第046回国会 社会労働委員会 第53号
昭和三十九年六月十日(水曜日)
   午後三時五十七分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
   理事 亀山 孝一君 理事 田中 正巳君
   理事 河野  正君 理事 小林  進君
      伊東 正義君    大坪 保雄君
      熊谷 義雄君   小宮山重四郎君
      坂村 吉正君    竹内 黎一君
      地崎宇三郎君    中野 四郎君
      西岡 武夫君    西村 英一君
      橋本龍太郎君    松山千惠子君
      粟山  秀君    亘  四郎君
      滝井 義高君    八木 一男君
      山口シヅエ君    山田 耻目君
      吉村 吉雄君    本島百合子君
      吉川 兼光君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  尾崎 嘉篤君
        厚生事務官
        (医務局次長) 大崎  康君
 委員外の出席者
        専  門  員 安中 忠雄君
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本日の会議に付した案件
 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
 の一部を改正する法律案起草の件
 クリーニング業法の一部を改正する法律案起草
 の件
 公衆浴場法の一部を改正する法律案起草の件
 あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法
 等の一部を改正する法律案起草の件
     ――――◇―――――

     <略>

     ――――◇―――――
○田口委員長 次に、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 小沢辰男君より発言を求められておりますので、これを許します。小沢辰男君。
○小沢(辰)委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党委員の協議に基づく試案がございます。三党を代表いたしまして、私から御説明申し上げます。試案は各委員のお手元に配付いたしてあるとおりでございますけれども、簡単にその趣旨を申し上げたいと思います。
 あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外のいわゆる医業類似の行為につきましては、この法律によりまして何人もこれを業としてはならないことになっておりますが、昭和二十二年十二月二十日同法公布の際、引き続き三カ月以上あんま、マッサージ、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為を業としていた者で、同法施行の日から三カ月以内に一定の事項を届け出た者につきましては、なお昭和三十九年十二月三十一日まで、すなわち本年の暮れまでこれを業とすることができるようになっているわけでございます。しかるに、これらの届け出た業者に対する経過措置が本年末をもって終了いたしますので、これらの業者の生活問題等を十分考慮するとともに、最近の情勢にかんがみまして所要の改正を行なわんとするものであります。
 要綱にございますように、まず第一点は、その業務を行なうことができる期間の制限を撤廃することを原則といたしますとともに、指圧を業とする者につきましては、この間になお一定期間を限り特例試験を実施することにより、あとで述べるあん摩、マッサージ指圧師への転換の道を講ずることとしたことであります。
 第二点は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法公布の際、引き続き三カ月以上あんま、マッサージ、はり、きゅう、柔道整復以外の医業類似行為を業としていた者のうちには、同法施行当時、真にやむを得ない事由によりまして、業務継続のための届け出をすることができなかったと認められる者があるのでありますが、これらの者もこの際救済をしてやりませんとやはり公平を失しますので、これらの者のうち、この法律の施行の日から六カ月以内に届け出た者に限りまして、昭和二十三年当時届け出た者と同様に、当該業務を行なうことができることとしているわけでございます。ただ、この点は、いろいろな方々が届け出漏れだ、漏れだと言って広がるというような懸念も一部にございますので、特に厳密、厳格に運営する方針でございまして、一定の基準を行政庁でつくってもらいまして、その基準に従って都道府県知事が受理をする。しかもその受理にあたりましては、地方審議会に必ず諮問をするという措置をとっていただきまして、特に乱用されないように配慮をしながら実施をいたしたい、かように考えておるわけでございます。この点は、特に御了承をお願いしておきたい点でございます。また、この間に一定の期間を限り特例試験を実施いたす規定がございますが、そういうことによりまして、あん摩マッサージ指圧師への転換の道をも講ずるようにしてございます。
 第三点は、昭和三十年に指圧をあんま業務に含めるとともに、従来届け出により、指圧を業としていた者については特例試験を実施することといたしまして、容易にあん摩師へ転換する道を講ずる措置がとられたのでありますが、それにもかかわらず、これらの者のうちには、あん摩師の名称を用いて指圧業務を行なうことを好まない傾向が強く、あん摩師免許を取得した者が少ない実情であります。この点にかんがみまして、あん摩師の名称を、あん摩マッサージ指圧師に改めるということにいたしております。
 第四点は、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会の権限といたしまして、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について調査審議することを加えまして、厚生大臣は、この調査審議の結果を参酌して必要な措置を講じなければならない、こういうふうにいたしたわけでございます。
 それから第五点は、あん摩、マッサージ指圧師につきましては、その業務内容等について検討する必要があります。厚生大臣は、あんま、マッサージ、指圧についての業務内容及び業務を行なうことができる者の免許資格等の事項に関しまして、すみやかにあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会に諮問をして、その審議の結果を参酌して、必要な措置を講じなければならないということにいたしたわけでございます。御承知のとおり、本院におきましても何回も、この法律の審議にあたりまして、いわゆるあんま、マッサージ等の盲人の方々からいろいろの要望があり、附帯決議をつけまして、いろいろな改善事項について政府の善処を要望してきたわけでございますが、今度のこの法律の改正を機にしまして、身分及び業務等につきまして、さらに新しい考え方で法律改正を望む声が実は起こったわけでございます。しかしながら、この点につきましては、身分、業務を分ける必要があるという陳情があったり、あるいはまた、その意見の開陳があったりいたしましたけれども、他に影響するいろいろなめんどうな面もたくさん出てまいります。なお検討を要することがたくさんございますので、特にこういう要望についてできるだけ積極的に、前向きに検討することといたしまして、とりあえずは、今回の改正につきまして、そのままあんま、マッサージ、指圧の業務内容及び免許資格等の事項に関しまして、ただいま申し上げましたように中央審議会に諮問をする。そうしてその結果を参酌して、厚生大臣は必要な立法措置をすみやかに講ずるようにしてもらおう、こういう趣旨で実はこの規定を入れたわけでございますので、特にこの点は申し添えておきたいと思います。
 第六の改正点は、あんま業は、盲人にとって古来最も適当なる職業とされてきたところでございます。近時交通難等により、晴眼者のため、その職域を圧迫される傾向が著しい状況にかんがみ、あんま業における盲人優先の措置を講ずるために、当分の間、文部大臣または厚生大臣は、あんま師、マッサージ師、指圧師のうちに晴眼者の占める割合、あん摩マッサージ指圧師の学校または養成施設の生徒のうちに晴眼者の占める割合、その他の事情を勘案しまして、盲人のあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにする必要があると認めるときは、晴眼のあん摩マッサージ指圧師の学校または養成施設の設置の認定または生徒の定員の増加の承認というようなことについて、盲人の方々の、ただいま申し上げましたような生計の維持が著しく困難を来たさないよう、あるいは盲人優先の趣旨が通るような、ひとつそういう観点から、場合によって、養成施設の設置や生徒の定員の増加ということについて、これを承認しないことができるというような規定を新たに入れたわけでございます。
 以上六点、おもなる点を申し上げましたが、これが法律案の趣旨の概要でございます。
 以上で試案の説明を終わりたいと思います。
 この際、三党を代表しまして動議を提出します。
 お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みたいと思います。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○田口委員長 ただいまの小沢辰男君、小林進君及び吉川兼光君提出の動議に対し発言があればこれを許します。
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○田口委員長 別に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。
 小沢辰男君、小林進君及び吉川兼光君提出の動議のごとく、お手もとに配付した試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 なお、各法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとして、これにて散会いたします。
   午後四時十八分散会