○生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について
(昭和四八年五月一日)
(社保第八七号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
医療扶助運営要領の解釈と運用上、その取扱いに疑義を生じていた事項について、今般次のとおり取り扱うこととしたので、了知されたい。
1 医療扶助審議会の審議事項について
(問1) 医療扶助審議会の審議事項のうち、その他必要と認められるものには、どのようなものがあるか。
(答) 医療扶助の決定実施その他保護の決定実施に当たっての医学的判断を必要とする事項で、ケースにより福祉事務所及び都道府県本庁(指定都市にあっては市本庁とする。)において審査の結果、なお疑義があると思われる事項はすべて医療扶助審議会の審議事項となしうるものであるが、例えば、県外委託、非指定医療機関に対する委託(受託継続)の可否、付添看護の要否及び療養指導あるいは就労指導について医学的見地からも判断を要するもの等について諮問することとして取り扱われたい。
2 市部福祉事務所における診療依頼書の交付
(問2) 市町村合併により区域が広大となった市部福祉事務所において、医療扶助以外の扶助を受けている者から保護変更申請書(傷病届)が市役所の支所、出張所長を経由して提出されたときは、患者の早期治療を確保するため、支所、出張所長が直ちに診療依頼書(入院外)を交付して医療を受けさせることとしてよいか。
(答) お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。
3 医療要否意見書等の発行について
(問3) 医療要否意見書等を発行する場合の指定医療機関の選定にあたって「なお、要保護者の希望を参考とすること」としているが、その趣旨は何か。
(答) 指定医療機関の選定にあたっては、医療扶助運営要領第三の1の(3)のオの(ア)から(オ)に定める選定の標準により行なうものであるが、この選定の標準をみたす範囲内で、参考として要保護者の希望を聞くこととしている。
すなわち、その指定医療機関の選定は、あくまでも保護の実施機関の権限であることを明らかにするとともに、保護の実施に支障のない限り、患者の医師に対する信頼、その他心理的作用の及ぼす諸効果をあわせ考慮すべきこととしたものであり、したがって、このなお書の運用にあたっては、保護の実施に支障の生ずることのないよう慎重な取扱いが必要である。
(問4) 医療要否意見書用紙の「転帰」欄には、治ゆ、中止、死亡のみで転医という事項がないが、転医の場合の記載方法はどうすればよいか。
(答) いわゆる転医の場合には、「中止」として取り扱い、さらに、「福祉事務所への連絡事項」欄に「転医」と記載させることとされたい。
4 各給付要否意見書の検討および受理について
(問5) 本県においては、精神病入院要否の検討は、現段階において諸般の事情から、福祉事務所に精神科業務委託医を配置せず、本庁に複数の精神科嘱託医を配置し、精神病入院要否意見書を全件本庁協議させ本庁において検討することとしている。入院継続要否の検討を効率的に行なうことが実際必要であるので、年二回一定時期に要否意見書の提出を求めこれを検討することとしてよいか。なお、この取扱いについては、本庁精神科嘱託医、医療扶助審議会精神部会委員により一定時期において集中検討が可能であり、医療機関の協力も得られるものである。
(答) 新規入院時(転入院を含む。)を除き、お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。なお、この取扱いを行なうにあたっては、機械的審査とならないよう慎重に取り扱うこと。
5 医療扶助の決定の際の留意事項について
(問6) 患者が県外の指定医療機関に入院を希望した場合その医療機関でなければ疾病の治療を行ない難いと認められる等の特別の事由がある場合以外は、これを認めないこととしてよいか。
(答) 指定医療機関の選定にあたっては、医療扶助運営要領第三の1の(3)のオに定める標準により行なうものであり、この場合当該要保護者の希望を参考とし、福祉事務所長がその委託先を決定するものであるが、患者の希望する指定医療機関が遠隔地にあるため、交通費を必要とし、または必要な調査および指導を行なううえに支障をきたし、しかもその医療機関以外の近隣の指定医療機関でも十分医療の目的を果たせるような場合には、患者の希望のみによって医療機関を選定することは適当ではない。
