Cursive Discography

バンドサイト

http://www.cursivearmy.com/

レーベルサイト

http://www.crankthis.com/cursive.html
http://www.saddle-creek.com/nf_home.html
http://www.makotorecordings.com/
http://betterlookingrecords.com/cursive_ey.htm

バンド公認ファンサイト

http://www.computela.com/cursive/

 1995年ネブラスカ州で結成。Tim Kasher, Steve Pedersen, Matt Maginn, Clint Schnaseの4人が原メンバー。後にSaddle CreekとなるインディーレーベルLumber Jack は、現Bright EyesのConor Oberst の作品を世に出すために兄がはじめたもので、メンバーは兄弟と幼馴染であった。初ep. The Disruption(1995 廃盤・公認ファンサイトに音源)はこのレーベルから出ている。

1997

SUCH BLINDING STARS FOR STARVING EYES
「飢えた眼にあの星の眩さは」
(crank! crc014)

 最初のアルバムは、エモ・ブームの中で全米に知られるようになっていたcrank!から。DCスタイルの色濃い激情エモコア作品。胸が痛くなりそうな青春アルバム。(生涯のある時期にしか作れないという意味。青春イメージソングではない。箸が転げても死にたい年頃ってあるでしょう。)この作品の熱烈なファンは、今もネットで時折みかける。

01  After The Movies [real audio]
10  Retirement [mp3]

07  Vermont 訳詞

夜を切り裂くステーションワゴン/ 後部座席で星を見つめてる
果てしなく続く木々の行進/ 街灯が滲んで流れる/レーザーを発して
この星空
俺の考えなぞどうでもいいこと/ 俺の心は信管を外した爆弾
さてこの先は

俺はもう役立たず/ エネルギーの無駄
筋肉は弱っちいし/ 考え込んでもすぐ詰まる
何も感じないのが楽チン
いずれ慣れるさ

バーモントの田舎道を走る車/ 取るに足らない己を思い知る
「良心の杖を頼りに/  気高き存在へ近づきましょう」
何たる浮世離れ/ 子供騙しの数々
現実から隔てられ/ 聖霊と聖人の導きで育った
さてこの先は

俺は素行不良/ 俺は病原菌
心は寄る辺なく/ 感覚は凍りつく
無神論万歳
いずれ慣れるさ
[原詩] 

SILVER SCOOTER / CURSIVE split ep
(crank! crc018/crc027 1998 CD)

05  Returns And Exchanges [real audio]

 Silver Scooter は最近解散したテキサスのエモロックバンド。3曲を提供。

1998

 ファーストアルバム・スプリットとも好調であったが、この年、ギターのSteve Pedersenが大学入学のためオマハを離れることになったことを機に、セカンドアルバムの発売を待たずにTim Kasherはバンドを解散してポートランドへ移り住む。

THE STORMS OF EARLY SUMMER : SEMANTICS OF SONG CD
「初夏の嵐:歌の意味論」
(Saddle Creek LBJ-22)

 惜しまれつつ解散した後に、古巣のサドルクリークから出たアルバム。全11曲。「人間対自然」「人間対自己」の二部構成のテーマアルバム。各曲にそれぞれのテーマの導入・クライマックス・結末といった意味づけが与えられているが、詞の面でも曲の面でもその意図するところは必ずしも判然としない。と思ったんですがなんとなくわかりました。第二部のクライマックス09-10-11のヤマがでかいので・・・と言い訳。サンプルの2曲がそれぞれ「導入」っていうんですからその盛り上がり推してしるべしです。第2部クライマックス「北風」は内なる嵐の話なので「自己」のほうでいいわけですが、ジャケ写の竜巻でなんとなくアメリカ中西部の大自然、って感じで聞いてました。場所はちょっとずれるんですけど、「オズの魔法使い」とかを真剣に読んでそうな、クソまじめな人たちをイメージしてしまうんだな。全体として完成度の高いアルバム。

