1999.10.9

Loose Shoes
And Tight Pussy

Alex Chilton
(Last Call)


 アレックス・チルトンの新作は、93年の『クリシェ』に続き、なーんと、全曲カヴァー。取り上げている曲はニューオリンズ系、スタックス系、スウィート系などを含むポップR&Bが半分、ジャズ系のスタンダードが半分。それをおなじみのトリオ編成でぶちかましている。

 ごきげんですよ。

 ニューヨーク録音のメンフィス落とし。普通ならホーンがやるべきフレーズとかを平気で単音フレーズで乗り切っちゃったり、なんか微妙にずれてる和音を鳴らしっぱなしにするチルトンならではのギター・プレイも全開だし、ソウルフルな歌声も健在だし。

 今回もフランスのレーベルからのリリース。かつてのボックス・トップスやビッグ・スターでの活動も含め、これほどの人が本国でどの程度ちゃんと評価されているのか、他人事ながら少々不安になってしまうのだけれど。どこの国のレーベルからであろうと、このごきげんな新作がリリースされたってことだけで十分か。オリジナルの新曲も聞きたいのはやまやまなれど、この選曲センスも含めて、ああ、アレックス・チルトンだなぁ…と、うれしさがこみあげてくる。

 で、その選曲はといえば、基本的には地味め。中でも少々有名なものをピックアップしておくと。R&Bものとしては、ご存じ「リップスティック・トレイシズ」「ウーガム・ブーガム・ソング」「グッドナイト・マイ・ラヴ」など、スタンダードとしては「エイプリル・イン・パリス」「シャイニー・ストッキングズ」「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」など。これらを、あのアレックス・チルトンのしゃがれた声とぶっこわれギターで、ね、聞きたいでしょ。聞いたほうがいいよ。くどいようだけど、ごきげんだから。まじに。

 ジャケットも近年のチルトンものにしてはかっこいい仕上がりです。


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