96年か97年、ノース・キャロライナ出身の期待のオルタナ・カントリー・バンドとしてシーンに登場したバックスライダーズ。ぼくが彼らを知ったのは、能地が定期購読している『ノー・デプレッションズ』誌の表4に97年初頭に出たという前作 "Throwing Rocks At The Moon" の再プッシュ広告が掲載されているのを盗み見したときだから、えーと、確か一昨年の暮れか去年のアタマくらいかな? で、さっそく入手して、そのハードコアなホンキー・トンク感覚とシンガー・ソングライターっぽい繊細な持ち味とが交錯する音作りに、即、ハマった。
そんな彼らの新作。メンバー・チェンジのごたごたも超えて、今回も素晴らしい仕上がりだ。あまり詳しいことはわかってないのだけれど、メンバー・チェンジによって、なんでも元 dB's と元バッカルーズ(バック・オーウェンスのバンドね)が同居するラインアップになったんだそうで。うれしい混沌だね、これは。
ハンク・ウィリアムス、ザ・バンド、ニール・ヤング&クレイジー・ホース、スティーヴ・アールなど、アルバムを聞き進めるうちに新旧の様々なキー・パーソンの名前が脳裏をかすめるのだけれど、かといってバックスライダーズに個性がないのかというと、絶対にそんなことはなくて。むしろそうした偉大な先達の同胞というか。まあ、ほめ過ぎかもしれないけれど、そうした感触がある。
中心メンバー、チップ・ロビンソンの曲作りも歌声もますます快調。痛快なコンテンポラリー・トワングものから、ドラマチックなミディアム、胸に痛いティアドロップ・バラードまで。キャッチーに突出した曲は特にないかもしれないけど、OK。男のアメリカン・ロックって感じっす。
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