Shop Around List: 12/10/1995


■"The Luv Show" Ann Magnuson (Geffen)
 ドン・フレミングのプロデュース作品。オルタナ系の動向に全くうといワタシと しましては、この人が何者なのかわかんないのですが。詳しい人、もしよかったら 素性をEメールかなんかで教えてください(笑)。50年代っぽい、ジェーン・マンス フィールドとか、当時のキッチュでチープなセクシー・スターみたいなヴィジュア ル・イメージとともに登場した女性シンガー・ソングライターのアルバム。ガット ・ギター抱えてヌードでたたずむノスタルジックなピンナップまで付いてたりして。 けっこう、こいつふざけてます。キュートさと残酷さとが交錯する、世紀末おしゃ れオルタナ・ポップってとこかな。ジャズやらボサノバやらハリウッド映画音楽や らの感覚をオルタナティヴな視点から遊んでいるみたい。歌詞はかなりやばめ。曲 のタイトルからして「ミス・プッシー・パンツ」とか「セックス・ウィズ・ザ・デ ヴィル」とか。わりかしへたくそなのに重さと雰囲気はばっちりの演奏ともあいま って、これは気になる一枚に仕上がってます。

■"Wondermints" Wondermints (Toy's Factory)
 遅ればせながら、買ってみました。ブライアン・ウィルソンとエリック・カルメ ンがライナー(つっても、短いコメントみたいなやつ)を書いてるってことでも話 題の4人組。ブライアンが「もし67年に彼らがいたら、ぼくは『スマイル』を世に 出しただろう」とか語っていて。そんなすごいやつらなのか……と期待しまくりで 入手したのだが。まあ、なるほど、ジェリーフィッシュとかXTCとか、乱暴に言 っちゃえばそういう感じ。往年のポップ・センスで言うところの“いい曲”を書く バンドだ。アメリカの連中だが、いわゆるブリティッシュ・ギター・ポップ・バン ドとかと共通する手触り。ブライアンがらみの妙な期待が事前にないほうが正当に 惚れ込めそうかな。パワーと美しさとが同居するサウンドです。「トレイシー・ハ イド」って曲がずば抜けて切ない。これなんかは確かに、まさに『ペット・サウン ズ』って感じだ。アメリカのエルアール? 将来に期待。

■"Prophecy" Capleton (Def Jam / African Star)
 デフ・ジャマイカン……だそうで(笑)。まさにレゲエ/ヒップホップ・アンセム。 レゲエ・シーンからはスライ&ロビーなどが、そしてヒップホップ・シーンからは メソッド・マンなどがそれぞれ参加した強力な一枚だ。ウータン系の連中が持って いるルーズさとソリッドさが共存するビート感が、ここにもある。もう、フツーの ラガマフィンとかじゃないよ、これは。サウンド的にも存分にぶっこわれてて。か っこいい。「ツアー」「ヒートゥン・ライン」「ウィングズ・オヴ・ザ・モーニン グ」など、ごきげん。レゲエが苦手なぼくも近ごろは、まじ、ヒップホップを聞い ている限りレゲエをそうとうに意識しないといけなくなってきた。


(c)1995 Kenta Hagiwara
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