What's New (November, 1997)



■1997年11月26日

 バカラックさん、ごきげんでした。

 11月25日の来日初日の公演を見てきましたよ。詳しくはノージんちのナウアデイズのコーナーで彼女も書いてます。見てやってください。

 “今日演奏する曲はすべて共通項があります。それは、どの曲もこのバンドのピアニストが作ったってことです”と、軽くアメリカン・ジョークをぶちかましてスタートするコンサート。メドレーも含めて何十曲やったんだかなぁ。「雨に濡れても」「アルフィー」「リーチ・アウト」「遙かなる影」「恋の面影」「ジス・ガイ」「幸せはパリで」「ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イズ・ラヴ」「恋よさようなら」といった、日本でもおなじみの鉄壁のバカラック・ナンバーがたくさん演奏されることはもちろんだけど、“のちに完成する私の持ち味がまだあまり出ていないので、みなさん、ちょっとびっくりするかも”と言って披露される初期のヒット・メドレー(ペリー・コモの「マジック・モーメンツ」、マーティ・ロビンスの「ストーリー・オヴ・マイ・ライフ」、ファイブ・ブロッブズの「ブロッブ」、ジーン・マクダニエルズの「タワー・オヴ・ストレングス」)もあるし、「ドント・メイク・ミー・オーヴァー」「メイク・イット・イージー・オン・ユアセルフ」「ブルー・オン・ブルー」「オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ア・ハート」「ウィッシン・アンド・ホーピン」「24アワーズ・フロム・タルサ」などなど、オールディーズ・ファンにとってマストな曲も次々登場するし。

 ポップス・ファンには、やっぱ見逃せないライヴっすね。「エニー・デイ・ナウ」やってほしかったっすけどね。



■1997年11月17日

 『ペット・サウンズ・セッションズ』が出て、相変わらず大騒ぎの毎日ですが。

 その『ペット・サウンズ』をはじめ、ビーチ・ボーイズの多くのレコーディングにも関わった名ギタリスト、トミー・テデスコ氏が現地時間の11月10日朝、亡くなりました。3年ほど肺ガンと闘っていたとのことですが、ここひと月は特に病院で苦しんだのだとか。最後はカリフォルニア州ノースリッジの自宅に戻り、安らかに逝ったそうです。

 小説『45回転の夏』などをお書きになっている小説家/翻訳家の鶴岡雄二氏が、やはりビーチ・ボーイズをはじめ多数のアーティストとのレコーディング・セッションで知られる女性ギタリスト/ベーシスト、キャロル・ケイさんとのメールのやりとりで知った訃報です。ぼくも鶴岡さんからのメールではじめて知りました。

 フィル・スペクター、エルヴィス・プレスリー、ビーチ・ボーイズ、フランク・ザッパ、モンキーズ、ヴァン・ダイク・パークス、J・J・ケイル、リンダ・ロンシュタット、スティーヴン・ビショップ、フィフス・ディメンションなどなど、ちょっと思い出しただけでも彼が参加していたレコーディング・セッションは無数。ジャズのフィールドでの活動もありました。本人のアルバムもありました。意識しないうちにも、彼のプレイはぼくたち日本のポップス・ファンの身体にもしっかりしみ込んでいるんだろうと思います。

 享年65歳。実は先週の末には『セッションメン』というドキュメンタリーの撮影のために、いわゆるレッキング・クルーの面々と集まることになっていたそうです。心からご冥福をお祈りします。



■1997年11月4日

 つーわけで。ナニが出たもんで。特集ページ作ってみました。『ペット・サウンズ・セッションズ』ね。日本の輸入盤屋さんにもどかっと入ってきたみたいで。入手した人も多いことでしょう。くー、たまんねーぜっ。

 ちなみに日本じゃ11月27日発売です。12月に入ったらぼくがDJやってるNHK−FMの番組『ポップス・グラフィティ』に山下達郎さんをお招きして、『ペット・サウンズ』大特集を1時間45分にわたって敢行する予定です。お楽しみに。あと、今月発売になるレコード・コレクターズ誌も『ペット・サウンズ』の大特集号です。ぼくはエルアールの黒沢健一くんと『ペット・サウンズ』の魅力について対談してます。