<受験生活について、よくある噂とその実態> 2004. 3.

※ 会社としての意見ではなく、個人的な見解です。

 

★1 上位のクラスにいかないと効果が出ない。

 

 ウソです。自分の現在の状況に見合ったクラスに出席することが一番自分のためになることは冷静に考えれば誰でもわかるでしょう。

この誤解は、上位クラスからはよい大学に行っている率が高いという結果から出てくるのだと思いますが、(その科目の)能力の高い生徒が上位のクラスになることが多い以上、これは統計的には当たり前のことです。実際には自分自身のことを考えないといけません。クラス分けのボーダーライン上にいる生徒の場合、下位のクラスで基礎的な勉強をした方が伸びることが多いように思います。普段の講義をきちんと理解しようとせずに、クラス分け試験だけ一夜漬けで勉強するような生徒は一番結果が悪くなります。当たり前の話で、たかだか学習塾のクラスが上位であるぐらいで大学が入れてくれるわけではないということをお忘れなきように。

自分に必要な勉強内容はなんなのか、慌てず冷静に考えるのがよいと思います。

 

 

★2 進度が遅いクラスでは受験に間に合わない。

 

 これもウソです。きちんと理解して進んでいるならば(これが難しいのだけど・・)、高3の冬休みまでに全範囲が終われば入試には当然間に合います。

しかし、実際には多くの生徒が内容をきちんと理解せずになあなあでOKにしているからこそ、早い時期に全範囲が終わらないと不安になるわけです。時間的余裕がほしいのは、その後の演習の中で答案の書き方を憶えようとするからですね。理解は不完全でも答案が書けてしまえばよいだろう、という発想です。勿論、答案の書き方というものはあります。問題演習の中でこれを手に入れることは可能でしょう。でも、演習の最大の目的は、まず理解の徹底です。理解が不完全なままではまっとうな答案など書けないでしょう。「わかっていないことは相手に伝えようがない。(だから答案に書けない)」これは当たり前のことですね。

 よく「高1のCクラス(数T未習の上位クラス)からEクラス(数T既習の下位クラス)に上がりたい」という生徒がいますが、進度の早いクラスに移れば当然飛ばす分野が出てきます。その対策は問題ないのでしょうか。理解せずにむりやり憶えるだけなら、高校の全範囲を中1や中2で終わることも可能でしょう。しかし、それが数学的発想だとか、論理の力を磨くことになるとは僕には到底思えません。

 迷ったら、迷うくらいなら進度の遅いクラスを選ぶべきでしょう。友達の知っていることを知らないというのは不安に思えるかも知れません。しかし、本当は、友達の理解していないことを理解する方がはるかに大切だと思います。

 

 

★3 問題はたくさん解けばよい。

 

 まあ半分は真実かも知れませんが(やらないよりはやった方がいい)、出題意図を考えずにたくさん解いても、パターンを変えられるとそれでダメというのではあまり効率がよくないと思います。第一、時間は足りますか?国公立型の理系受験生であれば、数学、英語、理科2科目、国語、そして社会までやらないといけません。国語や社会の比重は低いとしても、漫然と問題を解く時間などないことに気がつくはずです。

 問題演習は、出題意図をしっかり考えながら、そしてきちんと解説を受けられるものを選ぶのがよいでしょう。考えながら解こうという以上、分量には限度があります。(化学についていうと)現役であれば、SEGのテキストをきちんとやって、その上で余裕があってからはじめて考えればよいでしょう。大抵はそんな余裕はなく、そのまま受験校の過去問を解いていくことになると思います。

 大量の問題を用意して、その前でうろたえるだけなどということのないように。

To be continued