なお、県境に居住地をもつ要保護者の場合は、県内の指定医療機関に委託するよりも、県外の指定医療機関に委託した方が適当である場合もあるので、この取扱いは機械的に県外入院を認めない趣旨であると解してはならない。
6 優先すべき他法が当該年度における予算額に制約のある場合の医療扶助の適用について
(問7) 身体障害者福祉法による更生医療または児童福祉法による育成医療等、優先すべき他法の給付の対象となる者が、予算上の理由から当該給付を受けることができなかった場合は、あくまでも他法活用の原則により、翌年度の予算によって当該他法の給付を受けさせ、医療扶助は適用しないこととすべきか。
(答) 当該医療が医療扶助の給付対象の範囲内であって、かつ、その症状からみて翌年度の予算措置まで待つことなく当該医療を行なう必要があると認められるときは、医療扶助を適用して差しつかえない。
7 保護の決定に際しての国民健康保険法との関係について
(問8) 国民健康保険の被保険者が法による保護を受けるに至った場合は、その世帯が保護を受けなくなるまでは、保護を停止されている間を除き国民健康保険の被保険者となることができない(国民健康保険法第六条第六号)ことになっているが、保護開始後も誤って引き続き保険給付(医療)を浮けていたことが保護開始後数か月を経て判明した場合、数か月遡及して医療扶助を適用することは認められるか。
(答) 客観的に保護開始時に医療の必要性が明白である場合は、そのときに遡り、医療扶助を適用して差しつかえない。
なお、国民健康保険の被保険者に法による保護を開始したときは、福祉事務所長は、直ちにその旨を保険者(市町村若しくは特別区又は国民健康保険組合)に連絡を行なうべきこととされており(医療扶助運営要領別紙第二号(8)のア)設問のような事例の発生を防止するため、この規定の励行に努められたい。
8 医療扶助の変更に関する決定について
(問9) 入院中の患者が転院を必要とする場合は、どよのうな手続きを行なったらよいか。
(答) 現に入院中の患者が他の指定医療機関に転院を要する事由が生じた場合は、あらかじめ現に入院中の指定医療機関から、転院を必要とする理由、転院をさせようとする医療機関名等につき連絡を求め、その結果必要止むを得ない理由があると認められるときは、転院を認めるべきである。この場合、転院先医療機関から、医療要否意見書等の提出を求め、あらためて入院承認期間を設定したうえ医療扶助の変更決定を行なうことになる。
9 医療券の発行について
(問10) 非指定医療機関に入院中に保護の申請が行なわれ実態調査中に手術を行なったため転院不能の状態となっている場合等、やむを得ない事由があると判断したものについては、非指定医療機関での診療を認めてよいと思うがどうか。
(答) お見込みのとおりである。この場合、保護の申請時において既に非指定医療機関に入院していることが判明しているわけであるから、申請者等に医療扶助の趣旨を説明し、可能な限り指定医療機関への転院を指導しておくべきであることはいうまでもないが、やむを得ない理由があって、設問のようなケースが生じた場合は、単に非指定医療機関であるというのみで保護の申請を却下すべきではなく、保護を要する以上、転院可能な時期が到来するまでの間について、当該非指定医療機関への入院を認めざるを得ない。
なお、福祉事務所長が非指定医療機関に患者を委託するに当たり、疑義のある場合は、あらかじめ都道府県本庁(指定都市にあっては市本庁とする。)に協議し慎重に検討するとともに、その結果委託が認められたときは、法第五十二条の診療方針に基づく医療を委託するものであることを当該医療機関に説明の上依頼する必要があり、この依頼の了承(契約)の上で患者に対する医療を委託することになる。この場合、当該医療機関の診療報酬は、医療券を発行した福祉事務所長あてに請求させるものとし、その支払いは都道府県知事(指定都市又は中核市の市長)の審査を経た上、福祉事務所から直接支払うこととして取り扱うものである。
