What's New (Aug, 1996)



■1996年8月23日

 近ごろは、10月にデビューする某新人アーティストのプロデュースをやっていて。ずっとレコーディング・スタジオ暮らし。プリプロやったり、アレンジしたり、お仕事とはいえ、これはこれでむちゃくちゃ楽しいわけですが。

 でも、いつものことながら、レコーディングに入ると、まじ、一日中そればっかやってるわけで。外界との接触が極端に減るねー。せいぜいメシ食うときとかにテレビで野球見るくらいでさ。あとはスタジオにこもりっきり。あとは毎日スタジオに向かう途中でマンガ買って、それ読む程度かな。夜中までレコーディングして、帰ってきてぱったり寝て。で、起きてシャワー浴びてスタジオ行って……って感じだし。

 でね。思うんだけど。一年中スタジオに入ってレコーディングしてる人とか、いるじゃん。あるいは、ある時期レコーディングしてて、他の時期はずっとツアーに出て、とか。そんなことしてたら、世の中の動きとか、絶対にわかんなくなるね。断言しますよ。俺、今、ほんの2週間くらいスタジオ入りしただけでわかんなくなってるもん。レコード屋さんとかにも行けないし。気をつけてないと、世の中の流れと完全に隔絶しちゃう。

 だからさ。よく、大物アーティストとかになると、スタジオ時間めいっぱい使えて。たっぷり時間かけたアルバムを2年ぶりにリリース……とか、そういうことがあるけど。大方、そういうアルバムってつまらなかったりするでしょ? “今回は新しい要素を取り入れました”とか胸張ってプロモーション・トークしている大物アーティストさんたちのアルバムを聞いてみたら、2〜3年前のビートに恥ずかしげもなく挑戦しているだけだった……なんてこと、よくあるし。たぶん、そういう大物さんたちって、その間、自分の音楽しか聞いてないんだね。こんな状況でごきげんな傑作を作れるのは、ほんの一握りの天才に限られると思う。

 その他の、まあ、たまたまCDが売れて、気分だけ大物になっちゃった凡人アーティストとかがどんどんダメになっていくの、当たり前なんだね。時代からどんどん取り残されて、とりあえず確立した自分の持ち味をセルフ・コピーするばかりになって。別にそれでもOKな人もいるとは思うけど、ぼくの場合は、いつも音楽と時代との接点みたいなやつばかりが気になっているもんで。そうなると、結局は本格ブレイク以前の新人アーティストにばかり目がいくことになっちゃう。

 あ、でも、今、ふと思ったんだけど。レコード会社のディレクターとかって、ほとんどこういう生活してたりするんだよね。こっちのほうが問題かな。レコード会社のディレクターで、本当に時代の流れとかをきっちりつかんでいる人、ほとんどお目にかかったことがないもんなぁ。みんな自分が学生時代に聞いていた音楽で止まっていることがほとんど。いかんねー、日本の音楽界の状況は。

 違う違う。別にこんな話を書こうと思ったわけじゃなくて。要するにずっとスタジオに入っちゃってるもんで、レコード屋にほとんど行ってなくて、あんまり新譜を買ってないんだって言い訳をしようと思ってたんだ(笑)。



■1996年8月11日

 マック・ユーザーの方! メニュー・ページのウクレレ・アニメ、うまく動いてません? ちゃんと星だけ点滅してるでしょ? やー、やったね。ようやくなんとかなりました。

 本ページの愛読者でもいらっしゃって、熱心なナイアガラーでもあらせられますところの Yanagita Takayuki さんのご協力によりまして、正常になりましたよ。GIFあに倶楽部ってのをやってらっしゃる山田治男さんからも、いろいろとていねいなアドバイスをいただきました。やー、ありがたいありがたい。

 しかし、最近、スピリッツとか読んでるとさ、マック擁護の論調が懸命に展開されてたりするでしょ。ぼくも一時マックを併用していた時期があるので、マックの良さはそれなりにわかってるつもりなんだけど。なんか、ああいうスピリッツ系の半端なマック擁護論を読まされると、やーな気分になっちゃうなぁ。デジスピはもちろん、「美味しんぼ」かなんかでも、だいぶ前だけど、マックが素晴らしくてウィンドウズは下品……みたいな話が出てきたよね。なんか、いかにも最近コンピュータを手に入れました的な初心者っぽい意見だった覚えがある。

 最近のマック擁護論って、みんな、あんまりマックの良さを語ってないみたい。ウィンドウズのどこそこがダメだ、だからマックのほうがいい……という、なんとも後味の悪いものになってることが多い。ぼくは以前、OS/2を使っていたこともあって。OS/2関連の雑誌を当時はよく読んでいたのだけれど。そのときも同じだったなぁ。ウィンドウズってシステムはこれこれこんな具合に不安定だ、だから堅牢さを誇るOS/2のほうがいい、と。

 でも、どうなんだろうねー。ぼくなんか、どんなOSだろうと、見た目がかっこよくて、そこそこ使い勝手がよくて、面白いソフトががんがんあるなら、それ使うけどね。この要素を今のところ満たしてくれているからウィンドウズ95を使っているわけで。これよりもアクティヴでかっこいいOSが出れば、ぼくはすぐにでもそっちに全面乗り換えしちゃうと思う。そういうもんじゃないのかな。道具なんだから、所詮は。いや、道具だと思わせないところがマックのいいところだ! とか主張されちゃったら話はそこまでなんだけどさ。自分のマックに名前つけてる友達、何人かいるもんなぁ。ふえー。

 いずれにせよ、様々な問題を抱えつつも、今はウィンドウズ95がいちばんアクティヴなOSであること間違いなし。シェアウェア/フリーウェア系ソフトのアップデートもパワー入りまくっているしね。こことか、こことか、こことか、ここを毎日チェックするのが楽しくて(笑)。

 そんなことばっかりしてて、更新が遅れたわけじゃないです。いろんな方から、早いとこ更新しろ、日経クリックでは“最低でも10日に一度は更新してる”とか言ってたじゃないか、ウソつくな……と、おしかりのメールをいただきました。すんません。ウソはいけませんね、ウソは。

 まあ、でも、こんなマイペースでやってる趣味のページを楽しみにしてくださってる人もいるってことを心にとめつつ、今回もレビュー・ページを更新。他には手をつけてません。そのうちね、そのうち(笑)。


追記 96.8.13

 さっきノージから聞いて知ったんだけど。ベンチャーズのメル・テイラーが亡くなったそうです。とんでもなく残念なニュースです。日本にホンモノのロックンロール・グルーヴをもたらしてくれた偉人です。心からご冥福を……。





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