00/11/23

神奈川県

【神奈川】

延び延びになっていた神奈川の山登りを実行するときが来た。データによると、この山ではかなりの種類のクワガタが棲息しているらしく、ヒメオオまでいるらしい。これは難しいにしても、ルリよりもコルリやホソツヤの方が多いというところがおもしろい。

今日のメンツは燃え尽き症候群でず〜っと採集を休んでいたr.matsudaさん、この週末に山梨でオオクワのホームランをかっ飛ばしたクワ道さん、火曜日に茨城の山で遭難しかかったばかりのるどるふさんだ。何とも濃いメンツである。

夜も明けないうちからクワ道邸に集合し、山へ向かって出発した。


【山登り】

噂には聞いていたが、今日は完全な登山となる。車を置いてから2時間歩くらしい。食料を買い込み、完全防備で準備を済ませ、4人仲良く山へ入った。あ〜は前回の 採集で泳いだため長靴が乾かず、新しい長靴を購入した。靴ズレが心配であったが大丈夫なようだ。

わいわい喋りながら登っていると、いきなり目の前にシカが横たわっていた。

神奈川産

神奈川産のシカである。どうやら猟師に撃たれたらしく、ケガをして動けないようだ。通り掛かった林道関係者に保護されていった。紅葉の終わろうとする山道を歩いていくのだが、何だかみんなについていけなくなってきた・・・・足が前に出ない・・・完全に口で息をしている。あっぷあっぷだ。体力に自信がないわけではないのだが、風邪を引いていることをすっかり忘れていた。(^^;)

待ってくれ〜〜!

最短距離でカーブを曲ったりするのだが、全然追いつけない。クワ道さんやるどるふさんは余裕でたばこを吸いながら登っているのだが、こっちはいっぱいいっぱいであった。(^^;) 額からは汗がだらだら流れてくる。足はすでに棒のようだ。

3分の1ほど登ったところでようやく休憩をしてくれた。そのへんの材を割ってみたが、何も出なかった。あっという間に出発である。

気の遠くなるような距離を歩いて、クワガタの採れそうな標高に入ってきた。拾った材を削りながら坂道を登っていく。コルリの幼虫が出たりする。削りながら登ると、何となく楽な気がしたので、ずっとそこらに落ちている枝を削りながら登ることにした。

そんなこんなで、やっと登山道の入口に到着した。そう、ここからが登山だ。


【ほんとの登山】

クワ道さんはすでに何度か来て、このあたりでツヤハダを出しているらしい。いよいよ本格的な虫取りができる。

登山道を登り始めたのだが、もう完全に限界であった。コルリが好きそうな材を削りながら体を休めつつ、また登り続ける。

ようやくスギ林の中にある立枯れをクワ道さんが削っているところに追いついた。なかなか美味しそうな材だった。クワ道さんはすぐ先へ進み始めたが、あ〜は完全に限界が来ていたので、じっくりとその材と格闘することにした。

産卵マークもあって、食痕もあるが、なかなか虫が出てこない。

ボコっと蛹室が空いた瞬間、黒い腹を上に向けたルリ属の♀の姿が目に飛び込んできた。

結局こいつ(-_-;)

なんだ、ルリじゃん。(;_;)

黒い腹のルリ属の♀はどう考えてもルリしかいない。表から見てコルリのようにも見えたけど、腹から見たらどうやってもルリだ。

がっくしと気落ちして、またまた山を登ることにした。さすがにこれ以上時間をかけるとみんなと会えなくなってしまうだろう。


【谷】

重い足を引きずりながら登っていくと、またクワ道さんが格闘しているのに出くわした。あ〜もその近くでルリ属の産卵マークを見つけたので削ってみた。しかし、出たのは食痕のみ。ダメだ。

いつの間にか消えてしまったクワ道さんを追いかけていくと、なぜか沢の向こう岸で材を割っていた。(^^;)

クワ道@原生林

ずっとスギ林の中だったので、目の前に広がった原生林はすっごい不思議な光景であった。ツヤハダ材がごろごろしている。俄然やる気が出てきた。さっそく沢を越え、向こう側に渡った。

今日は日頃の採集と違って荷物が多いので、とてもつらい。重いリュックを背負ったままで材を割るのはキツいものがある。一旦リュックを降ろして、そこを中心にして周囲で材を割ることにした。行動範囲は制限されるが仕方がない。

ひと通りやってみたが、出たのはツヤハダやオニの死骸だけであった。やれやれ。

再びリュックを背負って、今度はガケを登ることにした。

谷の部分にツヤハダ材の大木がごろごろしている。やっとの思いで材までたどり着き、リュックを降ろそうとしたが、あまりに急なためリュックを置く場所すらない。リュックを無理矢理木に立て掛けて、ガシガシと削り始めた。食痕も何もなかったのだが、いきなりツヤハダの♀が転がり出てきた。不思議なヤツらだ。(^^;)

