2001.3.19

Geoff & Amos
Geoff Muldaur & Amos Garrett
(Flying Fish/Vivid)


for CD Best 100: Woodstock Sound (revised)

 77年に日本で実現したジェフ・マルダー&エイモス・ギャレットの双頭コンサートを契機に生まれた1枚だ。ぼくが監修したCDベスト100シリーズ『ウッドストック・サウンド』(ミュージック・マガジン社)にも、彼の地で生まれた名盤のひとつとしてリストアップしたものだけれど。

 しかし、もともとジェフはかつてエイモスにむりやりウッドストックに連れていかれたのだそうで。あまり当地にいい印象は抱いていないんだとか。そう思うとこのアルバムがウッドストック・サウンド名盤100選に適切なのか少々不安ではある。録音もカリフォルニア州バークリーだし。

 でも、エイモスがいるから。本盤でのエイモスは素晴らしい。ギタリストとしてだけでなくシンガーとしても遺憾なく才能を発揮している。幅広い趣味を全開。ベター・デイズ時代にジェフが歌った「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」の作者パーシー・メイフィールド作の「リヴァーズ・インヴィテーション」、マリア・マルダーも取り上げた「エニー・オールド・タイム」同様ジミー・ロジャースの代表曲「キャロライナ・サンシャイン・ガール」、ジェフ&マリア時代に必殺のソロを提供した「ジョージア・オン・マイ・マインド」の作者ホーギー・カーマイケル作の「ウォッシュボード・ブルース」あたりは、過去の活動の流れをきっちり汲む絶妙の選曲としてファンを喜ばせてくれた。

 その他、エイモス中心のものとしてはチャック・ベリー作のエキゾチックな「ラ・フアンダ」も名演。ショパンのプレリュードを自分なりに解釈して聞かせる「プレリュード・イン・Eマイナー、第4番、作品28」や、チャイコフスキーを下敷きにした「ダンス・オヴ・ザ・シュガー・プラム・フェアリー」といったインスト曲には、のちにジョン・サイモンがアルバム『ホーム』でショパンのノクターンを自分なりにアダプトしたのと共通する手触りも。ザ・バンドによる「第三の男」っぽい感じもある。そうだ、ジェフによるちょっとアヴァンギャルドな構成の「チキン・シチュー・パート1」もジョン・サイモンの『ジャーニー』あたりに共通する空気感が感じられたりして。この雄大な“幅”と、それを軽々と自分の音楽に採り入れてしまえる柔軟さ。これぞウッドストック・サウンドの真骨頂だろう。

 うれしいうれしい、日本独占CD化。他にも、79年に新宿ロフトで収録されたデュオ・ライヴの模様を収めた『ライヴ・イン・ジャパン』と、ジェフさん単独の79年盤『ブルース・ボーイ』もCD化が実現。たまんないっす。



Live In Japan
Geoff & Amos
(Dreamsvill)

Blues Boy
Geoff Muldaur
(FlyingFish/Vivid)

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