Feb 1998

ver. 98.2.23

 しかしね。SPEED なんですけどね。

 デビューしたころ、ぼくは彼女たちが大好きで。公式デビュー生放送の瞬間をテレビでリアルタイムに体験するために某音楽賞の審査会に遅刻して行っちゃったくらいで。その勢いは「ステディ」のころまで続いて。で、去年になってから徐々に冷めてきて。とはいえ、夏のファースト・ライヴとか、そのビデオ・リリースとか、いろいろあって。ヒトエちゃんのダンスはごきげんだなぁ……とか思いながら、余熱にひたっていて。「ホワイト・ラブ」まではそれなりに胸震わせつつ愛聴したんだけど。

 さすがに今度のシングルは今いち盛り上がれないです。断トツで売れまくってるみたいだけど。歌のリズムが悪すぎて。バラけながら走るというか突っ込むというか。ミディアムでハネる曲調なのに歌が乱雑に突っ込むからグルーヴが全然生まれない。「ゴー・ゴー・ヘブン」のときも、サビの2拍目アタマでもうユニゾンが乱れるという、なんともお子ちゃまシンガーらしい未熟さを露呈していた彼女たち。そろそろ、もうちょい成長してほしいなと思うおぢさんリスナーでありました。イヂチなんとかも、プロデューサーならそのくらい教えりゃいいじゃんよ。

 しかも、曲自体、「ホワイト・ラブ」のときに懸念した通り、デビュー当初のおてんばヒップホップ路線を捨てた、なんつーか、哀愁の歌謡路線だもんなぁ。TLC が好きだった君たちはどこへ行った。もっとやんちゃに引っかき回しててほしかったけど。仕方ないか。日本の歌謡シーンでは、スターはこうやって大きくなっていくわけですね。

 お前は SPEED にそんなに多くのものを託していたのかと笑われるかもしれません(笑)。その通りでございます。すんません。



ver. 98.2.10

 昨日、ぼくがDJやってるNHK−FMの番組で、まるごと1時間半使ってカール・ウィルソン追悼番組を生放送してきました。まだ淋しいけど、でも、だいぶ冷静になれました。

 とはいえ、近年のビーチ・ボーイズというのは、マイク・ラヴとカール・ウィルソンを2枚看板にしてツアーを行なっていたわけで。もちろんアル・ジャーディンもブルース・ジョンストンもがんばっていたけれど。少なくとも、デニスが83年に他界し、ブライアンもほとんどステージに姿を現わすことがなくなっていた今、ウィルソン兄弟のひとりであるカールがいたからこそのビーチ・ボーイズだったことは確か。カールこそがビーチ・ボーイズをビーチ・ボーイズたらしめていた、本当に重要な存在だったんだなと、改めて思い知らされた。

 そのカールが逝ってしまったわけで。もはやビーチ・ボーイズは存続しえないと思う。マイク・ラヴとアル・ジャーディンでビーチ・ボーイズを名乗られても、やっぱりファンとしても困るし。

 カールの死はビーチ・ボーイズの死でもあったんだなぁ……と、いろいろ考えれば考えるほど淋しくなります。ブライアンが参加しなくなってもビーチ・ボーイズはビーチ・ボーイズとして活動できたけれど、カールがいなくなったらもう無理。ぼくはけっこう以前から、ビーチ・ボーイズはもう解散すべきだとあちこちで発言してきていて。でも、それがこういう形で現実のものになるとは思ってもみなかった。だって、カールはオリジナル・メンバーの中で最年少だったんだから。

 ソウルフルで、あたたかいカールの歌声はこれからも永遠に聞き継がれてほしいなと思います。

 ヒンギスも負けちゃうし、カールは死んじゃうし、あとは愛子ちゃんにがんばってもらうしかないという、なーんかぱっとしない日々ですが。楽しい新譜もたくさんあって、そういう音楽聞いてるときはわくわくできるね。ちなみに、本日、わたくし誕生日でした。おめでとー、自分(笑)。

 そういや、もう直ってるけどさ、カール他界のニュースを載せたビルボード・オンラインのやつ、最初ブライアンの写真載せて“カール・ウィルソン”ってキャプションつけてたぞ。どーしょーもねーな、もう。



ver. 98.2.8

 カール・ウィルソンが亡くなった。

 2月6日、肺ガンのためにロサンゼルスで。土曜日、家族が彼の他界を発表したそうだ。去年から彼の病状がよくないことは伝わっていたものの、夏にはビーチ・ボーイズのツアーに出ていたし。きっと回復すると信じていたファンも多かったことだろう。ぼくもそうだった。

 カールはツアーの間も、ひとり孤独な闘いを続けていたのかと、今となっては心が痛む。今年になってから訃報ばかりで。このホームページでも、常に誰かが亡くなったことを書いてばかりいたような気がする。もちろん、人の死に優劣なんかあるわけがないのだけれど、今回ばかりはひどくがっくりきてしまった。

 ぼくが今も人生のほとんどをつぎこんで音楽を聞き続けている、その根底を作ってくれたビーチ・ボーイズというグループのオリジナル・メンバーが、またひとり、この世を去ってしまった。ひどく淋しい。

 でも、ぼくなんかの淋しさなんか大したことない。デニスとカールという二人の弟に先立たれ、去年の暮れには母親のオードリーも失ってしまったブライアンの淋しさに思いを馳せると、胸が張り裂けそうになる。

 カール・ウィルソン、享年51歳。心から冥福を祈ります。



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