[毎日新聞 2001年10月16日]より



マッサージ無資格業者急増視覚障害者「本職の腕」披露…14日、中央区*/福岡



◇◇理解と利用拡大図る−−中央区、警固公園で

あんま・マッサージ・指圧師の免許を持つ視覚障害者が14日午後1時から、中央区天神の警固公園で無料の「青空マッサージ」をする。無資格者を使った類似業者の急増で、プロの視覚障害者が失業するなど影響が出ている。「本職の腕」を市民に示し、理解と利用拡大を図る狙いだ。

【深水央子】

マッサージの仕事は、法律で国家試験による免許取得が義務づけられている。しかし市視覚障害者福祉協会によると、特別な設備などが必要ないため無資格の開業が相次ぎ、不況による就職難などの影響で健常者の業界流入も増えている。協会の職業対策部長で、市内ではり・きゅう治療院を開く笠峰雄さん(68)は「業者は同条件なら健常者を雇った方がいいと考えるし、若い女性を希望する男性客も多い。やむを得ない面もあるが、あおりで仕事がなくなり、生活保護を受ける視覚障害者もいる」と説明。「健常者の採用に伴ってマッサージ店を解雇された」と言うある会員は「数百、数千の職業を選べる健常者が視覚障害者の職業を奪っている現状を知ってほしい」と話す。

一方、県医療指導課は「法律で『マッサージ』の定義がはっきりしないため、無資格者が施術しても合法・違法の線引きが難しく、指導に限界がある。サウナなどに無資格者は雇わないよう要請するのが精一杯」と言う。笠さんは「この『青空マッサージ』を機に、一人でも多くの人に有資格者の技術を体感してもらい、マッサージには免許が必要なことを伝えたい」と話している。午後3時まで、約20人の視覚障害者が汗を流す。