What's New (Feb, 1997)



■1997年2月5日

 雑誌から取材を受けたりするたびに言っていることだけど。

 やっぱりインターネットのホームページってのは、個人だよねぇ。企業とかがやっている大がかりなページは、まあ、ときどき便利だったりするんだけど、あれはまた別物って感じ。ホームページの基本は絶対、個人でしょう。インターネットってのはかなりグローバルな規模で展開されている新メディアなわけだけど、その在り方としては、既存のメディアで言うと、ラジオとか、あるいは単行本とか。そういう感じ。テレビじゃないんだよね、たぶん。コミュニケーションの構造が、あくまでも“個”対“個”。

 そういう特質を活かしたものとしての個人ホームページ。これがいいんだなぁ。個人の身勝手かつ暴走ぎみの思い入れみたいなやつが、ぼくは今、面白くてしょうがない。

 たとえば、大滝さんの『アミーゴ・ガレージ』の新コーナー、ナイアガラ観光船にリストアップされている数々のナイアガラ・ページとか。いいよねー。メールのやりとりとか、そういう直接的なインタラクティヴじゃなくて、同じ対象を愛する者たちがそれぞれでホームページを立ち上げて、それぞれをフラットに、あたたかく眺めながら、そこから得た“感触”を自分のページにまた反映させて……みたいな。あの感じがたまらなく、いい。

 それぞれのページはもちろん“個”。その“個”がたくさん集まって“集団”になるかと思いきや、これがまた、単にでっかい“個”ができるだけだったりして。どこまでいっても“個”。

 ぼくのリンク・ページにもリストアップしている「サラリーマン浅田」さんのページとかもそう。トニー・バロウズとトニー・マッコーレイだけであそこまで充実できるんだから。笑いが止まらない。

 さらにすごいのが、知る人ぞ知る、某大物アーティストのマネージャーさんであらせられますところの片山伸さんのページ。まだスタートしたばかりらしいけど、これまたすごいね。細かいネタだよー。細かく、しかし深いネタ。イタリア音楽好きとか、プログレ・マニアとかはぜひのぞいてみて。

 ぼくのホームページの場合、もちろん単なる趣味でやってるとはいえ、職業が職業だけに、かなり仕事とシンクロしているわけですよ。そのぶん、妙なバランス感覚がどこかに残っていたりして面白くないんじゃないかなぁとも思うわけです。でも、浅田さんも片山さんも、あるいは数々のナイアガラ・ページの方々も、仕事とは関係ないわけでしょ。だからこそ、暴走しまくり。バランスもへったくれもあったもんじゃない。

 この、深く、身勝手なパワー。すがすがしいじゃありませんか。