(問11) 医療扶助により六月に装着する予定で五月に義歯を作成した後、未装着のまま当該患者が来院しなかった場合には、一か月程度待ったうえで請求する取扱いとなっているが、この際の請求は、義歯製作月の五月分医療券によるのか、それとも六月分以降の医療券の交付を受け、それによって請求するのか。
(答) 製作年月日である五月分の医療券によって請求させることとされたい。
なお、義歯製作に係る費用を除き、すでに五月診療分の請求を行なっている場合は、当該医療券による請求ができないこととなるので、義歯製作分の医療費については、指定医療機関から直接福祉事務所に請求させることとし、福祉事務所払の医療費として取扱って差しつかえない。
(注) 昭和三十五年九月十三日保険発第一一五号保険局長通知参照
10 医療扶助継続要否について
(問12) 結核、精神病入院以外の長期慢性疾病についても、医療扶助運営要領第三の3の(1)において、福祉事務所長は、嘱託医の意見により四か月以上六か月以内の期間ごとに発行する医療要否意見書によって医療扶助の継続要否を検討することとしてよいとされているが、この取扱いにあたって、本庁において対象傷病名を示し、県下統一的に実施することとしてよいか。
(答) 結核、精神病以外の長期慢性疾病についてこの取扱いが認められるのは、嘱託医が個々の事例について医療要否意見書、知事決定済明細書等および主治医意見、地区担当員の病状等実態調査の結果を総合して検討した結果に基づき適当と認めたものに限るべきである。
たとえば、胃・十二指腸潰瘍、肝硬変、血液および造血臓器の疾患、循環器疾患、腎炎およびネフローゼ、中枢神経系疾患、糖尿病、内分泌疾患、ロイマチス等を主病とするものについては、お見込みのとおり取り扱うこととして差しつかえない。
(問12の2) 医療扶助運営要領第三の一の(3)のウの(エ)に該当する者について、医療扶助継続の要否を検討する場合は、第二月分の医療券を発行する前にあらかじめ医療扶助運営要領第三の一の(3)のアに定めるところに準じて発行した医療要否意見書によることとなると思うがどうか。
(答) お見込みのとおりである。
なお、その者がさらに引き続き三箇月を超えて医療を必要とするときは、医療扶助運営要領第三の三の(1)のただし書の例によること。
11 一般診療に関する診療方針および診療報酬並びに指定医療機関の請求について
(問13) 「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和三十四年五月六日厚生省告示第百二十五号、最終改正昭和四十八年三月十三日厚生省告示第三十九号)においては、「歯科の歯冠修復及び欠損補綴の取扱において、歯科材料として金を使用することは、行なわない。」とあるが、その「金」とはどのようなものをさすのか。
(答) 設問の告示において、「金」というのは、金位十四カラット以上の金合金をさすものであり、これを使用することは認められないが、それ以下のもの、つまり、金銀パラジウム合金の使用は認められるものである。
(問14) 生活保護法第四十九条による指定医療機関が行なう診療報酬の請求に関し、次の二点について教示されたい。
1 請求権の時効について
2 消滅時効の起算点について
(答) 次により取り扱われたい。
1 一般指定医療機関(国立病院、国立療養所を含む。)の場合は、民法第百七十条の規定により時効年限は三年である。
ただし、地方公共団体が設立した医療機関の場合には、地方自治法第二百二十五条の規定による使用料となるため、時効年限は、同法第二百三十六条第一項の規定により五年である。
2 時効の起算点は民法第百六十六条の規定によることとなるが、診療報酬の請求は各月に行なった医療につき所定の診療報酬請求書および診療報酬明細書を作成し、これをまとめて、支払基金等に提出して行なうこととされているので、時効は、その費用が請求できることとなるときをもって起算点とするものであり、したがって医療券の発行遅延等の理由により請求できない場合を除き、通常の場合は診療日の属する月の翌月一日である。
(問15) 診療を行なったが当該医療費が少額ですみ、本人支払額などがあるために、医療扶助による診療報酬の請求を行なわないときの医療券は、直接福祉事務所へ返戻させるべきか。
(答) お見込みのとおり福祉事務所に返戻させるべきものである。
12 治療材料の給付について
