療養費立て替え金17億円詐取か 代行団体元会長を告発   2009/8/22 02:02

 柔道整復師の療養費申請を代行する「日本柔整保険機構」(大阪市)の元会長が、提携していた
東京の信販会社に立て替え金を水増し請求し、だまし取ったとして、詐欺容疑で大阪地検に告発されて
いたことが21日、関係者への取材で分かった。総額は2005年までの1年半で約17億円に上るという。
 療養費をめぐる詐欺事件は、患者が申請を委任する「受領委任払い制度」により柔道整復師ら個人が
不正請求し、支給した市町村や各企業の健康保険組合などの保険者が被害者となるのが通例。
 代行団体と絡み信販会社が被害者となるケースについて、厚生労働省は「実態もつかめておらず、
聞いたことがない」としている。代行団体に関する法的な規定はなく、制度の在り方も問われそうだ。
 日本柔整保険機構の関係者によると、機構は元会長が設立し、加入した数百の整骨院などの申請を代行。
02年8月の契約で、信販会社が申請の翌月に療養費を立て替え払いする業務も始めた。
 告発状などによると、元会長は信販会社に申請額を水増しして伝え、余分な立て替え金を自身が
経営にかかわる約10の整骨院に振りこませた、としている。
 立て替え払いのシステムは、申請から支給まで通常3カ月以上かかることから、整骨院などの資金繰りを
助けるのが狙いで、申請分の5%を手数料として徴収。立て替え金は保険者から機構へ療養費が支給された後に
充当する取り決めだった。
 機構は現在、事務所が閉鎖され運営実体はない。元会長は取材に「不正や私的流用はしていない」と話している。