..tell a friend!
ONCE BLUE
Once Blue
(EMI)
初期の、なんともみずみずしかったころのリッキー・リー・ジョーンズというか。エディ・ブリッケルというか。ときどきミニー・リパートンみたいというか。いきなり乱暴だけど、要するにそういう感じ。彼女たちのアルバムが好きだった人ならきっと気に入る。ニューヨークのクラブ・シーンを中心に活動しているらしき男女二人組のデビュー・アルバム。録音がベアズヴィル・スタジオだってところも、ちょっと泣かせる。
メンバーは、かつてミュージカル『アニー』に出演経験もあるというヴォーカルのレベッカ・マーティン嬢と、アコースティック・ギター担当のシンガー・ソングライター、ジェシ・ハリスくん。ウッド・ベース担当のベン・ストリート、ドラムのケニー・ウォレセン、ギター&キーボードのカート・ローゼンウィンケルらの的確なサポートを受けながら、ちょっぴりジャジーで、フォーキーで、実にグルーヴィーなサウンドを聞かせてくれる。ラテン風味の混じった曲では、どことなくダン・ヒックスの味わいも。
どういう連中なのか、まったく知らないのでロクなことは書けないのですが。いわゆるネオアコとか、そういうのとも全く違う、やはりニューヨークならではの90年代型フォークってことだろう。様々な伝統をちゃんと吸収し、継承し、混ぜあわせ、でもって確実に現在の息吹を感じさせる音に仕上げる、と。そういう感じ。ああ、そうそう、初期のヴァン・モリソンとかも好きそうだな、こいつら。
日本盤も間もなく出るらしい。『ミュージック・マガジン』誌での小倉エージさんの評(7点だって…)をはじめ、各誌とも、そんなにいい点つけちゃいないみたいですが、ぼくは気に入ったなぁ。こりゃ、ええです。
O T H E R R E V I E W S
アメリカン・レコーディングスからのアルバムなので、たぶん西の連中かな。これまた詳しいことがわからないのですが、ちょっとトボけたオケに乗せて、ごきげんな酔っぱらい系ラップを聞かせます。タイトルやらアーティスト名やらジャケットのデザインやらから判断して、アルコールものですな、これは。けど、ワタシのつたない英語力では歌詞がまったくわかってないので、最終的な判断は留保。音の肌触りは面白いけど。うん。
パーソナル・ベストテンのほうには、もうファースト・シングル・カット曲をランクインさせてますが。ガキんちょラッパーとして「ジャンプッ、ジャンプッ…」と一世を風靡したクリス・クロスの、んーと、3枚目だよね、確か。もう彼らも17歳。けっこううまい形で成長したんじゃないかな。メロウでスムースなラップ・アルバム。今、もっともポップなサウンドのひとつだと思う。
シングル・ヒットも生まれ、いよいよ注目度全開のウルフルズの新作。伊藤銀次のプロデュース、木原龍太郎、ユウスケ・サンタマリアらのサポートを受け、ぶちかましまくる。『ミュージック・マガジン』にレヴューを寄稿しているので、よかったら立ち読みでもしてください(笑)。ともあれ、中心メンバー、トータス松本の思い切りのいい曲作りと歌声が爽快だ。妙な戦略など度外視しつつ全員一丸、突き進む“青い”勢いは近ごろのヒットチャートが忘れていた個性。うれしい1枚っす。
(c)1996 Kenta Hagiwara
kenta@st.rim.or.jp