護衛艦「さみだれ」「さざなみ」のソマリア沖派遣反対!
働く者に金融破たんのつけ回しをするな!

 ちょうど1年前、史上最高益を“謳歌”していたトヨタ、パナソニックなど、日本の自動車、電機の大独占体が、今、史上最悪の経営危機に転落している。そして、彼らは、なりふり構わぬ首切りと賃下げの攻撃を、働く者たちにかけている。こうしたジェットコースターのような日本の独占体の急落は、昨秋、アメリカ投資銀行の相次ぐ破綻をきっかけとして、全世界の金融危機が一挙に噴き出し、世界恐慌の危機すら深まっていることを根拠にしている。だから、日本だけでなく全世界の資本家たちが、首切り、労働強化、賃下げに走っていることと軌を一にしている。

 パリの労働者たちは、「労働者に金融危機のつけ回しをするな!」を掲げて、300万人でゼネストに決起した。アテネの労働者は、昨年暮のゼネストから不屈の闘いを継続している。また、ラトビア、ハンガリーそしてチェコと新自由主義経済を推進した東欧諸国の政府は責任を追及され相次いで倒された。こうした中で、賃下げ攻撃に屈服して早々と春闘を倒した高木連合会長が御手洗経団連会長と「日本経済を救え」で一致し、にこやかに握手する姿は、異様そのものだ。労働組合幹部のこうした卑屈な態度によって、日本の勤労者大衆に、世界水準をはるかにこえた理不尽な犠牲がおしつけられ、非正規労働者は大量解雇され、職場にうつ病が蔓延するなど、弱者がより弱者を虐待する。秋葉原事件がなぜ起きたのか!


 「金融破たんのつけ回しを許すな!」は、今や全世界の勤労大衆の合言葉である。WBCの勝利の余韻で浮かれている場合ではないのだ。


 ところで、このような経済危機の激震の中で、麻生首相は、北朝鮮が宣伝する人工衛星と称する物体の発射実験の予告に対して「破壊命令」なるものを仰々しく発令した。実験ロケットから切り離され、“自由落下”する付属品が、日本国民にとって最大の脅威だと言うのだ。北朝鮮の“テポドン外交”もさることながら、“使い捨て部品”の落下を“敵機襲来”とみなしてMDシステムの臨戦態勢を発動し、“空襲警報”を発令して、国民をも“銃後の守り”に動員しようする麻生政府のやり口の方がいっそう異常であり、より警戒しなければならない。


 経済的にも軍事的にも圧倒的な力を誇ってきたアメリカの凋落に対して、中国やロシアが新興諸国とともに対抗しているだけでなく、EUの大国フランスも独自の利害を主張している。昨秋来、NATOの作戦として開始された「ソマリア沖海賊対策」は、スーダン、中央アフリカへの中国の急激な進出(対アフリカ貿易量はこの10年間で50倍)への巻き返しを狙うEU・アメリカの軍事行動という性格を刻印されている。だから、中国は、国連の呼びかけにすばやく応じ、中国海軍をアデン湾に出兵した。そして、オバマ大統領に尻を叩かれた麻生首相は国会審議も法整備も無視して米軍合同任務部隊のシッポに自衛隊を組み込むことを前提に、護衛艦隊を出動させた。アデン湾はアフリカの資源をにらんで各国の利害がぶつかり合うルツボとなっている。こうして彼ら権力者たちは、経済的危機からの脱出を、一方で犠牲の一切を働く者に転嫁すると同時に、他方で、外に向かって国家的な権益を暴力的に確保することに血眼になっているのである。


 私たちは、今、窮乏化と戦争の危機をひしひしと感じざるを得ない。このような危機を覆していく力強い闘いを、広汎に巻き起こそうではないか。第9条の旗を掲げて。

       2009年3月29日
                               第9条の会・オーバー東京

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