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日本の第9条を愛するみなさんへ―
2009年11月3日 第63回憲法公布記念日に寄せて
チャック・オーバービー(第9条の会/USA)

戦争放棄をうたった新憲法の63回目の公布記念日にあたり、いささかの希望と不安とをあなた方と共有できる機会を与えてくださった事に感謝します。戦争を放棄した憲法9条はたんに日本のものであるばかりではなく、人類の叫びであると私は思います。

みなさんは新しく鳩山首相を迎えました。そのことは、日米両政府が憲法9条の真髄を壊すことが、少しむずかしくなるかもしれないという希望をもたらしています。みなさんはこの新しい状況下で、憲法9守りぬくための、強く、かつ非暴力的な闘いを続けなくてはなりません。

「平和」問題についていえば、アメリカ大統領のバラク・オバマが2009年にノーベル平和賞を授与されたことは驚きでした。たしかに彼の2009年4月のプラハ演説は希望をもたらしました。しかし、残念な事に前政権からオバマに残された国際的、国内的な混乱はあまりに大きく、オバマの巧みな演説にもかかわらず、彼は彼の約束を完遂する事はできないと私は思います。なぜかといえば、アメリカには経済破綻に陥りながらも巨大な財政支援やボーナスを受け取るような軍事・産業・大学・企業・財政等にわたる巨大な権力構造があるからです。

さて、ノーベル平和賞の事ですが、第9条を愛する日本の数人の方から頼まれたことがありました。2009年の候補者の推薦に関して「九条の会」と「ピースボート」の活動について、オスロのノーベル平和賞委員会に対して支持の手紙を送ってほしいということでした。

最初、私は、こうした支援の手紙を書くことをためらいました。日本で第9条を支持するグループ間の対立を経験してきたからです。しかし私は、憲法9条がノーベル平和賞という評価を受けることの大切さを強く感じていたので、最終的に、ノーベル賞委員会の方々に連絡を取りました。

私は日本の平和グループの間の対立について私の意見をノーベル賞委員会の方に伝えました。私はその方々に、もし、憲法9条にノーベル平和賞という名誉を与えてくれるなら、日本の第9条を愛する人びとに、対立を克服するための「連帯」の平和メッセージを送って欲しいと頼みました。そして、私は2009年の「九条の会」の会、ピースボート、そして2002年の「第9条の会・日本」の創設者である勝守博士の3者を推薦し、この3者を一つのものとして、「名誉」と「財政的な賞金」も平等に分けるように依頼しました。
さて、ノーベル平和賞と、その結果について逆説的な性格について意見を述べさせてください。これは日本、アメリカ、そしてロシアをふくむものです。

アメリカ大統領テオドア・ルーズベルトは、1904年~1905年の日露戦争の講和を仲介した事で1906年にノーベル賞を授与されました。ルーズベルトは中国や東アジアとの貿易について、アメリカへの門戸開放を求めていました。ルーズベルトは日本に対して、もし日本がロシア人に対する攻撃を止めれば、たとえ、将来的に日本が朝鮮半島を植民地にしたいと考えたとしてもアメリカは沈黙を守るとほのめかしました。事実、日本が1910年(1945年まで)朝鮮に対してやったことについてアメリカは沈黙を守ったのです。

最後に、日本の第9条を愛するみなさんに私がとても感動させられたことば、知性と真理にあふれたことばを送ります。
「世界に悲しみがあふれていても、くじけてはいけません。今を正しく行動してください。寛容の心を大切にしてください。あなた方は目的を完遂する事を義務付けられてはいません。しかしそれを放棄してしまってよいというのではありません」
『タルムード』(ユダヤ教の経典)から

チャック・オーバービー
1991年 第9条の会/アメリカ 創設者
オハイオ大学名誉教授
第2次大戦と朝鮮戦争退役軍人(朝鮮戦争でのB29 戦闘機パイロット)
平和のための退役軍人会会員

2009年9月3日撮影(c)

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