ポンカンの行っとこか〜採集 その1〜初め ての檜枝岐

−カン−


前の晩、夏風邪をひいてしまったカンは、仕事から帰るとグッタリしていた。そこへポンちゃんが大量の買い物袋を下げて仕事から帰ってきた。

「携帯用ドリンクに、お菓子、コーンフレーク?・・・さとうのご飯、缶詰?・・・」

ポンちゃんは、いったいどんな山奥に、こもるつもりだろうか・・・ 余計に具合が悪くなった。心配したポンちゃんが風邪薬を買ってきてくれたので、それを飲んでさっさとベッドに入った。

今晩はなんて蒸すんだろう・・・薬を飲んで1時間ほどウトウトした後、蒸し暑くて目が覚めた。結局その後、ウトウトしただけで定刻になった。薬のおかげで喉の痛みはすっかりとれ、多少頭はボーッとしてはいるものの、なんとかなるかという感じ。

午前3時少し前あいあんさんから、〇〇バス停前に到着との電話が。すぐにあいあん号に乗り込んで出発した。


深夜の高速は、やがて夜明けの高速に・・・でも雨はいっこうに止む気配がない。高速を降りる手前のS.Aで初めてお会いするFUJIさんと待ち合わせ。

「これがクワガタ採りのメンバ−か・・(^^;」

その時のFIJIさんの心の中を代弁すると、きっとこんな感じか・・・。(それとも前もっていあんさんから聞かされていたかしら。)

FUJIさんと挨拶を交わした後、飲み物を買って出発。あいあんさんはコーヒー(普通)、ポンちゃんはミルクティ(定番)、助手席さん・・・いっきなりのオロナミンC(^^;;

「先は長いですから(・・きっぱり!)」

う〜〜〜ん、(^^; (後々、この時の言葉の意味をしみじみ噛みしめることになったカン)


「晴れてくれ〜」みんなの祈り虚しく、あいあん号のワイパーは休むことなくご活躍。

(・・・ご主人と同じく(^^;)

高速を降りた時点で降水確率80%、気温20度。

「この時間帯で20度あるから、昨日の晩は気温が下がらなかったんですね。お昼に出発された方たちは、オオクワが採れているかもしれませんね。」とあいあんさん。その言葉にちょっとワクワクしながら、車は視界の悪い朝靄の中を一路檜枝岐へ。

最後のコンビニで、あいあんさんがミヤマ♀をGET。それは1分前にカンが死骸と判断して通り過ぎたところだった。「生きてたのね〜(^^;;;」

舘岩村に到着。他の方達の車が何台か止まっている。トイレを済ませて出てくると、あいあんさんは皆さんに挨拶している模様。追ってポン、カンもご挨拶。ちょうど食事タイムだったらしく、足下に積まれたカップラーメンが目に入った。みんな眠そう・・・。

前の晩タカさんがオオクワ2♀ゲットされたのをはじめ、けむしさん、クワへいさんもGETされたとか・・(@_@)すごい!!

やっぱり、「蒸し暑い晩=虫が飛ぶ」の定理はこれで証明された。 それにしても今日は・・・外の雨がとてもうらめしく思えた。


そうこうしている間に、タカさん、クワへいさんも加わって、ヒメオオのポイントへ出発することになった。「下界が雨でも、林道は晴れてるんだ」というあ〜さんの言葉に期待しつつ車は林道へ。

ヒメオオとミヤマに採集の的を絞ってきたカンにとって、この昼の採集には90%の期待をかけていた。残りの10%は、夜の灯火採集で「ミヤマタコ採れ」を狙っていた。(なんて、あまかったんだろう・・・(^^;;;)

林道を登るにつれて、空が明るくなってきた。しかし、まだすこし雨が残っている。途中、あ〜さん号発見。あ〜さん、クワ道さんはたった今眠りについたところだったようだ。しかし我々につられて参加。これで8人になった。林道に車を置いて歩いて出発。

