中年Yさんの採集報告第三弾です。
すっかり涼しく過ごしやすい日々が多くなってきました。
拙宅でもカマキリの登場、夏みかんの木からアゲハの幼虫がいなくなる、飼っているカブチンが昇天し始める、ウサギが換毛期に入る、子どもの学校が始まるなどなど、夏も終わりだなあという感じです。
さていつも勝手にメールを差し上げてしまい誠に心苦しいのですが、小生+息子もいよいよ「カブチン拾い」から、「コクワ入門」の域に近づきつつあると思われますのでご報告させていただきます。
先週娘と梨を買いに来てコクワ♂♀を見つけたのはご報告のとおりですが、その後数回この近辺を車、バイクで走り、なかなか今までになかった感触を得ました。道幅が狭く交通量も少なくはないので、一度態勢を整えて、車を置ける場所を見つけてからゆっくりと歩いてみようかという気持ちになりました。
なかなか昼間は時間が取れないのですが、9月1日(土)は子どもが学校、女房も買い物などの雑用はないということで、出かけてみることにしました。まず梨畑横の農道に車を停めます(生活道路などでの迷惑駐車は極力避けたいと思ってます)。
先週コクワをゲットしたコナラを観察。何もいません。樹液が出ている様子もありません。
幹の皮は大変よろしくごつゴツゴツしていて、 部分的に皮がめくれています。見える範囲に洞はありません。しかしこの木に近づくと酸っぱい匂いがします。また樹皮が全体的に黒ずんだ感じです。道路から見えるところに生えています。足元の踏み固められた感じからして、結構注目の木かもしれません。
丘の上の道路にたどり着きます。高さ20メートルくらいのもんだと思いますが、日ごろの運動不足と肥満要注意の体には結構こたえます。道路を境に西斜面側は新興住宅地、東側が民家、畑、雑木林となっています。
駐車場脇に道幅1メートルほどの路地があり、見れば日当たりの良い道沿いにクヌギが並んでいます。健康そうな(めくれなし、樹液なし、洞なし)クヌギを見ながら、これはいないかと思い始めた5本目のクヌギの根本、親しいヤツがいるじゃありませんか。
頭を下向きに、根本にしがみつくカブチン♂。思えば木に張り付いているカブチンを見たのは35年前。喜びつつ、すかさず捕獲。みれば角と前足に土の塊が。体が赤い。いた場所、時間、角につく泥…羽化したばかりのカブチンではないでしょうか。 嬉しかったです。
興奮さめやらぬまま先に進みます。 7本目のクヌギの幹になにやら白い物体が… 樹液ではないでしょうか。どう見ても白くあわ立つパッチは樹液でしょう。大きさは5cmくらいですから、言われるところの「樹液ダラダラ」という表現で述べるには抵抗がありますが、生まれて初めて見つけた樹液の出るクヌギです。ただし、コバエのようなものがいるだけでした。
その先のは墓地で行き止まりでしたので戻ってくると、先程のクヌギの樹液になんと物体が!結構でかい!スズメバチでした… いやあほんとに大きいですね。体長35mmくらいでしょうか。周りにいたコバエも一瞬身を引いたようです。夢中でチュウチュウしていますから襲われることは無いと思いましたが、道幅も狭く、至近距離から眺めつつ横切るのは結構冷や汗もんです。こちらに敵意無いから君も攻撃しないでね、私はここを通りたいだけなのよ、話せばわかる、というのが通用しない厳しい自然の掟(大げさ)…
スズメバチを見てすっかり戦意喪失しましたが、やっと自力で樹液の出る木を見つけました。嬉しいです。収穫のカブチン♂を手にいったん家に帰りました。
まずムカデを払い落とし、後は息子が手当たり次第に捕まえます。皮の隙間にいるのは落ちていた木の小枝を差し込んで追い出します。息子によると、「小枝でツンツクすると、誰かが場所を横取りしようとしてると思って様子を見るため顔を出す、そして出てくる」だそうですが、ただ単に体をつつかれて逃げようとして出てくるのではないでしょうか。
ひととおり目に見えたコクワは捕獲したのでケースに入れて数えてみると♂4♀4でした。一番大きいのは体長45mmくらいでしょうか。
次にいよいよ樹液のクヌギへ。ドキドキしながら電灯を照らすと、コクワが数体と蝶1、ゴキブリ1が見て取れます。。再度アドレナリン放出した私たちは捕獲モードへ。
♂3♀4をケースに。
いるところにはいるのですね。30分で15匹、家からの往復を含めても1時間以内のところでこれだけ取れれば、初心者+子どもにとっては十分な成果だと思います。下見が大事だと実感しました。またあ〜さんも書かれている通り、好ポイントは必ずしも林の奥のほうに行かなくても見つかるものだと思いました。あ、もちろんコクワやカブチンのポイントです。
とりあえず、自力で見つけたコナラと樹液クヌギで入門コクワ2桁ゲット、でした。ノコなどがいるのかどうか、しばらく通ってみようと思います。
中年Yさん、ありがとうございました。
大変参考になります。個人的に心を打たれたのは「拾う」ことに問題意識を持たれて樹液ポイントを見つけて来られたことです。単に「採れればいい」ではなく、こだわりを持たれているところに感激しました。やはり虫取りの醍醐味はそこにあると思います。虫取りを釣り堀と一緒にしたくないと私は思っています。
これだけの洞察力と行動力があれば、オオクワ採集もあっという間だと思います。追加報告の方もまたお願いします!
その後、中年Yさんよりこの夏の詳細な出撃リストをいただいた。日付や場所、成果などが細かく書かれている。封印しておくにはもったいないデータではあるが、すべて中年Yさんが夏の間、試行錯誤してご自分で探して来られたポイントであるので、ここでの公開は控えさせていただこうと思う。文章中の地名も中年Yさんのメールには詳しく書かれているのだが、自分の一存で全て伏せ字とさせていただいた。