東京新聞(平成16年1月15日・朝刊神奈川版)

無資格マッサージ「ずっと歯がゆい思い」
業界関係者は摘発を歓迎 横行する違法業者

 健康ブームに乗ってさまざまな無資格マッサージが横行する中、
県警生活経済課などは14日までに、無資格マッサージ師を派遣した
「エーワン」(東京都新宿区)会長、●●●●容疑者(51)らを
逮捕した。
「マッサージ」の定義が法律上、明記されておらず。まかり通る違法営業の
摘発は難しい。県警は「危険な上、苦労して資格を取った人たちの職域を
侵す行為」と指摘。業界関係者は「無資格への警鐘。抑止効果が期待できる」
と摘発を歓迎した。
「うちはボディ ケアだ」。●●容疑者は調べに、そう主張している。
マッサージなど「医療類似行為」には、国家資格が必要。しかし無資格・
無届け業者が「うちは従来のマッサージと違う」と、行政指導や捜査を
逃れるのは常とう手段だとされる。
 だが今回、県警の照会に対し厚生労働省は、マッサージの定義を
「体重をかけ、対象者が痛みを感じる強さで行う行為」と回答。これを
受け県警は「エーワン」摘発に踏み切った。
 同社が雇っていたマッサージ師約700人中、無資格者は522人。
採用後、同容疑者が設けた養成所で1ヶ月ほど研修を受けただけという。
「ずっと歯がゆい思いをしてきた。行政は積極的な指導をしなかった。
今回の摘発は画期的で、抑止効果が期待できる。無資格の施術は
トラブルにもなる」。全日本鍼灸マッサージ師会の杉田久雄会長は憤る。
 県警が押収した「エーワン」の台帳には「ろっ骨にひびが入った」
「首が動かなくなった」など24件の苦情が記録されていた。
 県医療整備課は「保健所が指導に出向いても『これはマッサージでは
ない』と言われれば、どうしようもなかった」と話す。
 昨年8月、各保健所や県旅館生活衛生同業組合に、旅館へ派遣されて
いるマッサージ師の資格を確認するよう求める依頼文を出したという。


神奈川新聞(平成16年1月15日・朝刊)

無届けでマッサージ業 容疑の会長ら送検へ
「エーワン」県警が摘発

県警生活経済課と厚木署は15日、無届けでマッサージ業などを営んで
いたとして、東京都新宿区新宿、マッサージ施設経営「エーワン」の会長
●●●●(51)=同所=と弟の同社社長●●●●(48)=同区納戸町=の
両容疑者をマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律違反の疑いで
送検する。また、同社を同容疑で書類送検する。
調べでは、両容疑者は昨年3月11日、横浜市瀬谷区橋戸の健康センターに
無届けでマッサージ店を開設した疑い。また、マッサージ指圧師の免許のない
同区内の中国人男性(21)ら4人を同店に派遣し同6月15日から
7月26日までの間に、横浜市瀬谷区内の女性(54)ら客計9人に対し
全身マッサージをさせていた疑い。
調べに対して、●●●●容疑者は「ボディーケアをしていた」などど容疑の
一部を否認。●容疑者は容疑を認めているという。
県警によると、「エーワン」は東京や大阪など1都1府10県で54店を展開。
マッサージ業などの届け出が必要な店は44店あるが、うち29店を
同様に無届けで営業していた。またホテルなどへの派遣業務も行い、
同社のマッサージ師約700人の内免許を持っているのは約4分の1だった
という。
押収した資料などから、同社は2002年1月から昨年6月までの間に、
同様の手口で約6億9900万円の不法な利益を上げていたと県警はみている。
同社は1981年設立。年商約24億円で業界最大手。健康ブームによる
事業拡大を図るため、求人誌などで募集し、社内で独自にマッサージ師を
育成していたとみられる。

読売新聞(平成16年1月15日・朝刊横浜版)

無資格マッサージ師派遣2容疑者 養成学校を開設
中国人留学生ら指導 健康被害訴えも

  無免許のマッサージ師を派遣していたとして逮捕されたマッサージ会社
「エーワン」(東京都新宿区)会長の鈴木輝雄(51)と、同社社長の鈴木明
(48)両容疑者は、雑居ビルの一室で、経験のない中国人留学生らを指導
する"養成学校"を開設していたことが14日、県警生活経済課などの調べで
わかった。同社のサービスを受けた人の中には健康被害を訴える人も出ており、
県警は、無免許マッサージとの関連なども調べる。
 調べによると、「エーワン」が開設した養成学校の受講期間は一ヶ月程度。
正規のマッサージ師資格を持っている両容疑者が講師となり、指導することも
あったという。
 無資格にもかかわらず、会社から派遣されてマッサージをしていたのは
2002年1月から2003年6月までの間だけでも、中国人の留学生らを
含め約520人。明容疑者は、「健康ブームでマッサージ師の需要が増え、
免許を持っている人だけでは足りなくなって無資格の人を雇った」と供述
しているという。
 全身マッサージを業務として行うには、国家試験に合格して資格を得る事が
必要。マッサージ師の養成コースがある横浜市立盲学校によると、同校の
課程は3年間。解剖学や生理学、マッサージの実習などを学び、看護師と
ほぼ同じレベルの医療知識を得るという。同校の就職支援グループ教諭の
神崎好喜さんは「マッサージ師の一番大切な事は、こりをほぐすことではなく、
全身を診ること。マッサージで一時的に気持ちよくさせても、病気が進行
してしまうこともある。自分の手に負えない時には医師を紹介しなくては
ならない」と話す。たとえば、すい臓がんの患者の場合、腰が痛み、血圧が
高い人は肩こりが起きやすい。マッサージで一時的にこれらの症状を
和らげても病気そのものが治ったわけではなく、逆に体の発する大事な
メッセージを見落とすことにつながりかねない。さんは「わずか数週間の
講習で養成したマッサージ師を業者が派遣するのは問題。知識や技術が
絶対的に不足している」と指摘する。
 県警が昨年8月に同社を捜索し、押収した帳簿には、@あばら骨にひびが
入ったA首が動かなくなったB気分が悪くなったC痛みが残った―など、
24件の苦情などが記されていた。県警では、ほかにも健康被害が出た人が
いないか慎重に調べる。


別件

福井新聞(平成16年1月15日・朝刊)

無届け、無免許でマッサージ店経営
敦賀署、中国人逮捕

 敦賀署は14日、届け出せずに敦賀市内でマッサージ店を経営し、
無免許でマッサージ行為をしたとして、あん摩マッサージ指圧師、はり師、
きゅう師等に関する法律違反の疑いで、いずれも中国籍の経営者、従業員ら
計5人を逮捕した。同法違反の摘発は県内で初めて。
 逮捕されたのは、同市清水町一丁目で高級台湾式エステ店「阿里山」を
経営する京都市伏見区向島鷹場町、●●●●容疑者(40)と、同店舗の入った
ビル内に住む30歳から43歳の女性従業員4人。
 調べによると、張容疑者は2002年10月ごろから、県知事への届け出を
せずにマッサージ店を経営していた疑い。従業員4人は国の免許を受けずに
客の体をほぐすなどのマッサージ行為をした疑い。●容疑者は従業員の
無免許を知りながら経営を続けていた。