9月の命日を前に、カントリー・ロックの始祖、グラム・パーソンズへの素晴らしいトリビュート・アルバムが登場した。
生前の重要なデュエット・パートナーだったエミルー・ハリスが音頭取りだとか。もうひとりの重要なパートナー、クリス・ヒルマンももちろん参加している。楽曲および収録曲のリストを挙げておくと――
- She / Pretenders & Hmmylou Harris
- Ooh Las Vegas / Cowboy Junkies
- Sin City / Beck & Emmylou Harris
- $1,000 Wedding / Evan Dando & Julianna Hatfield
- Hot Burrito #1 / The Marvericks
- High Fashion Queen / Chris Hillman & Steve Earle
- Juanita / Sheryl Crow & Emmylou Harris
- Sleepless Nights / Elvis Costello
- Return Of The Grievous Angel / Lucinda Williams & David Crosby
- One Hundred Years From Now / Wilco
- A Song For You / Whiskeytown
- Hickory Wind / Gillian Welch
- In My Hour Of Darkness / The Rolling Creekdippers
ザ・バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズ、ソロ…と、満遍なく代表曲が選曲されていて。しかも、この曲にはこの人…という振り分けもばっちり。ベックとエミルーが見事にストレート・アヘッドな男女カントリー・デュエットを聞かせたかと思えば、マーヴェリックスがカクテル・ドラムのループをバックにまさにロイ・オービソン・シングズ・グラム・パーソンズといった風情のパフォーマンスを披露し、クリス・ヒルマン&スティーヴ・アールが典型的ホンキー・トンク・スタイルでぶちかまし、コステロがピアノをバックにずるいくらい情感たっぷりのバラード・シンギングを展開し、ルシンダが淡々とクールな歌声を聞かせ、ウィルコが彼ららしい非カントリー・ロック・アプローチでグラムへの敬意を表明し、一方ウィスキータウンはといえば、彼ららしく実に素直に同じ敬愛を表現し、ギリアン・ウェルチが持ち前の洞察力を発揮してオリジナル・ヴァージョン以上に深々と内省へと分け入り…。
クリッシー・ハインドの必殺の“ハレルヤ…”が胸にくる「シー」と、ヴィクトリア・ウィリアムス、マーク・オルソン、ジム・ロンダーデイル、バディ&ジュリー・ミラーというラインアップによるローリング・クリークディッパーズの「イン・マイ・アワー・オヴ・ダークネス」が、今んとこ個人的に最高のお気に入り。でも、他のパフォーマンスも悪いものなし。ベンモント・テンチ、ビル・ペイン、リー・スクラー、バーニー・レドンといったバック・ミュージシャン陣のプレイも的確。グリン・ジョンズ、ハープ・ピーダースン(ペデルセンさんのことね)らのプロデュース・ワークも悪くない。
ちなみに、本盤、ベトナム帰還兵絡みのベネフィット・アルバムになっているようです。
さあ、“カントリー・ロックの逆襲2000”のスタートですよ。
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