1998.2.23

The Northeast
Kingdom

Cheri Knight
(E-Squared)

 元ブラッド・オレンジズの女性シンガー・ソングライター。「今、最高のプロデューサー・チームなんだから」とノージが教えてくれたザ・トワングトラスト(スティーヴ・アール&レイ・ケネディ)の全面的後押しを受け、スティーヴ・アールのレーベル“Eスクエアド”からソロ・アルバムをリリースした。ブラッド・オレンジズのときはシェリル・ナイトとクレジットされていたけれど、名前を短くしたみたいね。

 なかなか力のある曲を作る人だ。本人のベース、スティーヴ・アールの生ギター、元 dB's のウィル・リグビーのドラム、元ブラッド・オレンジズのジミー・ライアンのマンドリンとマーク・スペンサーのギター……と、この辺を基本リズム・セクションに、曲によってエミルー・ハリスがヴォーカルで参加。スケールの大きいオルタナティヴ・カントリー・サウンドを聞かせる。

 ケルティックな深みをたたえたアコースティック曲から、フライング・ブリトーズみたいなエッジの効いたカントリー・ロック、トワンギー・ギターがうなるホンキー・トンク・ロックンロールまで、どの曲にもちょっとやばい雰囲気が漂っていて。ねーちゃん、やるね。

 しかし、スティーヴ・アール、Vロイズ、ロス・ライス、そしてこのシェリ・ナイト……。Eスクエアドって、ちょっと前のアメリカン・レコーディングズ並みの、こう、なんというか、レーベル買いしても損のない、かつてのアサイラムとか、イクイノックスとか、そういうレーベルに育ちつつあるような感じで。今後が楽しみです。



Let It Come Down
James Iha
(Virgin)

 こりゃまた、ずいぶんとさわやかな。

 スマッシング・パンプキンズのギタリスト、イハさんの初ソロ作だ。アメリカ生まれの日本人。最近知ったんだけど、井葉って書くんだってね。スマパンでのぶひゃーっとしたギターはまったく聞かれず、アコースティック・ギターを中心に、とても軽やかで美しいポップ・サウンドを作り上げている。80年代イギリスのネオアコをほんのちょっとだけアメリカの土臭さ寄りにシフトさせて、70年代のブレッドあたりの味をまぶしたような音。そこに、なんとも頼りなげなイハさんの歌声が絡んで。

 悪くないです。ラブラブな歌詞は額面通り受け取っていいのか? 90年代シンガー・ソングライター・ファンの隠れた人気者、ニール・カサルがギターとコーラスでほぼ全面的にバックアップしているのもおいしい。その他、スマパンのダーシーをはじめ、ファウンテンズ・オヴ・ウェインのアダム・シュレシンジャーやヴェルカ・ソルトのニーナ・ゴードンらもコーラスで参加。ペダル・スティールの名手、グレッグ・レイズもいい味出してます。



In Concert
The Style Council
(Polydor)

 1984年から87年まで、各国各地で収録されたライヴ音源をコンパイルした1枚。84年5月の日本公演からは「ヒアズ・ワン・ザット・ガット・アウェイ」と「マイ・エヴァー・チェンジング・ムーズ」が入ってます。

 カーティス・メイフィールドが2曲、チェアメン・オブ・ザ・ボードが1曲、ファンカデリックが1曲、あとはウェラーさんとタルボットさんの曲。ポール・ウェラー単体ではあまり好きになれないぼくですが、ミック・タルボットと組んでいるときのウェラーはとても好き。スタイル・カウンシルのファンキーな側面をがっちり支えていたのは、やっぱりタルボットなんだと思う。ライヴだと特にその辺の持ち味が発揮されていて楽しい。

 86年に出た『ホーム・アンド・アブロード』と合わせて、コンプリート版スタカン・ライヴMDとか作るのも楽しいかも。ぼくはあまり詳しいスタカンの聞き手ではないので、よくわかんないけど、ジャケットに貼られていたステッカーによると、4曲が初お目見えだそうです。カヴァー4曲ってことか?



Blues Brothers 2000
Soundtrack
(Universal)

 ジョン・ベルーシの穴を3人の新パートナー(ジョン・グッドマン、ジョー・モートン、そしてチビっ子のJ・エヴァン・ボニファント)で埋め、以前よりもさらに豪華なR&B/ブルース界のゲストを迎えて制作された、エルウッド・ブルースことダン・エイクロイド率いる新版ブルース・ブラザーズ。

 映画のほうの仕上がりに関してなんとも微妙なレビューが目に入ってくるものの、音のほうは……まあ、こっちも微妙か(笑)。エリカ・バドゥ、ジェームス・ブラウン、ロニー・ブルックス、ジュニア・ウェルズ、アレサ・フランクリン、エディ・フロイド、ウィルソン・ピケット、ジョニー・ラング、ブルース・トラヴェラー、タジ・マハール、サム&デイヴのサム、ドクター・ジョン、B・B・キング、ゲイリー・US・ボンズ、ボ・ディドリー、アイザック・ヘイズ、チャーリー・マッスルホワイト、ビリー・プレストン、ルー・ロールズ、ココ・テイラー、トラヴィス・トリット、ジミー・ヴォーン、グローヴァー・ワシントン・ジュニア、スティーヴ・ウィンウッド、ジェフ・バクスター、ウィリー・ウィークス、ジャック・ディジョネット、エリック・クラプトンなどなどなどなど、とんでもない顔ぶれを迎えての大ソウル・パーティ。迎え撃つブルース・ブラザーズ・バンドはといえば、もちろんスティーヴ・クロッパー、ダック・ダン、マット・マーフィー、ポール・シェイファーらツワモノぞろい。

 まあ、お正月特番みたいな気分で楽しむべき1枚でしょう。微妙だけど(笑)。ドノヴァンの「魔女の季節」、サンディ・ネルソンの「レット・ゼア・ビー・ドラムズ」、そしてごきげんなファンキー・チューン「ファンキー・ナッソー」あたりを取り上げるセンスは、やっぱりただ者じゃないです。




[ Home | Pick Of The Week | Kenta's Review ]
[ Features | What's Up Archives ]
[ Kenta's Chart | Fav Links | e-mail]


Kenta's
Nothing But Pop!

To report problems with this site or
to comment on the content of this site:
e-mail kenta@st.rim.or.jp


Copyright ©1998 Kenta Hagiwara