2000.12.13

Road Rock
Vol.1

Neil Young
Friends & Relatives

(Reprise)


 97年に出た2枚組『イヤー・オヴ・ホース』がクレイジー・ホースを率いてのライヴ盤で。“アリーナ・ロックを演奏するガレージ・パンド”としての面目躍如の仕上がりだったのに対し、今回はベン・キース、スプーナー・オールダム、ドナルド・ダック・ダン、ジム・ケルトナーという屈強の面々を従えてのライヴ。ニールの奥さんと妹もバック・コーラスで参加している。ラストにはクリッシー・ハインドもゲスト・ヴォーカリストとして登場。

 いきなりノッケ、実際のツアーではラストに演奏されたという18分に及ぶ「カウガール・イン・ザ・サンド」でスタートするのだけれど。このイントロ部分、えんえんとハードなギター・リフが繰り返されるパートで、もうノックアウトだ。ほぼ普通の1曲分、ギョワ〜ン、ギョワ〜ン、ブイブイブイブイ…ってやってるもんなぁ。かっこいいなぁ。

 といっても、クレイジー・ホースと違って、リズム隊のグルーヴがステディなもんで。ニールさんの炸裂ぶりも聞きやすい。この辺は好き嫌い分かれるところか。『イヤー・オヴ・ホース』の場合、まあ、実際に会場で轟音に身を浸していれば感じ方も違うのかもしれないけれど、音だけ聞いているとニール・ヤングをはじめとするプレーヤー側の緊張感がふっと切れたように思える局面が何度かやってきた。なのに、その一瞬後にはこの上ない集中力を発揮してとんでもなくスリリングなプレイを聞かせたりして。この、なんとも一筋縄にはいかないところが、さすが世界一でかい会場を揺るがすガレージ・バンドって感じだった。今回はそういうのとは違う、もっとどっしりとした構えのもとで展開するニール・ヤング・ワールドだ。

 『イヤー・オヴ・ホース』との比較ばかりで申し訳ないけど。あのアルバムでは、冒頭、ニール・ヤングがいきなり“They all sound same. It's all one song”と叫んでいた。まさに、2枚組全部がひとつの曲のような単色の仕上がりだったのに対して、こちらは名プレーヤーを従えているだけあって、ぐっとバラエティ豊か。ケルトナーの“はね”の感覚が実に心地よい「ウォーク・オン」とか、わびしいカントリー・フィーリングと切ないブルース・フィーリングの交錯に男泣きしたくなる新曲「フール・フーォフア・ラヴ」とか、アコースティック・ギターに乗せた哀愁の「ピース・オヴ・マインド」とか、ドラマチックな色合いを深めた「ワーズ」とか、ヘヴィかつソウルフルにグルーヴするロックンロール「モーターサイクル・ママ」とか、深くブルージーな感触におぼれてしまいそうな「トゥナイツ・ザ・ナイト」10分ヴァージョンとか、クリッシー・ハインドをギター&ヴォーカルに迎えたディラン・ナンバー「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」とか…。

 アルバム・タイトルを見た人、誰もが抱く疑問として。「Vol.1ってことは、2も…?」。ぼくもそれ、期待してます。ついでに、このバンド連れてぜひ日本に! 頼む。ディラン→ニール・ヤングの二連発で21世紀の幕開けを迎えたいものです。


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