01  The Rhyme Scheme [real audio]
07  Semantics of Sermon [real audio]

01  The Rhyme Scheme 訳詞

言葉に感情はない/意味を載せなければ/言葉は届かない
限定することが意味の役目/でも意味を載せるのは効果のため
安っぽいけど/うまく行くはず

君の注意を引くための精一杯/君は気がついてくれない/君は喜んでくれない
わかってくれない言葉と/聞いてくれない言葉を/ばらまいただけの歌詞

うまく行ってない/気持ちは相変わらず/調子は上向かない
言語分析は失敗/だから秘密を囁く/スピーカからシーッシーッ
詞に刻んだ言葉に/もう脈絡はない

君の注意を引くための精一杯/君は気がついてくれない/君は喜んでくれない
響きあう言葉/音が響きあい/昂ぶる言葉を/放り込んだ歌

意味などもうない
言葉は/通じない/意味は/やがて/無意味に
言葉は/疫病神/くどいばかり/気持ちは/伝わらない
この言葉はダメだった/言葉はダメだ/言葉はダメだ

09  When Summer's Over Will We Dream of Spring 訳詞

安全な場所/壁を背にし/肩をすくめて/問題は打ち切り
何もしなければ/何もされない/行いを控えよ/結果をやりすごせ
誰も動くな/誰もしゃべるな/それで万事OK
(止まったままだ/行き詰まり上等)
そして一眠り/そもそも目覚めたことなんてないだろ/そもそも何もしてないだろ
夏が終われば春を夢見る/安全は気力を奪う/逃亡者のハンパな歴史を刻め

安全な場所/電話は切ってしまえ/窓は毛布を吊るし/覆ってしまえ
誰もいないのなら/誰の責任でもない/返事はしない/あいにくだが奴らは
君を見透かせない/そもそも君はもう/誰の目にも見えない
(止まったままだ/行き詰まり上等)
厄介払いされるまでは。/そもそも存在してないだろ/いつでもどこでも過去形だろ
夏が終わればどうせ秋だ/安全は気力を奪う/ハンパな歴史/ハンパな歴史/ハンパな歴史

逃亡者/逃亡者/一緒にいれば安全だ
行いを控えよ/季節をやりすごせ/逃亡者
夏が終われば思いやるか?/ハンパな歴史を

10  Northern Winds 訳詞

針葉樹の木立を北風が吹き抜ける/列車のように
一個の激情が熟しはじけて/目指したものをこなごなに叩き割る
片手が作り上げたものを/もう一方の手がぶち壊す

窓に板を張れ/酒蔵に錠をしろ
平静を装っておさまるのを待つ/意志がどれだけ持ちこたえるかは/まわりに築いた壁次第
俺はもう疲れた

信じるって何だ?/今は保険に取り換えてしまった
壊れたものは交換がきく/信仰だって同じこと
・・・昔は木立を吹き抜けてたっけ/今は静かなもんだ
片手が作り上げたものを/もう一方の手がぶち壊す

窓に板を張れ/酒蔵に錠をしろ
いつまた熱がぶり返すかわからない
静かに見えたって/中で何かが発酵しているぞ
この木立にはいつも嵐が通り抜ける/列車のように

北風が吹いて俺たちの意志は丸焼けだ

1999

 一年余りの中断の後、Tim Kasherはネブラスカに戻り、サドルクリークのいくつかのバンドでギターを弾いていた友人のTed Stevensを加えて再結成、ライブ活動を開始する。サドルクリークは、インディーロック界のアイドルともいうべきConor OberstのBright Eyesや、Faintの人気が盛り上がり、全米で知られるようになっていた。

2000

 アルバムが好評な中、ライブバンドとしても知られるようになり、10月にはニューヨークでのCMJ Showcase、11月にはメジャーデビュー直後のAt the Drive-In全米ツアーのうち中西部でのツアーに同行。しかし、ATD-Iメンバーの怪我や交通事故のため、半分はキャンセルとなる。

CURSIVE'S DOMESTICA
「家内事情」
(Saddle Creek LBJ-31)

   男女間の破局をテーマにしたコンセプトアルバム。全9曲。テンションを維持しつつ、「エモコア」の枠ではもはやくくれない音楽性で高い評価を受ける。しかし、Tim Kasher自身の離婚がこの作品の原動力となっていることを、サドルクリークがプロモーションで公にしたことから、プロモーションのやり過ぎや詞の生々しさについての批判を受けることにもなった。