(問16) 収尿器、ストマ用装具および尿中糖半定量検査用試験紙等の消耗的治療材料を半永久的に取替えて使用を継続しなければならないと判断される場合の給付要否の検討の取扱いについて示されたい。
(答) 設問の治療材料の給付については、六か月以内の期間ごと(尿中糖半定量検査用試験紙の給付については、三か月以内の期間ごと)に給付要否意見書の提出を求め、保護の実施機関において給付継続要否を検討することとして差しつかえない。
(問17) 治療材料に関し、次の二点について教示されたい。
1 治療材料の特別基準(都道府県知事、指定都市市長の権限で設定しうるもの)の承認にあたっての判断基準を教示されたい。
2 「眼鏡については、治療等の一環としてそれを必要とする真にやむを得ない場合に限ること」とされているが、日常生活に著しい支障がある場合も含まれると解してよいか。
(答)1 治療材料の場合に限らず医療扶助の特別基準は、本法の診療方針において給付外とされているものであって、それらによらなければ生命を維持することが困難である場合又は生命の維持に直接関係はないが、症状等の改善を図るうえで他に代わるべき方法がない場合に認められるものである。
2 2については、お見込みのとおりである。
(問18) 遠近両用眼鏡については、治療等の一環としてそれを必要とする真にやむを得ない事由が認められる場合には、治療材料として給付することができることとされているが、費用の算定方法について示されたい。
(答) 身体障害者福祉法の規定に基づく「補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準」(昭和四十八年六月厚生省告示第百七十一号)又は児童福祉法の規定に基づく「補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準」(昭和四十八年六月厚生省告示第百八十七号)の別表における交付基準の矯正眼鏡二個分の価格から修理基準の枠交換(一個分)の価格を除いた額を限度とし、必要最小限度の実費を認定すること。
(問19) 供血のため必要な血液検査料を支給することはできないか。
(答) 輸血のための検査料は、輸血料の算定基礎に計上されているので、重ねて支給することは認められない。
なお、輸血を目的として血液検査を行なったが、受血者と供血予定者の血液型が不適合等であったため又は輸血の必要がなくなったため輸血を行なわなかった場合で、血液検査料を請求されたときは、福祉事務所払の医療費として計上し、支給することとして差しつかえない。
(注)
昭和三十三年六月三十日厚生省告示第百七十七号「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(点数表)」の別表第一第2章第8部第2節輸血料区分六五四参照
13 施術の給付について
(問20) 医療扶助運営要領様式第十八号の一の施術の給付要否意見書の「医師意見」欄には、施術の給付にあたり、医師の同意意見を記載させることとしているが、施術のどの場合に記載させることとするのか教示されたい。
(答) 施術の給付が認められるのは、柔道整復、あん摩、マッサージおよびはり・きゅうであって、特定の手術後等においてその治療上不可欠と認められる場合に限られるものであるので、当該給付の要否判定を行なうための判断材料としての見地および医師の意見に基づき適正な治療を給付する必要があるとの患者保護の見地からは、当然医師の意見が必要である。
以上の趣旨から、医療扶助の一環として施術を給付する場合の手続きについて本法独自のものを定めているものである。
したがって、施術の種類ごとに医師の同意の必要性の有無を示せば、次のとおりである。
1 柔道整復 打撲又は捻挫の患部に手当する場合および脱臼又は骨折の患部に応急手当をする場合を除き、医師の同意が必要(同意を求める医師は、外科、整形外科医が望ましい。)
2 あん摩・マッサージ 施術を行なう場合はすべて医師の同意が必要
3 はり・きゅう 施術を行なう場合はすべて医師の同意が必要
(問21) 柔道整復師が患者の骨折に対する施術を行なうにあたって医師の同意を得たが、その後骨折部位に症状の変化を生じたときは、当初の同意のみで施術を継続してよいか。もし再度医師の同意を要するとすれば、柔道整復師から電話などにより医師の同意を求めることで足りるか、教示されたい。
