1997.12.15

Live
Asylum Street Spankers
(Watermelon)


 今年の6月に出た盤だとか。

 全然知らなかった。アーティスト自体、まったく知らなくて。でも、元ダン・ヒックスさんちのマリアン・プライスさんとか、ブレイヴ・コンボとか、いかれたカントリー・バンドのオーティン・ラウンジ・リザーズとか、アスリープのクリスマス・アルバムにゲスト参加もしていたティシュ・イノホザさんとか、ボブ・ニューワースとか、イアン・マシューズとかのレコードを出しているウォーターメロン・レーベルからのリリースだったので、池袋HMVでバクチ買いしてみました。

 前述の通り、これ、今年の6月に出た盤。しかも、1995年にカセットでリリースされたものに、96年収録の音源を加えてのCD化だそうで。あまりタイムリーな紹介じゃなく、申し訳ないですけど。でも、知らなかったんだからしょうがないね。1996年にリリースされていた初スタジオ録音CD『スパンクス・フォー・ザ・メモリーズ』のジャケットがかっこよくて。それで本盤と併せて2枚買いました。でもって、どっちも気に入ったんだけど、とりあえず今年のリリースにあたる本盤のほうを紹介します。

 テキサス州オースティンのバンド。一切エレクトリック楽器を使わずに、ブルースとかロカビリーとかカントリーとかグッド・タイム・ミュージックをぶちかます10人編成のいかしたやつらだ。メンバーの年齢層もずいぶんと幅広そうで、しかも男女混合。カズー、ウォッシュボード、テナー・バンジョー、ウクレレ、クラリネット、ヴァイオリンなどなど、楽器編成もなんだか魅力的。これまた、ダン・ヒックスやレオン・レッドボーン、パサデナ・ルーフ・オーケストラ、ジム・クエスキンズ・ジャグ・バンドあたりを嬉々として聞いていたぼくとしては、もうたまらなくうれしい。

 で、本盤はさっきも書いたように、95年に収録されたFMライヴ番組のための音源が10曲と、同じく95年に地元のクラブで収録されたライヴが7曲と、さらに96年に収録された音源4曲を抱き合わせたもの。ロバート・ジョンソンのブルースから、ガーシュインの「サマータイム」、ベンチャーズでもおなじみの「木の葉の子守歌」、アイヴォリー・ジョー・ハンターの「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」、ジミー・ウィザースプーンの「エイント・ノーバディズ・ビジネス」、そしてトラディッショナル、オリジナルまで……すべてごきげん。演奏も各メンバーともにかなり達者だ。ウォッシュボード担当のウァモってやつは、パンクなバック演奏に乗せてポエトリー・リーディングとも漫談ともつかない、やばそうな言葉を連発するCDをリリースしたりもしていて、こいつの語りとかもそうとう面白そう。

 96年の音源は、スタジオ盤『スパンクス・フォー・ザ・メモリーズ』同様、パンクなサイコ・ヒルビリー・バンド、バッド・リヴァーズのマーク・ルービンとダニー・バーンズがプロデュースしている。この組み合わせも気になるところだ。全米各地のクラブをツアーして回っているようだけど、見たいね、このバンドは。スクウォーレル・ナット・ジッパーズあたりと同じ手触りだけど、こっちのほうが、まじ、本格派。本格派のぶん、なかなか現代の音楽シーンで注目を集めるのはむずかしいかもしれないけれど、末永くがんばってほしいバンドです。


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