May 2001


ver. 01.5.7

 しかしさぁ。ナップスター。悲しいねぇ。レコード業界の言いなりになってフィルタかけまくってるおかげで、特にレコード会社/アーティスト側が規制していない楽曲まで検索がブロックされちゃってて。

 まあ、ナップスターが現行の著作権法と様々な軋轢を引き起こすソフトであろうことは確かなわけで。とりあえずナップスター全面擁護派のぼくもそこんとこは認めるけど。それにしても、現行の著作権法自体への抜本的見直しもなしに、こんな素晴らしい、未来への大いなる可能性をはらんだメディアを頭からツブシにかかっているかのようなレコード業界の動きには反発を覚える。

 もちろん、買いますよ。買いたい音源ファイルを適切な値段で売ってくれていれば。最近はアメリカのタワー・レコードとかCDナウとかのサイトにもデジタル・ダウンロードのコーナーがあって。そこでデジタル音源ファイルのオンライン販売をしている。スミソニアン・フォークウェイズが出した『ザ・ベスト・オヴ・ブロードサイド1962〜1988』に収録されているボブ・ディランの「ジョン・ブラウン」をバラ売りしてくれていたので、それとか喜んで買ったけどさ。

 でも、買えればラッキー。買えないことも多い。特にCDナウは厳しい。ほしい曲をダウンロード購入しようとすると、主にリキッド・オーディオ系のファイルの場合、あんたの国から買うことはできません…とかメッセージが出ちゃって。あれも腹立つなぁ。こっちはちゃんと買うって言ってるのにさ。ストリーミングも北米以外では聞けない曲が多かったりして。あれは何? リキッド・オーディオ・ジャパンの陰謀? 違うか(笑)。

 じゃ、たとえば日本の音楽サイトとかがすんごく充実していて、特にアメリカのサイトを利用しなくても楽しいオンライン音楽ライフが送れるのかと言うと。日本のサイトは、どーでもいいようなJポップ音源ばっか乗せてるわけでしょ。アメリカのCDナウでは売っているサント&ジョニーの「スリープウォーク」は、日本のサイトじゃ売ってないわけでしょ。どうしてくれる?

 だいいち、日本も海外も、売ってるデジタル音源ファイルの音質、良くないよー。日本のを買うことはめったにないのだけれど、今回、大滝詠一師匠の「君は天然色」がソニーのビットミュージックから300円で発売になったので、縁起物ってことで買ってみたら。これがね。もうダメ。音、悪い悪い。一応、.wma形式のほうを買ったんだけど、実態はあのくそいまいましいATRAC3フォーマット。エンコードのビット数は134Kと表示されていた。でも、全然ダメっす。lameのバージョン3.88使ってVBR3、クオリティHigh、モードはStereoでエンコードした私製MP3と比べたら、まじに“雲泥”ですよ。もちろんMP3が雲ね。

 大滝さん自身はこのエンコードには絡んでいないんだろうなぁ。絡めばもう少しはまともになったのかも。万が一絡んでいるとして、それでこの程度ならもうATRAC3ってフォーマット自体に力がないことの証明だな。なんたって鳴り物シャンシャンの曲。特にエンコードのひどさが目立つ。シャンシャンいってるパーカッションの高域がつぶれまくってるし、時にはヴォーカルのエコー成分がいわゆるプリエコー、つまりショワショワ状態になっているところもあった。中域の音圧も薄い。低音の迫力もない。いいのか、これで。

 デコーダーの性能も悪いのかも。草の根パワー炸裂させて発展するMP3と一社が開発しているATRAC3とじゃ、性能向上のスピード感に関して勝負は歴然だ。

 もちろん、さっきも書いた通り、アメリカで売ってるMP3ファイルも大した音じゃないです。eMusicとかで売ってるMP3ファイルは、ほとんどCBR、128Kbit、ジョイントステレオ形式のものばかりで。一昔前のMP3の音。でも、アルバム1枚で8ドルくらいだし。まだ納得できる。日本は1曲300円とってこれだもの。あきれるしかない。昔のミュージック・カセットのほうがましなんじゃないの? ナップスター禁止して、ちゃんと売ってるもの買えって言うのなら、もっとまともな音のファイル用意してみろってんだ。でなきゃ、1曲せめて100円くらいにするとか。現状じゃせいぜい10円だ、10円。

 もちろん、今や世界のMP3ユーザーの間ではナップスターをしのぐすんごいファイル交換ソフトが主流になっていて(グヌテラじゃないよ)。そっちでは、何のフィルタもかかってない状態でファイルの検索&交換が今のところ可能になっちゃってるから。MP3愛好者としてあまり実害はないんだけど(笑)。

 ただ、今後、ブロードバンド時代が本格化してきて、ポップ・ミュージックのダウンロード販売がより一般的になったら、CDのリマスタリング・エンジニアみたいな感じで、エンコード・エンジニアの良し悪しが語られるようになるのかも。MP3界のビル・イングロットみたいな人が出てくるのかな。そういう未来が来るのなら、それそれでちょっぴり楽しそうだ。

 さて、今回の更新はピック・オヴ・ザ・ウィークはそのまま、レビューだけ、ちょびっと更新しました。去年の10月からまったく更新していなかったので、その間に出た素晴らしいアルバム群は無視…ってことにしました。すんません。年間ベストにも選出したようないいアルバムも、たっくさんあったんだけど。まあ、趣味のページなので、その辺の漏れはご容赦ください。やっぱりホームページの構造の抜本的見直し、しようかな。

 で、またも恒例の告知ですが。ダディ&ザ・サーフビーツは5月9日、高田馬場フィドラーにて、ライヴやります。夜の8時半か9時ごろから深夜まで4ステージ。ノーチャージ、飲み代のみ、出入り自由のショット・バー形式のお店なので、気軽に立ち寄ってください。でもって、6月10日(日)には銀座タクト(tel: 03-3571-3939)で、昼の3時から、ブルー・ホライズン、ロイヤル・フィンガーズ、ラットホリックなどとライヴやります。徳武弘文さんも出ます。わお。

 CRT&レココレのレコード・コンサート・イベントのほうは5月14日。和久井光司さんをお迎えして、ジョン・レノン&フィル・スペクターによる“ロックンロール・セッション”について、あれこれ盛り上がる予定。詳しくはこちらをどうぞ。




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