板垣雄三 ガザの状況を見れば、日本でも、私たちにとって大事なのは、[満州事変でも日中戦争でも太平洋戦争でもその欺瞞のカラクリが世界に知れわたっている]国の「自衛権」などより、民衆の抵抗権だということが再認識されるのです。
ジラード・シャリット軍曹と引き換えに再逮捕されている囚人たち全員の釈放、 封鎖の解除と通過ゲートの開放、 国連の管轄下で港と空港の再開、漁業の操業範囲の拡張、 [エジプトとの]ラファー通過ゲートの国際管理、 10年間の停戦とイスラエルの航空機がガザ空域に進入しないことについてのイスラエルの保証、 ガザ住民にエルサレム訪問とアクサー・モスクでの礼拝を許可すること、 イスラエルがファタハ・ハマース等の統一政府に口を出すなどパレスチナ人内部の政治には干渉しないことの保証、 ガザの工業ゾーンの活動再開。
上のように、ガザの人々のがわに立ち、ハマースの要求を世界に知らせようとする少数のイスラエル人もいますが、しかし、イスラエル社会の圧倒的主流は、驚くべき狂気の方向に押し流されつつあります。 そのような状況への警告として、次のような論調が人気を博していることも指摘されています(ナザレに駐在する英国人ジャーナリストJonathan Cook「ジェノサイドの呼びかけが主流となりつつある」)。 以下が、その問題の論調。
バルイラン大学アラブ文学講師のモルデハイ・ケダルは、テロリストのパレスチナ人どもに少年を誘拐して殺すのを思いとどまらせるには、彼らの姉たち妹たち、あるいは母親たちを捕えてレープしてやって思い知らせるしかない、それが我々の生きている世界の文化だ、と呼びかけ、大学当局はこれを譴責するどころか、ケダル博士はテロ組織の死の文化を問題にしているのであり、近代的法治国家が自爆テロとの闘いに苦労する中東の苛酷な現実を示そうとしたのだと弁護している。 また、国会副議長で政権の中枢リクード党党員のモシェー・フェーグリンは、ガザでパレスチナ人を無差別に殺し、あらゆる可能な方法を使って彼らをガザから立ち去らせるようにすべきだ、ということを公然と訴えている。
新しいホロコーストであり、 軍事占領と土地占取といのちの否定であり、 そのような支配・抑圧・人間と自然の抹殺に対してガザの市民たちの立ち位置はいのちの尊厳をまもるための人間的抵抗なのです。
日本国は、そんな米欧にひたすらすり寄り、自衛隊員の命を差し出す用意を固め、イスラエルへの武器供給への協力を決めています。ガザの抵抗は、ガザでだけ孤立してなされていてはならないでしょう。 |