってみよう。
また♂が出た。こんな腐った木なのに、生きたツヤハダが2頭も出るなんて!
いたいた(^o^)
しかし、これからが大変だった。叩くたびに成虫が出てくる。
下の外道とセット
めっちゃ小さいかけらにもツヤハダは入っている。
♀も出た
時々大型の♂も出てくる。今までのツヤハダ地獄は何だったんだ???
かなり大きい
下を見ると、いつの間にか転がっているヤツもいる。(^^;)
なかなかのサイズ
一気に2頭出たり・・・
ひと振り2頭
一気に2頭出たり・・・
また2頭
一気に3頭出たり・・・
わお!
そして、ひときわデカい♂がごろんと出てきた。
ここまでデカいとツヤハダも迫力がある。
サイズを測ると21.5mmあった。原名ツヤハダのマイギネス更新だ。
こいつ、いっちょまえに挟んできやがった。(^^;) ちょっとだけ痛かったことにしておいてやろう。(^^;;;
こいつ1匹に3回も挟まれてしまった。
顔
一気に2つ
大小♂
遠くに1頭、手前に1頭
いい顔だ
こんなショボい材で、次から次へとあっという間に40頭強のツヤハダを採集した。まさにツヤハダ地獄だ。見落としもいっぱいあったに違いない。
どへ〜〜〜。(^^;)
まだ半分も削ってないが、もうこれ以上はいいだろう。こんなショボい材でも20オーバーが3頭出た。しかも死骸は1つも出なかった。なんとも不思議なヤツらだ。
とっとと車に戻って、帰途についた。もう13時半になっていた。
さて、いつものように制限速度渋滞にハマりながら国道を下っていく。さすがに眠い。
雨じゃん
ほんとに流れが悪くなってきたので、いきなり別ルートから帰ることにした。眠くても、目はクヌギを探している。当たり前だ。雨もちらほら降ってきた。
オオクワが採れるという噂のある地区にもちょっと寄ってみることにした。確かに感じのいい雑木林は多い。
スギの中にもクヌギの大木がある
さんざんぐるぐる回ってルッキングだけはしたのだが、結局車を降りずにそのまま高速へ乗ってしまった。
それからのことは一切記憶にない。目が覚めると月曜の朝であった。(-。-;)
アカアシ:3♂♂、3♀♀
ルリ:2♂♂、3♀♀
ツヤハダ(原名):16♂♂、27♀♀
オニ:幼虫2頭
2001.3.27