まもなくあいあんさんが1ペアを発見。しかし、むずかしい位置にいたせいで、残念ながら落としてしまった。う〜〜〜ん残念。

その後もしばらく歩いたが、時期が早いのか、雨のせいなのか、ヒメの姿はなかなか確認できなかった。どこまで歩くの?誰ともなくそんな言葉が。

「タカさんがきっと車でくるから・・」そう言っていた直後、なんとすぐ後ろでタカさんの声が・・・。

タカさんも歩いていた・・・(^^;;

往復8kmの道のり?それを聞いた直後から、カンは先頭集団に遅れるようになった。まもなくタカさんたちに並ばれた。少々へばり気味になったところで「車を取りにもどろうか」とタカさん。よく見るとタカさんの足下はお気軽なサンダル姿だった(^^;;;

だが、あろうことか車まで戻っている間にあ〜さん達先頭部隊がヒメオオをGETしていた。しまった!!車の中でおにぎりなんか食べている場合じゃなかった。(;_;)

車を降りて歩き出すと、クワ道さんの姿が見えなかった。

「クワ道さんは?」「あっちの柳でしか採ったことがないからって行った」

「熊が出るぞ〜〜」そう言われて、そちらへ行きかけていた足が90度方向転換した。(^^;;;

クワ道さんのことは、あいあんさんにまかせて、先に進んだ。

クワ道さんが正路に復活してまもなく、柳の木でデカイ♂を発見!・・・デカイはずであるミヤマだった。しかしかっこいい。葉から日差しが透けてまぶしいし、枝の陰で見にくい所にいたのに、どうしてわかったんだろう。さすが・・・採集鬼クワ道さん(^^;。

感心している場合じゃない!でも、カンはこのとき既にバテていた。おにぎり早弁も効を奏さず、不発に終わった。どうしたというのか・・・このLOW テンションは。(^^;;

結局ボウズのまま、来た道のりを車で走ることになった。


しかし、歩いていて見つからないものが車から見つかるものだろうか・・・。なぜか見つかるのだ。

運転手のあいあんさんが、前方の大きな柳でヒメオオの♂をゲット。脱帽である。いったい何処を見て運転しているんだろうか・・・(^^;

さらにしばらく行くと「ここが、あ〜さん穴だよ」とあいあんさんが案内してくれた。見ると、左側から柳が誘うように迫っている。(^^;・・・あ〜さんの気持ちがわかった。

普通の人間(あっ!初心者(^^;)にはなかなか見つけられないので、ポン、カンは視界の良いタカさんのパノラマ車の方に乗せていただくことになった。あいあん車に先導されて、乗り移ってまもなく、ポンちゃんがヒメオオのペアを発見。

「いた!間違いない!」興奮気味に叫ぶポンちゃん。初心者にはおあつらいむきに手で採れる位置にいた。

やったぁ〜!いきなりテンションはピークまで急上昇。とにかくうれしかった。取り敢えずボウズは免れた。(^^)

気がつこと、前にいるはずのあいあん号がいなくなっていた。後から聞いた話によると、この時あいあんさんは眠りながら運転していたため、後ろがついてこないのに気がつかなかったとか(^^; 

(運転中に睡眠をとっていたとは・・・・・・恐るべし!あいあんさん。(^^;)

結局その1ペアのみで午前中の採集は終了し引き返すと、木に手紙が貼ってあった。あ〜さんからだ。

「あいあんさんへ 焼肉屋に予約を入れてあるので先に行きます。 あ〜」

なんで「先に行って待っています」じゃないんだ〜〜〜!!(^^;(と密かに思ったカン)


食事を終えたのが午後2時近く。あいあんさんは灯火まで、また林道に戻って採集されるという。貫徹、不眠、不休、・・・なんてすごい人なのだろう。それにつき合う助手席さんはもっとすごい。(@_@)

「24時間採集できますか?」リゲインのCMに売り込みたいものだ。

ポン、カンは・・・迷うことなく、温泉でさぼることにした。(^^)

