無資格ではり治療 登別の整復師 罰金20万円の略式命令


 【登別】登別市内で治療院を開業している男性柔道整復師(50)が、高校男子バレーボール選手(17)に無資格ではり治療を行っていたとして、室蘭簡裁があん摩マッサージ指圧師などに関する法律違反で、この整復師に罰金20万円の略式命令を出したことが1日、分かった。

 略式命令や関係者の話によると、この整復師は1月、腰痛治療に訪れた室蘭市出身で札幌市の高校に通う男子生徒に対し、本来、資格がなければできないはり治療を行った。生徒はその後、臀部(でんぶ)が腫れ上がり、病院で検査した結果、血腫ができており、全治1カ月と診断された。

 不審に思った生徒の家族が整復師に尋ねたところ、はり師の資格を持っていないことが判明し、室蘭署に刑事告発した。

 家族によると、生徒は中学時代から治療に通い、はりを打ってもらっていたという。1回の治療費は500円から1000円だった。

 治療院は1986年開業で、はり師の資格を持つ妻と共同経営している。整復師は地元有力高校サッカー部のトレーナーを務めており、治療院には、室蘭出身の女子バレーボール元五輪代表をはじめ、元プロサッカー選手ら道内外の有力スポーツ選手も通っていた。

 整復師は関係者に対し、「6年ほど前に妻に習い、これまで約100人にはり治療をした」と明かし、北海道新聞の取材には「男子生徒に無資格ではり治療をしたのは事実」と認め、既に生徒と両親に謝罪したという。

 治療院は現在も営業を続け、はり治療に関しては資格を持つ妻だけが治療を行っているという。

 整復師の治療を受けたことのある20歳代の元プロサッカー選手は「はりを打つとけがの回復が早く、中学時代から打ってもらった。無資格とは知らなかった」と話す。

 はり治療に詳しい日本工学院八王子専門学校鍼灸(しんきゅう)科の宇南山(うなやま)伸科長は「はりには、打ってはいけない部位もある。体の仕組みを学ばずに打つと大変危険だ」と指摘している。