Kenta's ... Nothing But Pop

The Mommyheads
The Mommyheads
(DGC)


25th July, 1997



 ドン・ウォズのプロデュースってのに惹かれて買った一枚。

 10年ほど前にニューヨークで結成され、やがてサンフランシスコに拠点を移して活動する4人組のメジャー・デビュー・アルバムだ。これまでに様々なインディー・レーベルから4枚のアルバムを出しているようだけれど、ぼくは未聴。本盤を聞く限り、さほどインディーズ臭はないので、そっちのフィールドには収まりきらなかった個性なのだろう。

 いきなりメランコリックで、ちょっとインナーな手触りのミディアム・バラード「Jaded」でスタート。とてもシンプルな歌詞で綴られていながら、なんとも深い心象を表現しているようで、けっこう惹きつけられた。その後も、切なくもさわやかなポップ・チューンあり、タワー・オヴ・パワー・ホーン・セクションのドク・カプカのバリトン・サックスが強力にグルーヴする曲あり……。飽きさせない。

 一発録りを基本にしていると思われる音像も悪くない。ハモンド・オルガンやエレクトリック・ピアノのさりげないあしらい方も魅力的だ。コード感がスティーリー・ダンみたいな展開をする局面もあるし、ホール&オーツふうの切れ込みを見せることもあるし、10CCふうのひねくれ具合を発揮することもあるし。でも、いちばん近いのはポール・マッカートニーかな。往年のウィングスのアルバムを聞いているみたいな感触がある。わりかし気に入りました。聞き込むにつれ、さらに情がわきそうなアルバムだ。

 なんでもドン・ウォズは1995年に出た彼らのインディーズ盤『Bingham's Hole』ってのを聞いて、ソッコーでサンフランシスコへ飛び、プロデュースを申し出たのだとか。聞いてみたいね、そのアルバムも。


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