マッサージ求人で指導料 業者に支払い命令  静岡簡裁


 静岡市内のマッサージ業者のパート求人に応募した主婦(46)が、求人広告に記さ
れていなかった技術指導料を請求され精神的損害を被ったとして業者に慰謝料など計
35万円を求めた訴訟の判決で、静岡簡裁は主婦の訴えを認め、業者に12万円の支払い
を命じた。
 塩谷雅人裁判官は判決理由で、パートでもマッサージ業務に就くには免許が必要
で、無資格者を就労させる目的で研修を強いるのは違法、などと指摘した。
 訴えによると、主婦は今年一月、就職情報誌で「マッサージ師(見習可)」の募集
の広告を見て応募。「お客さんの所へ行けるようになるまでマッサージを覚えてもら
う」と言われ、先輩から2回指導を受けたところ、業者から指導料10万円を請求された。
 不信感を抱いた主婦が指導を受けなくなったところ、業者が訴えを起こしたため反
訴し、11月14日に判決があった。業者の請求は棄却された。
主婦の代理人の藤森克美弁護士は「無資格マッサージ派遣のための求人を違法とした
初判例で、野放しにされている無資格業者に警鐘を鳴らすものだ」としている。


           11月17日中日新聞東海本社版朝刊より


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静岡簡裁判決

明期ない技術料は違法
治療院の求人広告経営者に賠償命令

 求人情報誌のマッサージ業の広告に応募したところ、記載のない指導料の支払いを
約束させられたとして、静岡市内の主婦(46)が同市内の治療院経営者を相手に、慰
謝料など35万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡簡裁(塩谷雅人裁判官)は16日まで
に、経営者に12万円を支払うよう命じる判決を出した。
 判決理由で塩谷裁判官は、「技術指導料を支払わなければならないことを表示せず
求人広告を出し、具体的な指導内容の説明もなく半ば強引に支払いを約束させた」と
経営者側の違法性を認定。
 法律が無資格者の指圧マッサージ業を禁じている点も指摘し、「(有資格者の経営
者が)主婦が有資格者でないことを容易に判断できたのに労働契約を結ぼうとしたこ
とも違法」とした。
 判決によると、主婦は今年一月、求人広告の治療院で、指導料10万円の支払いを約
束する書面に署名させられた。主婦が契約解除を通知すると、経営者側は技術指導料
など約33万円の支払いを求めて提訴。このため主婦側は反訴していた。
 主婦の代理人の藤森克美弁護士は「無資格マッサージ派遣の求人商法を違法とした
判決は珍しい。さらに高額の指導料を求める無資格業者を巡るトラブルもあり、警鐘
になる」と話している。

                11月17日静岡新聞中部版朝刊


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