Dec. 1999


ver. 99.12.11

 11月の半ば過ぎ、ニュー・メキシコのホテルでダグ・サームが亡くなって。FMで追悼特集をやったり、雑誌に追悼記事を書いたり…。彼がどんなにごきげんな音楽を作り続けてきたのか、喜びも悲しみも切なさもすべてを呑み込んだような彼のしゃがれ声がどれほどかけがえのないものだったのか、そんなもろもろを再確認しながら、でも、59歳での他界は早すぎるな、と淋しい気分になったばかりだったってのに。

 リック・ダンコが亡くなった。現地時間で12月10日の朝。ニューヨーク郊外の自宅で。前日に56歳の誕生日を迎えたばかり。ダグ・サームのとき同様、死因について詳しい情報はまだ発表されていない。ここ数カ月、ソロ・アルバムのレコーディングを続けており、作業は順調に進んでいたとか。

 ザ・バンドの最大の魅力というのは、やっぱり3つの極上の歌声が様々な形で交錯していたことだと思う。カントリー的な粘り腰の泥臭さと、ブルーグラス的な白さと、R&B的な黒っぽさとが軋みをあげて混ざり合うリヴォン・ヘルムとリチャード・マニュエルとリック・ダンコの歌声。彼ら3人、強力なリード・ヴォーカリストたちが、それぞれの持ち味で曲を歌い分けるさまは、本当にスリリングだ。

 でも、ぼくたちはまずリチャード・マニュエルの歌声を失った。そして今度はリック・ダンコだ。嘘だろ…って感じ。リチャード亡きあと、それでもレヴォンと2人で受け継いできたあのハーモニーは、とうとう聞くことができなくなってしまった。心から冥福を祈ります。




ver. 99.12.3

 言い方はいろいろでしたが、まあ、要するに“いいかげん、更新しろ…”というメールをだいぶもらいました。数十通かな。更新ないのにページに足を運んでくれたみなさん、ありがとう。すいませんです。忙しくてねー。

 で、ピック・オブ・ザ・ウィークとレビューを久々に更新したわけですが。まだ忙しいです(笑)。年末は仕方ないかな。ただでさえ年末は忙しいのに、自分のバンドのライヴのスケジュールなんか入れちゃって、自分の首をしめてる感なきにしもあらず。バカだね。ただ、ひとつ覚えておいていただきたいのは――。ここのページの更新がないってことは、ぼくが他の仕事で忙しいってことで。てことは、テレビとかラジオとか雑誌とかライヴとか、ホームページ以外のいろいろな場所でぼくの原稿とかDJとか、そういうのを楽しんでいただけるってことでもありますので。他のメディアもぜひチェックしてやってください。

 この12月からは、なんと大阪有線で2時間のDJ番組、始めました。このホームページで紹介しているようなCDニュー・リリースをばんばんかけまくる番組です。U-Cool CB30チャンネルで、毎週水曜だったかな? 1日に何回かリピートされていると思います。有線を自由に聞ける人って少ないとは思うけど、もしそういう奇特な方がいましたら、聞いてやってください。けっこう楽しいと思います。タイトル? 番組タイトルは『萩原健太のナッシング・バット・ポップ』です(笑)。有線聞けない方は、引き続きNHK−FMのほうをよろしく。

 ところで、ソニーがオンラインでの音源有料配信、発表したけど、1曲350円だってね。バカみたいね。高い高い。相変わらず現場感覚のない人たちがオンライン配信を仕切ろうとしているんだろうね。MP3オンリーでリリースされたゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツのアルバム『Long Tall Weekend』とか、全15曲入りで、確か8ドルくらいだったよ。1曲ごとでも1ドル程度だったと思うなぁ。ソニーが350円って値段を打ち出した根拠ってのが、CDシングル1枚1000円って値段みたいだけど、だいたいこのCDシングルの値段自体がおかしい。無根拠。全然ダメ。350円くらいでないと著作権料も支払えない…とか、そんなことも言っているみたいだけど、どうでしょう。現状のJASRACみたいな謎の中間業者の存在を取っ払って考え直さないと、本当に新時代の音楽配信形態なんて生まれないと思うけどなぁ。もっと、こう、音楽を買うってことの本質とか魅力とか、そういうのをわかってる人が仕切ってほしいものです。心からそう願います。

 あとは何があったかなぁ。長いこと更新してなかったので、いろんなことがあったような気がする(笑)。そうだ、グルーヴァーズのライヴに行ったんだ。渋谷クワトロでのライヴ。3ピースのロックンロール・バンドとして、彼らはほんと、何ひとつ間違った点がない、一点の曇りもないパフォーマンスを展開していて。こういうやつらが日本にもいるってことがうれしくてしょうがない。クセになりそうな、痛快な夜だった。

 それから、例のエルヴィス・コンサートのために来日したジェームス・バートン、ジェリー・シェフ、グレン・D・ハーディン、ロニー・タットという伝説のリズム・セクションに会えたんだった。これもうれしかった。エルヴィスのことばかりでなく、グラム・パーソンズのこととか、デイル・ホーキンスのこととか、ドアーズのこととか、いろいろ聞けたし。インタビューはそのうちレコード・コレクターズ誌で発表できると思います。

 他にもなんだかんだ忙しくやってたんだけど、なんだか思い出せません(笑)。で、インフォメーションです。まずCRTのほう。11月27日に新宿ロフトプラスワンで行なわれた『カントリー・ロックの補習vol.3〜20世紀ロック忘年会』、中村とうよう先生をお迎えしての実に勉強になるイベントでした。盛り上がったねー。で、次なる『補習』は2000年1月9日です。同じく新宿ロフトプラスワンに、フォーク/カントリーを語らせたら日本一の鈴木カツさんと宇田和弘さんをお迎えして、おなじみレココレ寺田編集長とぼくとともに新春カントリー・ロック大放談をぶちかまします。詳しくは近日中にCRTページのほうに載せる予定。

 それから、またまた私を含むインスト・ロックンロール・バンド、ダディ&ザ・サーフビーツのライヴ情報です。12月29日、高田馬場「ザ・フィドラー」で、大忘年会ライヴをかまします。前回同様、夜の9時ぐらいから深夜まで、4ステージくらいやりますので、見てやってもいいぞって方はテキトーに飲みにきてください。出入り自由だし、飲み代以外かからないし。気楽にどうぞ。「ザ・フィドラー」は明治通りと早稲田通りの交差点のとこ。高田馬場駅から来るなら、早稲田通りを早稲田に向けて左側を歩いて約5分、明治通りとの交差点手前の三和銀行の地下です。あと、来年の3月ごろ、関西方面にも行く予定ありです。その節は、またどうぞよろしく。




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