温泉から出て、休憩室の畳の上で寝転がっているうちに完全に睡眠体勢に入っていた。気持ちよく眠っていると、何やら声が・・・視界にボンヤリ飛び込む誰かの顔・・・・誰だっけこの人?完全にカンの思考回路はOFFっていた。1分たってやっと気づいた。「あれ?コンちゃん」(^^;

下に降りると、あ〜さん、クワ道さん、IMAさんもいた。横にいたはずのポンちゃんもいた。しばらく歓談した後、灯火の準備に出発した。


あいあんさんが灯火の準備を初めた頃、カンはぬけがらと化していた。(^^;

考えると今日は、炭水化物ばかりをとっている。タンパク質が不足している。すぐさまポンちゃんが準備してくれたサンマ缶とイカ缶をぺろりとたいらげた。たまごっちさんのアドバイスで持ってきた食料だったが、とてもありがたかった。

灯火装置が完成した途端、バケツ雨が降った。なんてことだろうか(;_;)。これから良い時間帯なのに・・・・。

午後8時をまわっていよいよ本番である。300Wはさすがに明るい。そろそろ虫の飛んでくる時間帯だ。でも今回は飛んでくる蛾の数ですら少ないらしい。それでも、蛾嫌いのポンちゃんには地獄だったに違いない。(もし、カンの嫌いなでんでんが転がってきたら・・・想像するのもおぞましい。(^^;)

それに引きかえポンちゃんは偉い。遠巻きに「ワォワォ」吠えてはいたが、かなり近くまで寄ってきて、正視できただけでかなりの進歩だ。


そんなポンちゃんのために、タカさんが灯火まわりに連れ出してくれた。こちらの方は幾分我が少ない。カンも同行することにした。ポイントごとに挨拶をして歩くタカさんを尻目に、カンの触覚は完全に採集モードに入っていた。さっき食べたサンマ缶が効いたのだろうか。今頃・・・・。(^^;

自販機の裏でコ♀を採った。なんと今日の初GETだ。(^^;

F商店の前に着いた。ここは夕方から張っている人達がいる。車から降りると、妙に横の路地が気になった。こういうところで昔よく採ったなぁ・・・・。

何げに足が向いていた。その時、視界を横切る黒い影が・・・。もしやと重い駆け寄ってみた。

「あれっ、どこいった?」その時、上段から下へ、そして草むらへと駆け込む黒い物体。

何なのかを確認する前に手が出ていた。夏の夜動くものに対する条件反射だ(^^;

ひょっとしてゴキブリ?(ちゃう!)、キマワリ?(ちゃう!ちゃう!)、ゾウムシか?(ちゃう!ちゃう!ちゃう!)ひょっとしてくさいのか?(カメムシ)、ぬめるのか〜?(なめくじ)・・・・(^^;;;;;

どれとも触った感じが違っていた。(^0^)

これはもう、疑いもないクワガタの感触、しかもでかい♀\(^^)/

カンの血液は一気に頭に登った。

「イタ〜〜〜〜ッ!」気がつくと大声で叫んでいた。

ところが「痛〜〜〜!」他の人にはそう聞こえたらしい。(^^;;;

落ちたんか?溝にはまったんか?転んだんか?・・・本気で心配された。(・・・・・なんでやねん(^^;)

気を取り直して懐中電灯の光を当ててもらって確かめると、まぎれもないクロピカ、たてすじ。

やった〜〜〜!!\(^0^)/\(^0^)/

だ〜が、次の瞬間。ハッ!

その場の空気の重くてさぶ〜〜いこと。マズイ!喜んでいるのはカンだけか・・・(^^;

慌てて3人で、そそくさとその場を立ち去った。


こうしてその日2匹目の採集品は、オオクワ♀41mmとなった。ここまでのなんと長かったこと。結局その日はコ♀1を加えただけで終わった。

前の晩オオクワ2♀を採った、タカさんのツキにちゃっかり便乗してしまった形となった。(^^)

「ツイてる人には乗れ」これをカンの採集の「座右の銘」に加えたい。


この日の採集の模様はタカさんの勝手にクワガタ檜枝岐編でもお楽しみいただけます。
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