Kenta's ... Nothing But Pop
Reviews (Contemporary): 6/8/1996

Reviews   Music




Dilate Ani DiFranco (Righteous Babe)

 アニ・ディフランコ。全然、誰だか知らなかったんですけど(笑)。なんか、レコード屋さんで見かけた手書きの宣伝カードには、これが3枚目とか書いてあったけど、サーチエンジンで検索かけて見つけたホームページの資料では、なんと8枚目! 自ら“ライチャス・ベイブ”なるインディーズ・レーベルを主宰して、地道に活躍する女性シンガー・ソングライター。ぼくは今回はじめて聞いたんだけど。これ、いいですよ。まじ。

 ドラム以外、ギターもベースもキーボードもサンプリングも、全部本人。オープニング曲では、ぐっと内省的で、アコースティカルで、静かな音に乗せて、淡々と不安定な心理状況を描いていって、サビ、全然盛り上がることなく、つぶやくように“ふぁっきゅー”とか歌っちゃったりしてて。かっこいい。2曲目は一転して、ローファイなぶりぶりのフォーク・ヒップホップ。その他にも「アメイジング・グレイス」を不思議なグルーヴでリメイクした曲があったり。なかなかの吸引力って感じ。

 彼女のリンクってこーんなにあるのね。フォト・ギャラリーもあった。メーリング・リストもあった。人気者じゃん。なんだよ。知らなかったのはぼくだけ? 評論家失格かぁ?





Life Is Large The Kennedys (Green Linnet)

 この人たちのことも全然知りません(笑)。ピート&モーラのケネディ夫妻(か兄妹)を中心にした4人組だそうですよ。セカンド・アルバムみたいだけど。それも確かじゃありません。

 まず何よりもゲスト陣の豪華さで、つい買っちまいました。ロジャー・マッギン、スティーヴ・アール、チャーリー・セクストン、ニルス・ロフグレン、ディキシー・ハミングバーズなどなど。でもって、音のほうは、バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズ、エヴァリー兄弟、バディ・ホリーとか、その辺が好きな人にはばっちしみたいな。だから、ぼくにもばっちしで。よかったよかった。

 これもインディーズからのリリースなんだけど、やはりCDのブックレットにファンクラブのホームページ・アドレスが載ってたので、詳しくはそちらへ。素朴なホームページがありました。ぐーっ。





Good God's Urge Porno For Pyros (Warner)

 ペリー・ファレルって人は、ジェーンズ・アディクション時代に、まあ、いわば現在のオルタナ・シーンの基盤を作ったわけだよね。ロラパルーザを提唱したり。でもって、ジェーンズを解散して、パイロス作って。オルタナがポップ・シーンの中心的存在にまで裾野を広げた今、もはやファレルはそこにはいないっつーか。別の地平をめざして新たな試行錯誤を始めちゃったみたい。

 この3年ぶりのセカンド・アルバムが証拠。なまめかしくなった後期トーキング・ヘッズみたいな。何が何だかわからないたとえだけど。ええですよ、なかなか。深くて。ジェーンズ→レッチリと渡り歩いてるデイヴ・ナヴァロも、ジェーンズ解散のころのごたごたを乗り越えて1曲共演している。





Evil Empire
Rage Against The Machine (Epic)

 今さらぼくが何を言う必要もない大注目盤ですが。急進的なメッセージとぶっとびサウンドでおなじみ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのセカンドだ。前回の焼身自殺ジャケットから一転して、なんだかポップな(でも、じっと見てるとやばい)ジャケットだけど。音の激しさと勢いははるかにグレードアップ。まあ、レッチリとかビースティに比べると、歌詞も音も、かなり真摯なところが好き嫌いの分かれ目になっちゃうんだろうな。

 でも、今回はプロデュースがブレンダン・オブライエン。ブレンダンさんはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのシングルのリミックスとかもやっていたし、そういう縁での起用だろうけど、持ち味合ってるみたい。“いっちゃえー!”みたいな、細かいこと気にしないノリがたいそうよろしいです。ダン・ベアードとか、ストーン・テンプル・パイロッツとか、パール・ジャムとか、ブレンダン・オブライエンのプロデュース作は、まじ、90年代ならではのロック・サウンド。もちろん本盤もそうだし。いいね。

 9月かなんかに来日するんでしょ?




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