転がり出てきたツヤハダ♀

やっと食痕も見え始め、2頭目の♀が出てきた。

もーいっちょ

しかし、あとは死骸のオンパレードだ。そして、気づいてみたらリュックがなかった。まさか・・と思って下を見てみると、当たり前のように20m下にリュックは鎮座していた。(;_;) あれを取りに行くことを考えるだけで気が遠くなったが、行くしかない。かなりの時間をかけて、転落したリュックの救出をした。

再び元の場所に戻り、さらに上へ登る。材が多すぎて目移りするが、その中の1本からかなり大型のオニの死骸が出てきた。何mmくらいあるのだろう?珍しく形をとどめていたので写真を撮っておいた。

季節はずれのオニ

顔のアップ

時間をかけて、ようやく山の上にたどり着いた。


【大木】

山の上にはブナの大木がたくさんある。自分が想像していた風景とは全く違うものであった。やはり行ってみないとわからないものだ。これだったらヒメオオだってアカアシだって浴びるほど採れても全然おかしくない。

こんなとこ

いい枯れ方をしているブナがあったので、さっそくヒメオオを狙ってみた。ヒメオオが産むとすればこの材しかないだろう。ひと振りでさっそく食痕が現れた。普通種の材割なんていつ以来だろう?何だか懐かしい感覚だ。

永谷園の「まつたけの味お吸いもの」の匂いの立ち込める材を掘り進んでいくと、ボコっと蛹室が空いて、お腹の赤いクワガタが出てきた。久々のアカアシくんだ。また♀であった。ルリ、ツヤハダ×2、アカアシと、全部出てくるのは♀だ。ハーレム状態を形成した。こんなハーレムはイマイチ嬉しくない。(-_-;)

アカアシ♀

けっこう粘ってみたのだが、ヒメオオの姿を見ることはできなかった。風邪でボ〜っとしていてなかなか気合が持続しない。困ったものだ。

立枯れや枝などにルリやホソツヤの産卵マークを探して歩くが、これは皆無であった。たまにコルリ材にマークがあるが、何も出てこない。これはダメだ。


【再会】

今度は山を下ってみた。相変わらずツヤハダ材がごろごろしている。

そのうちの1本を叩いてみた。ツヤハダが出てくると思ったのだが、何やら足を折り畳んでひっくり返っているヤツが目に入った。こいつは・・・・

出た!!

いやぁ〜、久しぶり!!(^^)/

会いたかったよ〜〜〜。君に会って励ましてあげるのが僕の楽しみだったんだよ。さあ、落ち込んでないで元気を出したまえ。

随分久しぶりのマダラの登場だ。これまで探し回って出てこなかったのだが、やっとここで出てきてくれた。いやいや、これは嬉しい。(^o^) すっかり満足してしまった。(^^;)

ツヤハダは死骸ばかりなのだが、また気づかないうちに粒コショウ、じゃない、マダラが転がっていた。あ、粒コショウなんて言ったらまた傷つくかな?(^^;)

また軍手の繊維が・・・(^^;;

ちゃんと探せばいっぱい見つかりそうだったが、根性がないので全く探さなかった。あ、また傷ついた?(^^;)

よく観察したのだが、こいつらも♀であった。

下の方にるどるふさんの姿が見えたので下りていった。るどるふさんもツヤハダ材と格闘していて、見事にたくさんのツヤハダとマダラをゲットしていた。


【移動】

今度はルリ属を探すべく移動をすることにした。ほんとは山の頂上まで登りたかったのだが、まっっっっったくそんな気は起こらなかった。テンションが低いわけではないのだが、身体がいうことを きかない。仕方なく低い場所で徘徊することとなった。

丘のような部分を下から上へ登っていく。

ホソツヤ?

ルリかホソツヤかわからないが、細目の材に産卵マークを発見した。カリカリと削ってみたのだが、な〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んにも入っていない。(;_;) めったにマークは見つからないので少しくらい入ってて欲しい。やっぱり頂上に登るべきか・・・

気晴らしにブナを叩いたら、今度は黒い虫が出てきた。よく見たらスジの♀だ。

ハーレムは続く・・・

ま〜た♀か。(^^;)

よくぞここまで♀が続くものだ。ルリ属の材はないのだが、大木の根元からミヤマの幼虫が出てきた。幼虫まで含めると、けっこうな目数を採っているかも知れない。

ルリ、トウカイコルリ、ミヤマツヤハダ、マダラ、スジ、アカアシ、ミヤマ

なかなかのものだ。これが神奈川産というところがすごい。

冬ですねえ

結局、さっきの山の上に出てきてしまった。再び永谷園を削るが食痕が出ただけだ。すでに根性なしで腕も動かない。陽は西に傾いている。そろそろ下山かな?登山口まで歩いてきた時間を考えると、日没の1時間半前には採集を切り上げていないとまずいだろう。みんなを探しつつ山を下りることにした。


