ビーチ・ボーイズに続いて、ザ・バンドのリマスター/ボーナス入り再発、始まりましたねー。うれしいですねー。音がむちゃくちゃ良くなっていて。でも、特にファーストの『ビッグ・ピンク』とか、あんなにいい音になっちゃうと『ビッグ・ピンク』じゃないみたいな気がするのも事実で。
で、ふと疑問に思ったのだけれど。今回のはリマスターなんだよね。リマスターってことは、もともとのミックスずみのマスターをクリーンアップしたってことで。それじゃ、ザ・バンドおよびジョン・サイモンさんたちは、当時のレコーディング・スタジオで今回のリマスターCDみたいな音を実は作り上げていたってことなのかな。それがカッティング用のサブ・マスターを作る過程で、あるいはカッティングの際に、ぼくたちが聞いていたような、どこかモワッとした音になっちゃったってこと?
ぼくは当時の日本盤しか持っていないので、外盤のカッティングがどうだったのかとか、全然知らない。アメリカ盤とかは今回のCDみたいな音になってたのでしょうか? どなたかご存じの方、よろしかったら教えてください。いずれにせよ、俺の『ビック・ピンク』ってのがあって。それは実はあのモコっとした音をしていた日本盤でなくちゃならないのかもしれなくて。その辺をわかったうえで、見事にクリーンアップされた今回のリマスターCDを思い切り楽しむ所存でございます。
今回はまず『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』から『カフーツ』まで4枚が出て。この後、さらにその後の4枚がリリースされる。そっちのボーナスもいいですよー。米キャピトルが配ったプロモーション用のアドヴァンス・コンピレーションCDを聞いたんだけど、『ロック・オヴ・エイジズ』には「ロッキン・チェア」のライヴ・ヴァージョンが入っているし、『ムーンドッグ・マチネー』にはゴスペル曲「ディドント・イット・レイン」のカヴァーも入っているし、『南十字星』には「今宵はクリスマス」の別ヴァージョンも入っているし…。うーっ!
と、そんなうれしい状況の中、しかし悲しいニュースもあって。8月25日、ジャック・ニッチェの他界。フィル・スペクターからモンキーズ、ローリング・ストーンズ、バッファロー・スプリングフィールド、ニール・ヤング、ミンク・デヴィル、グレアム・パーカー、トム・ペティなどなど、多くのアーティストに美しさと歪みとを併せ持った世界をプレゼントしてきたアレンジャー/ソングライター/プロデューサーの死。心からご冥福を……。今日、9月4日の『ポップス・グラフィティ』ではニッチェの追悼特集をする予定です。
さらに、26日にはビーチ・ボーイズにゆかりのエンジニア、チャック・ブリッツも逝去。こうやって時代がひとつひとつ終わっていくのだなぁ。それでも彼らが作り出した様々な音は、時に今回のザ・バンドやビーチ・ボーイズのように最新のリマスターがほどこされたりしながら、時代を超えて生き続けていくことができるわけで。音楽ってのは、本当にすごい力を持っている表現メディアなんだなと再確認してしまう。
気を取り直して。
そんな、時代を超えるすんごい音源満載でお送りできそうなのが、次回のCRTトーク&レコード・コンサート・イベント。日程は、9月19日(火)。そう、CRTのカリスマ、グラム・パーソンズの命日ですが。皆様の熱い要望に応えて、昨年の「20世紀ロック忘年会」に続き、またまた中村とうよう先生が登場してくれますよ! とうようさんが監修/選曲なさった名アンソロジー・シリーズ“MCAジェムズ”が、先日リリースされた『アメリカン・コーラスの歴史』をもって堂々20作目を迎えたのを記念するスペシャル・イベントです。題して“とうようズ“LIVE!”トーク2000”。アメリカ音楽の長くて深い歴史を、とうようさんの深い語りとともにおさらいしましょう。
いつものように東京・新宿ロフトプラスワンで、夜の7時半から。当日券のみ、ワンドリンク付き1500円っす。楽しく勉強になること請け合い。日々、勉強ですよ。
ついでに、いつものようにダディ&ザ・サーフビーツのライヴ情報もお伝えしちゃいましょう。9月はライヴ予定なし。10月14日は、いつもと違って水道橋の「東京倶楽部」ってとこで夜の7時半から4ステージやります。場所その他、細かいことはまたお知らせしますね。11月はまたいつもの高田馬場フィドラーで夜の9時半からやります。日程など、こちらもまたお知らせしますね。よろしくっ。
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