 ニッサン、トヨタ、タキ・レーシングチームのいわゆる「Ｔ・Ｎ・Ｔ｣の対決に沸いている「６９年日本グランプリ」が、１０月１０日に行なわれることとなり、前年まで行なわれていた５月３日には、世界的に見てレースの中心に位置する“フォーミュラカー”によるレースを日本に確立することを目的とたフォーミュラ・カーによる“ＪＡＦグランプリ”が、行なわれることとなったのでした。翌１９７０年からは、ヨーロッパＦ―２選手権規約のエンジン排気量が２０００ｃｃに改定されることと将来日本を中心に展開されることが確実視されていたＦ．Ｉ．Ａ公認イベントである“パシフィック・フォーミュラ選手権”を見据えての開催でありました。
日本におけるフォーミュラカーの歴史は浅く、本田技研工業が、世界最高脈の“フォーミュラ・ワン”に挑戦したのが、１９６４年のことであり、その年日本で開催された「第２回日本グランプリ」においてのメインレースで、初めて、国際“フォーミュラ・スリー”のレースが行われたことは余り知られておりません。また、わが生沢徹が、ヨーロッパＦ−３修業に出かけたのが、１９６６年からであり、１９６６年当時の日本におけるフォーミュラカーの人気は、まったくといっていいほどなかったのが当時の現状でありました。 そんな中、１９６６年５月３日に行われた「第３回日本グランプリ」において、エキビジョンではありましたが、フォーミュラ・リブレ（どの規格にも該当しないレーシングカーのカテゴリー）が行われました。このレースには、のちの“フォーミュラーカーの三菱”を感じさせる“コルトＦ−３”がエントリーし、優勝をさらいました。翌年正式種目となったフォーミュラカーレースでは、写真左の“コルトＦー２Ａ”の望月修優勝し、“フォーミュラカーの三菱”の基盤を作りあげました。さらに、１９６８年「第５回日本グランプリ」になるとヨーロッパで個奮奮闘する“TETSU”人気にもあおられて一般観衆のフォーミュラカーに対する期待も大きくなり、同レースの前座で行われたレースでは、タキ・レーシングチームからエントリーした生沢徹の“ブラウンベアー・スペシャル”が三菱勢と対決し、多いに盛り上がりをみせてくれました。しかし、トップを快走していた生沢は残念ながらガス欠のためリタイア、実力を結果に結び付けることは残念ながら出来ませんでした(写真右)。
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