『第9条の会なごや通信』第28号(2009年4月5日発行)より転載

巻頭言
「北」朝鮮の衛星発射への対応とソマリア派兵
政府の危険な軍事的対応に警鐘を鳴らそう!

事務局長・加藤雅章

 麻生政権はいま、「北」朝鮮の「人工衛星」発射(4月4日〜8日)予告を受けて、その破壊のための迎撃態勢を狂気のごとくに構築しようとしている。「人工衛星」を、まだ分からないにもかかわらず「ミサイル」と言い替え、それが日本の上空を飛ぶ、あるいは「落下」する、と声高に叫び、国民に恐怖心を植えつけつつ。


 「北」への“逆挑発”
 今回の「北」朝鮮の衛星発射はオバマにチェンジしたアメリカを振り向かせる戦争瀬戸際外交であって、日本に向けられているわけではない。にもかかわらず日本政府の騒ぎようは尋常ではない。「北」の危険な戦争瀬戸際外交に対して、麻生政権は「こちらに顔を向けてくれ」と言わんばかりに逆に挑発している。この軍事的対応は危険極まりないものである。


 臨戦態勢の構築が目的
 海自が迎撃ミサイル「SM3」を搭載したイージス艦2隻を日本海に配備し、空自はミサイル「PAC3」を陸自と連携して浜松基地から東北地方に移動・配備した。首都圏の「PAC3」も「北のミサイル」に照準を合わせている。まさに3軍一体の「国土防衛」を演出しているかのようである。
 このように政府・防衛省は「北のミサイル」発射を絶好の機会ととらえ、作ってきたミサイル防衛(MD)システムを作動させ、臨戦態勢の構築に向けた危険な実験に打って出ているのである。


 そもそも麻生政権や自衛隊幹部は「北」朝鮮の「軍事的な脅威などたいしたことはない」との認識のもとに、むしろ日本の軍備増強のために、金正日体制の戦争瀬戸際政策を活用してきたのである。こんにちテレビに出てくる彼らの緊張感のない、にやけた顔にそのことが現れているではないか?政府の片棒を担いでいるマスメディアはまた罪を重ねている。


 違憲のソマリア派兵
 麻生政権はアメリカオバマ政権の要請に応じ、日本本土から遠く離れたアフリカ・ソマリア沖に「海賊対策」と称して、死体安置所をも用意した自衛艦2隻を、法律も作らず派兵した。3月31日から実際に「任務」についた。そして今国会に「海賊行為処罰・対処法」を上程し成立を策している。そこでは護衛する船は、日本の船に限らない、付きまとう行為には先制的な攻撃も可能としているのである。もはや「憲法などくそ食らえ」を地で行い始めた政府中枢の危険な軍事的対応に、声を大にして警鐘を鳴らさなければ、私たちは戦争に一層加担させられてしまうのである。

4月2日記

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