02  The Martyr [real audio]
06  The Lament of Pretty Baby [mp3]
08  The Radiator Hums [mp3]

02  The Martyr 訳詞

かくして始まりぬ/第一の年/男の形にて生まれし赤子/タオルにくるまれ/床に投げ出されり
この酔いどれの時刻には/慎みも散りはてり/天使より遣わされし女は/男の涙する目に口づけしける日もありき
今その目は女の胸深く埋もれ/涙は乳首を伝えリ

「泣かないで/いい子でしょ/あなたの涙はどうせアリバイ/感情がまだあるふりなんでしょう
 どうせ自分を憐れんでるだけ/とっとと十字架にかかるがいいわ/それがせいぜいお似合い」

かくして終わりぬ/絶望はしのびよる/寂しき救い主に/ライ病人に交わりて呑んだくれ/失いしはその肢/ベターハーフ
今しがたまで半ば充たされしグラス/こうべを半旗と掲げ/9時から5時の犠牲なりと言い張る
その不毛なパターンこそが/不毛な生を生めリと

「あなたの涙はどうせアリバイ/感情がまだあるふりよ/どうせ自分を憐れんでるだけ
 その悲しみで一ヤマ当てたらどう?/私をネタに悲しい歌でも書くがいいわ/苦しみを叫んで聖人ぶるのね」

ああ、殉教者

09  The Night I Lost the Will to Fight 訳詞

触媒が要る/再び火をつけるためには/炎の燃えていた拳に/残ったのは敗北
ある二月の晩/僕らは苦しみを叫び合った/気を使ったつもりだ/その気はあったんだ/その気は
でも氷柱の檻は伸びるばかり/そして僕は戦意を失った

2001

 1月から若手エモバンド Small Brown Bike と東海岸ツアー。春には西海岸単独ツアー。 Gretta Cohnが加入してチェロを担当する。秋のCMJ Showcaseは、ニューヨークテロ事件のために中止となる。

BURST AND BLOOM ep
「炸裂開花」
(Saddle Creek LBJ-35)

 5曲ep。Gretta Cohnの加入前にレコーディングは終了していたため、後でチェロのパートを加えているのだが、不自然さは感じられない。

02  The Great Decay [mp3]

01  Sink to the Beat 訳詞

はっきりさせておきたい/俺は透過する/姿が消えるほど
このセリフを/俺は詩として排泄する/生意気にも創作と称する曲の上に
クリントのドラムが登場し/四拍子のヒップホップ/もう止まらない
EPの頭にしちゃユニークなアプローチ/謎めいて気を引く
安っぽい手だ/次のLPにつなぐ/マーケティング計画
いいファンがついてる/まじめにやってるバンド/おまけにDCサウンド
90年代初めのShudder to Think, Fugaziそれにチャペルヒルの音
これが最新版サドルクリーク

病気のようなメロディー/みじめさをかきたてる
メモリーに感染し/つきまとう
病気のようなメモリー/みじめさをかきたてる
メロディーに感染し/つきまとう

このセリフを綴るのは/俺の母性/仕立て上げるサウンドは/ハーモニーの顕現
だがつきまとう例の主題は/俺に思い知らせる
仕立てるその手がはしから/陳腐な夢を地に落としていると

はっきりさせておきたい/俺は反照する/姿を写すほど
このセリフを地面に捻じ込み/その同じセリフを観衆の頭上に吐き出す
俺はのたうつ電波/音もなく降り注ぎ/砕ける
海のかなたの島々に/届くことはできない
俺は墜落する飛行機/音もなく降りかかり/砕ける
海のかなたでエンジンは/ひっそりと爆発する
そこでは波のうねりが/揺らぐ自我を抱きとめ
メロディーを呑み込む
詩人は歌を踵にくくりつけ/ビートの底へと身を沈める
やがて止まり/圧力に砕けるまで
炸裂し花と散れ
ヒットソングよ/炸裂し花と散れ


SMALL BROWN BIKE / CURSIVE limited edition split ep
(Makoto Split 7" Series Vol. I)