【下山】

誰かに会うだろうと思いながら山を下っていくのだが、まったく人の気配がない。もしかしたら、みんな下りてしまったのか??? 人が通りそうな場所でずっと待っていたのだが、誰も来ないので登山口まで行くことにした。これで登山口に誰もいなかったら、かなりヤバいことになる。待ち合わせの場所や時間くらい決めとけっちゅーの。(^^;) まあ時計を持たずに登っているので関係ないのだが・・・(^^;) 時計くらい持っとけよ〜。(^^;)

下り坂も足が重い。こんなに歩いたっけ?という感じで延々下りていく。登山口に誰もいなくても、ここまで戻ってくる元気は絶対にない。

来るときにルリを出した材をもう一度見てみた。もう1頭♀が出た。(^^;) これでハーレムは完成した。今日採集したクワガタは全部♀だ。

いつものように2色のルリ

登山口に下りてみると・・・・・人っ子ひとりいない。(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)

急に気が遠くなってきた。材木に腰掛けてボーっとしていたが、全く誰も下りてくる気配がない。どうしよう・・・

当然もう一度登る気力は全くない。仕方なく、周辺の材を見て回ることにした。しかし魅力的な材などどこにもないのだ。ひと回りして再び材木に腰掛けていると、急激に寒気と睡魔が襲ってきた。上着を着込んで腕を組むと幾分寒気は和らいだが、眠気でかくんと落ちてしまった。このまま寝てしまったら凍死するかも知れないので(するかぁ?)、仕方なくアテもなく歩き回った。

アテもなく徘徊

1時間経っても誰も戻ってこない。よく見ると、陽は西に傾いているものの、全然暮れようとしていない。(^^;) 一人で勝手に日没と決めつけていたようだ。また気が遠くなった。風邪で頭がおかしくなっているらしい。4回ほど周囲のルッキングに出かけて帰ってきたときに、そこにクワ道さんとr.matsudaさんがいるのが見えた。助かった〜!(^o^)

まずはクワ道さんの成果を見る。なんと、いきなり羽化直後のヒメオオ♂の死骸を見せられた。おおおお!!!

どっへ〜〜〜〜!!!

死骸というところが何とも惜しいが、とにかくこれで確実に棲息していることは確認できた。ほんとにヒメオオ持ってくるとは思わなかった。すごい!

バラバラにならないように丁寧に取り扱って、標本用にr.matsudaさんに引き渡された。確かにちょっと触ったら空中分解しそうな感じであった。(^^;)

それから圧巻はマダラ×27!! ルアケースの底にじゅうたんが敷かれているごとく蠢いていた。(^^;) ウケた。(^o^)

当然スジもアカアシもツヤハダも採っていた。そしてホソツヤも出したらしい! ほんとにすごい!! 

そしてホソツヤといえば、r.matsudaさんは1本の木からホソツヤを6頭も割り出していた!!うわぉ!! そしてコルリもキッチリと1ペア採っていて、ルリの♂まで採っていた。これもさすがとしか言いようがない。そう言えばr.matsudaさんには山では一度も会わなかったなあ。(^^;)

神奈川産ホソツヤ!

暗くなってから、ようやくるどるふさんが下りてきた。ツヤハダいっぱい、マダラいっぱいだ。(^o^)

真っ暗な山道を4人で下りる。やっぱり遠い。(^^;) あんな状態でよく真っすぐ進んだものだ。照明など何もない。途中のでこぼこで何度か足を取られながら、何とか車までたどり着くことができた。アドベンチャーだ〜。


【復活!!】

待ちに待った温泉に入るときが来た。以前行ったことのある温泉だったが、史上最高の混み方で洗い場もサウナも浴槽も完全に人で埋まっていた。サウナなんか座るのに人が並んでいるし、次から次へと出入りするのでまったく暖まらない。汗が出始めるのに10分以上かかった。実にイマイチな温泉であった。

・・・・が・・・

温泉を出て、休憩所に行った瞬間、クワ道さんにすごいものを見せられた。なんと、死骸だと思ったヒメオオが元気に動き回っている!!!

やっっった〜〜〜〜〜〜〜!!!

実に強烈な一撃であった。

なんと、今日一日で10目のクワガタを採集した。神奈川は素晴らしい。


今回の成果(4人分)

スジ:1♂、2♀♀

アカアシ:1♂1♀

ヒメオオ:1♂

ミヤマ:幼虫1頭

ミヤマツヤハダ:6♂♂、12♀♀

ルリ:1♂、2♀♀

ホソツヤルリ:4♂♂、3♀♀

トウカイコルリ:1♂、1♀

マダラ:17♂♂、23♀♀

オニ:死骸、幼虫


2000.11.24