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Dan Baird

Atlanta Hooray!

Buffalo Nickel
Dan Baird
(American Recordings)


 元ジョージア・サテライツの中心メンバー。デフ・アメリカン/アメリカン・レコーディングズに移籍してからの第…2弾? 3弾? よくわかってませんが。少なくともぼくにとってはこれが2枚目のソロ作です。前のアルバムからシングル・カットされてけっこうヒットした「アイ・ラヴ・ユー・ピリオド」とかも大好きだったけれど、基本的にはあれと同じノリ。というか、ジョージア・サテライツの87年のヒット「キープ・ユア・ハンズ・トゥ・ユアセルフ」と同じノリ。変わっちゃいないってことだね、何も。もちろん表面的な音の手触りとかは幾分、時代とともに変わっているようだけど、結果表現される世界は同じ。豪快なアトランタ・ロックンロールですよ。

 ベアードのギターは相変わらずごきげん。重戦車ブギー・ギター。プロデュースを手掛けるブレンダン・オブライエンも演奏面で大活躍している。その他、アトランタ出身の南部系シンガー・ソングライター、ジョー・サウス御大がゲスト参加。すごい。サウス作の「ハッシュ」のカヴァーで新旧アトランタ男の熱い共演が実現だ。

 アメリカン・レコーディングズは、発足当時から裏ジャケットにホームページのアドレスを載せていることでもネットサーファーにおなじみの会社。今回もきっちり載ってました。興味がある人はのぞいてみては? ベアードに関する新たな情報も更新されてるかな。




O T H E R   R E V I E W S


Eazy E Str8 Off Tha Streetz of Muthaphu**in' Compton
Eazy E
(Ruthless)


 昨年、エイズで他界したイージーEのファイナル・アルバム。死を予感していたかのような歌詞が耳に時折りひっかかってきたりして。なかなかに複雑な気分。ドクター・ドレとの飽くなき抗争に言及した曲も相変わらずあるけれど、あの激しいもめごともこんな形で決着がついてしまうとはね。アルバムの仕上がりはまあまあ。オールド・ファンク風味を大々的にフィーチャーした「Sippin On A 40」、MCレンをフィーチャーした「Tha Muthaphukkin Real」、ノーティ・バイ・ネイチャーがプロダクションを担当した「Hit The Hooker」あたりがお気に入りです。アコギのループがかっこいい。

Sunny Day Service 東京
サニー・デイ・サービス
(MIDI)


 2月21日にリリースされるセカンド・アルバム。ここにも収録されている「青春狂走曲」がシングルで出たとき、おいおい、はっぴいえんどみたいな感じじゃん……とぶっとんだものですが。こうしてアルバムを聞いてみると、ますます、はっぴいえんど。本人たちはどういうつもりなんだろうと思って、先日インタビューした折りに聞いてみたら、やっぱりはっぴいえんどが大好きなんだそうで(笑)。24歳、24歳、25歳の3人組だってのに。面白いなぁ。中古盤で入手したはっぴいえんどのアルバムを聞いてはじめて“あ、日本にもロックがあったんだ”と思ったんだとか。それって、25年前にぼくらの世代が思ったことと一緒じゃん。

 かといって、はっぴいえんどのサウンドを現代によみがえらせよう! とか。そういうヤマっ気たっぷりのノリはまるでなし。自分が今、当たり前のように好きな音を正直に演奏したら、はっぴいえんどみたいになっちゃいましたって感じ。街に暮らす心象を淡々と綴る歌詞も心地好い。いけます。