 Nostalgia を提供。

2002

 3月からAppleseed Cast と初の欧州ツアー。6月にはeastern youthと中西部ツアーの後、日本ツアーも行う予定。

EASTERN YOUTH / CURSIVE split "8 Teeth to Eat You"
(Better Looking/Five One Inc)

01  Excerpts from various notes strewn around the bedroom of April Connolly, Feb. 24, 1997 [real audio]


The Good Life Discography

レーベルサイト

http://www.betterlookingrecords.com/goodlife.htm
http://www.saddle-creek.com/nf_home.html

 Tim Kasher の歌を主体とする「静かな」サイドプロジェクトとしてスタート。現在は、メンバー構成も固定し、Cursiveと平行してツアー活動を行っている。曲作りも、Cursiveでは曲ができてから詞を載せるのに対し、The Good Lifeではメロディーが先行、と語っている。楽器の構成もさまざまで、電子音を駆使するなど、実験的な音作りにも取り組んでいる。

2000

 アルバム発売後、ツアー。ライブメンバーは、Tim Kasher のほか、Bright Eyesのドラムにも参加するRoger Lewis、ギターのLandon Hedges 、さらに、ツアーサポートとして、Mike Heimがキーボードを担当。Superchunk, Arab Strapなどと共演。

V/A "Holiday Matinee volume 2" compilation
(Better Looking BLR002)

12  Tell Shipwreck I'm Sorry [mp3]

Novena On A Nocturn
「宵課九連祷」
(Better Looking BLR004)

 それまでにTin Kasher が作りためた作品から9曲。購入したばかりのドラムマシーンに熱中した時期の宅録作品。Faint のTodd Baechle もいろいろ助言しているほか、CursiveのドラムClint Schnaseとともに多くのトラックに参加。裏ジャケットはTim Kasher本人の絵。

02  The Moon Redhanded [real audio]
03  Your Birthday Present [real audio]
04  An Acquaintance Strikes A Chord [mp3]

2001

 7月と10月に新譜のレコーディング。

2002

 2、3月にAzure Rayとレコ発全米ツアー、5月にはBright Eyesとともに東海岸ツアー。

BLACK OUT
「暗転」
(Saddle Creek LBJ-43)

 酔っ払いの一夜をテーマにした作品14トラック。トラックの進行に伴ない時間が進行する設定で、「過去の経験をもとにできた曲」。電子音が積極的に取り入れられている。ライブメンバーの三人に、キーボードのJiha Leeと各種楽器担当のRyan Foxが新たに加わった五人編成。Mike Heimはアコーディオンで参加。ツアーでもサポートの予定。

05  Early Out The Gate [mp3]
08  I Am An Island [mp3]


参考サイト

Delusions of Adequacy

 インディーロック情報サイト。レビューのほか、インタビュー、ライブレポも読める。

actionattackhelicopter の過去ログ倉庫

 今はそれなりに体裁が整ったインディーロック情報サイトactionattackhelicopter.comも、当初は個人サイトの色が濃かった。編集長(とその女友達)がCursive/Tim Kasherに心酔していたらしく、短期間に3回の(かなりインフォーマルな、しばしば酔っ払った)Tim Kasher インタビューをこなしている。ついでに言うと、ライブレポ倉庫の奥深くにある、シカゴの場末の酒場での酔客相手のGood Lifeライブ(潜入)レポは、二人の青春の記録として面白い。

Pitchfork

 いわゆるエモのバンドには辛口な大手インディーロックサイトだが、Cursiveには例外的に評価が高い。

Splendid

 イリノイ州のインディーロックサイト。辛口レビュー。

Rocket FuelによるStorms of Early Summerレビュー

 Cursiveの(最初の)解散がどのように惜しまれたか。98年のインタビューあり。

CMJ

 ご存知最大手インディー音楽ビジネス。DomesticaとBurst and Bloomのレビューはいつ消えたのか?

Lazy-i

 オマハの音楽情報サイト。Tim Kasherの友人がやっているだけあって、インタビュー等も豊富。

digital club network

 ストリーミングサイト。メールアドレスをRegisterすれば、Cursiveのライブ6本が見られる。ちなみにGood Life も一本ある。


 なお、上記のほぼすべての作品が、Saddle Creek の通販サイトで入手できます。