ときに人は、あまりの嘆きの深さに言葉をなくす。あまりの憤りの激しさに沈黙する。「沖縄戦強制集団死に日本軍の軍命はなかった」という歴史教科書の改ざんに抗議して、2007年9月29日、11万6000人の人びとが沖縄県民大会に結集した。会場を覆った深い深い沈黙。それは、爆発寸前のマグマだった。その嘆き、憤りをこんなにも情感をこめて論理的に言葉にすることができるのだろうか。目取真俊氏の講演録『沖縄で考える　教科書問題･米軍再編･改憲のいま』は、憲法第９条の放棄にむかう日本の現在を、基地の島沖縄から凝視し、鋭い分析と、厳しい批判力をもって平和を考える人々全てに迫ってくる。第9条改憲、「戦争をする国」日本を目指す政府･自衛隊、それを支える「自由主義史観研究会」グループのうごめき、「軍隊は住民を守らない」という歴史の真理を抉り出したこの講演録を、どなたも、ぜひお読みください。
　

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