公務員給与の不思議なデータ

ネットで次のような不思議なデータ画像が目に入ったので、検証してみました。
 (データA)

1、日本の公務員平均年収「898万円」について
 「給料.COM」サイトでは、次のようなデータを掲載しています。
a.「国家公務員の年収を試算する(2011年)」の「年収試算額」は650.9万円です。
  http://kyuuryou.com/w542-2011.html
b.「全国の自治体職員(全職種)の月収・年収ランキング(2011年)」では、406.4万円(大分県姫島村)から778.8万円(東京都多摩市)まで様々ですが、単純平均すると591.5万円となり、これがほぼ地方公務員平均年収となります
  http://kyuuryou.com/w678-2010.html
c.国家公務員数 対 地方公務員数 は、57.6万人対231.4万人ですから、650.9万円と591.5万円の加重平均値の602.9万円がほぼ公務員平均年収となります。
  https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2014/seifuan26/05-17.pdf
d.ついでに、上のサイトのデータで公務部門の人件費から、公務員1人当たりの人件費を計算すると、26.3兆円÷289.0万人=910.0万円/人となります。人件費には、給与費以外に、福利厚生費、退職給付費用なども含まれます。
e.したがって、データAの数値は、日本の公務員平均年収とはかけ離れていて、自治体の中で最高額の多摩市職員の平均年収よりも100万円以上多く、むしろ日本の公務部門の人件費額に近い数値です。

2、アメリカの公務員平均年収「357万円」について
a.人事院の資料「諸外国の国家公務員制度の概要」の8ページ「X 諸外国の国家公務員の給与」を見ると、アメリカなど4か国の俸給が紹介されています。
  http://www.jinji.go.jp/syogaikoku/syogaikoku.pdf
b.アメリカの一般俸給表(ワシントン・ボルチモア地区)で平均値を計算するため、表示されている数字の中で中程度の、3等級3号俸28,938ドル、3等級8号法33,460ドル、13等級3号俸94,969ドル、13等級8号俸109,807ドルを合計して平均すると、66,793.5ドル、これを1ドル107円で換算すると714.7万円となります。
c.これがアメリカの国家公務員の平均俸給に近いと考えられ、そしてアメリカの公務員平均年収にも近いと考えられます。データAの数値とはかけ離れており、日本の公務員平均年収よりも100万円以上多い。

3、イギリスの公務員平均年収「256万円」について
a.第2項と同じ資料のイギリスの俸給について見ます。
b.イギリス一般職員の財務省の例では、4つの給与バンドについて最低額と最高額が示されてるので、これら8つの数値の平均値を計算すると31,990.1ポンドとなり、これを1ポンド172円で換算すると550.2万円となります。
c.これがイギリスの国家公務員の平均俸給に近いと考えられ、そしてイギリス公務員平均年収にも近いと考えられます。データAの数値とはかけ離れています。

4、ドイツの公務員平均年収「194万円」について
a.前項と同じ資料のドイツの俸給について見ます。
b.ドイツの一般官吏俸給表(月額)の中で中程度の、9等級2号俸2,494ユーロ、9等級6号俸2,971ユーロ、9号俸7号俸3,059ユーロの平均値は2,841.3ユーロとなり、これを1ユーロ137円で換算して12倍すると467.1万円となります。
c.これがドイツの国家公務員の平均俸給に近いと考えられ、そしてドイツ公務員平均年収にも近いと考えられます。データAの数値とはかけ離れています。

5、フランスの公務員平均年収「198万円」について
a.第2項と同じ資料のフランスの俸給について見ます。
b.フランスの「各省事務所機関群(高校卒)の例」と「高等行政官群(国立行政学院卒)の例」の俸給額表に示された数値の平均値は、306,489ユーロななり、これを1ユーロ137円で換算すると419.9万円となります。
c.これがフランスの国家公務員の平均俸給に近いと考えられ、そしてフランス公務員平均年収にも近いと考えられます。データAの数値とはかけ離れています。

6、以上の数値とデータAの数値の比較

各国公務員の平均年収(万円)
国 名私の算出値データA倍率
日 本602.98981.49
アメリカ714.73570.50
イギリス550.22560.47
ドイツ467.11940.42
フランス419.91980.47
 このようにデータAの数値は、現実の平均給与に対し、日本の場合は5割増し、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの場合は5割引き以上の修正が加えられている可能性があります。

 データAの公務員平均年収のその他の国、および民間平均月収については、検討する余裕がありませんでした。
 なお、「給料.COM」の「一般労働者の平均月収(2012年)」を見ると、「きまって支給する現金給与額」(時間外勤務手当など含まず)は325,600円でした(データAの数値は314,600円で、これに時間外勤務手当などが含まれているか否かは不明)。
http://kyuuryou.com/w01-2012.html

7.公務員給与と民間給与を比較して、公務員給与の方を下げよと主張することについて
a.公務員給与が下がれば、それを参考にする民間団体などの給与、生活保護費などを引き下げ、消費を押し下げ、その影響で民間給与も引き下げられる可能性があります。
b.公務員給与は、仕事の内容と社会環境から算出すればいいと思います。
c.むしろ、民間給与を上げる方策の方を考えるべきです。資本金10億円以上の大企業には、内部留保が285兆円も貯まっているようです。最低賃金法による最低賃金を引き上げ、そして下請け企業や納入業者がやっていける代金が支払われるよう、大企業に適正な取引を求める法律などを制定すべきです。
d.税金を大型公共事業に手厚く支出するのではなく、国民の生活水準を引き上げる事業に手厚くし、購買意欲と消費を喚起し、経済を潤し、民間も公務もどちらも上向くような政策をとるべきです。

2014.10.14 葛原健志

※Face Book上に次の画像が投稿されていました。
 これ、国家公務員の平均給与が599万円、民間平均給与が408万円という意味だと思います。
2015.9.6 葛原健志

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