1998.11.12

Introspect
Joe South
(Capitol/Toshiba EMI)


 トニー・ジョー・ホワイト、ジェリー・リードらとともに60年代後半のサザン/スワンプ・シーンを大いに盛り上げた重要人物、ジョー・サウスの最高傑作オリジナル・アルバムが、ついに世界初CD化! 以前ライノが出していたベスト盤ももはや廃盤の今、これは快挙でしょう。

 ジョー・サウスといえば、ビリー・ジョー・ロイヤルの「ダウン・イン・ザ・ブーンドックス」をはじめ、のちにリンダ・ロンシュタットもカバーした「アイ・ニュー・ユー・ホエン」、ディープ・パープルをはじめ多くのアーティストが取り上げた「ハッシュ」、エルヴィス・プレスリーの「ウォーク・ア・マイル・イン・マイ・シューズ」などの作者としておなじみ。セッション・ギタリストとしてもアレサ・フランクリンの「チェイン・オヴ・フールズ」、サイモン&ガーファンクルの「アイ・アム・ア・ロック」、ボブ・ディランのアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』などで素晴らしいプレイを聞かせている。

 そんな彼が68年にリリースした初のアルバムが、この『イントロスペクト』だ。数年前、インナー・サークルがレゲエ・ヴァージョンにアレンジしてリバイバル・ヒットさせた「ゲームズ・ピープル・プレイ(孤独の影)」をはじめ、リン・アンダーソンのヒットとしておなじみの「ローズ・ガーデン」、ロイ・ドラスキーがヒットさせた「オール・マイ・ハード・タイムズ」、ポール・リビア&ザ・レイダーズも取り上げた「バーズ・オブ・ア・フェザー」などの作者自らのオリジナル・ヴァージョンを満載。

 冒頭に記したトニー・ジョー・ホワイトやジェリー・リードらが南部人ならではの泥臭いフィーリングを前面に打ち出し、“スワンプ”というコアなコンセプトへと自分たちの音楽を凝縮していったのに対し、ジョー・サウスは南部ならではのファンキーな感触を中心に据え、そこからより多彩かつコンテンポラリーな音楽性めがけて積極的なアプローチを展開してみせた。そんな彼の持ち味を、本盤から明解に感知することができます。

 ジョー・サウスの試行錯誤は、間違いなくその後70年代初頭にピークを形成するカントリー・ロック/サザン・ロック・ムーヴメントにとって重要な指針のひとつとなったわけだ。この勢いで「ウォーク・ア・マイル…」とか「ドント・イット・メイク・ユー・ウォント・トゥ・ゴー・ホーム」とかが入った70年のアルバムのほうも、ひとつ。たのむ。ぜひCD化を。そのためにも、この盤、売れてくれーっ!


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