(答) 設問のように当初の患者の症状がその後変化して柔道整復師の施術を続行することが危険であると認められるときは、積極的に再診断を求めるべきであって、当初の同意のみで施術を継続することは適当ではない。したがって、かかる場合に設問の後段のような方法で医師の同意を得ることは好ましくない。
(問22) あん摩・マッサージ及びはり・きゅうの施術の給付に際し、給付要否意見書により医師の同意を求めることに代え、当該施術の要否に関する診断書をもって足りる取扱いとされている趣旨を教示されたい。
(答) 健康保険の取扱いにおいては、療養費支給申請書に添付するはり・きゅうおよびマッサージの施術に係る医師の同意書について、病名、症状および発病年月日の明記された診断書であって要否の判断ができるものに限り、これを当該同意書に代えて差しつかえないこととされた(昭和四十二年九月十八日保発第三二号保険局長通知)ことにかんがみ、本法においても同様の取扱いができる途を開いたものである。
なお、医師の同意書又は診断書については、記名押印にかえて当該医師の署名を用いることも差しつかえない(昭和四十六年四月一日保発第二八号厚生省保険局長通知)こととされていることから、本法上の取扱いにおいても、この改正の趣旨に則した取扱いとすることとしたものである。
(問23) あん摩・マッサージの施術給付の承認判定上の明確な基準を示されたい。
(答) あん摩・マッサージは、主として外科的手術の後治療に効果があるものと考えられており、あん摩・マッサージの施術を受けようとする患者の症状が投薬その他の治療によって効果がなく、あん摩・マッサージの施術が絶対不可欠である場合に限り認められるものである。単なる肩こり又は慰安のためにする施術は認められないものである。
(問24) 施術(柔道整復、あん摩・マッサージ、はり・きゅう)料の支払いは、福祉事務所長が審査のうえこれを行なうことになっているが、審査の結果適当でないと思われる場合は、減額査定ができるか。できるとすればその法的根拠を示されたい。また、審査要綱といったものはないのか。
(答) 前段については、生活保護法による保護の基準(昭和三十八年四月厚生省告示第百五十八号)別表第4に基づく都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の市長と施術師組合との協定条項によるものである。
後段の審査要綱については、現在のところ、前記の協定条項のほかには、特に定められていない。
14 看護の給付について
(問25) 看護の給付を行なう場合であって、職業安定法の規定に基づく有料職業紹介事業を行なう者の紹介をうけて看護婦等を求めた場合において、同法による受付手数料および紹介手数料を必要とするときは、この額を看護料に加算して支給できることとなっているが、受付手数料および紹介手数料は、他の一般医療費と同様、保護の要否判定に適用すべきであると思うがどうか。
また、健康保険法等においては、この受付手数料および紹介手数料は保険給付されないことになっているが、これらの法律の適用を受ける者についても同様に医療扶助でこれらの手数料を全額給付してよいか。
(答) お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。
(問25の2) 看護婦協会等の協定により看護料の支払が、一〇日を単位として定められているために、医療機関等で一時立替払している例が見受けられるが、真にやむを得ないと認められる場合には、一〇日を単位として支払っても差しつかえないか。
また、この場合の看護券の取扱いについて教示されたい。
(答) お見込みのとおり一〇日を単位として支払っても差しつかえない。
また、この場合の看護券の取扱いについては、一〇日を単位とし、当該月分をまとめて同時に発行することとなる。
ただし、看護要否意見書の取扱いについては従前のとおりであるので、念のため申し添える。
(問25の3) 医療扶助運営要領第三の8の(3)のアの(ウ)の「以上のような取扱いで看護の給付が困難な特段の事情がある場合」とは、具体的には、どのような場合であるのか教示されたい。
(答) 病状が、a、b要件の患者については、看護を担当する者は、看護婦等の有資格者でなければならないが、病状、地域の実情等を考慮して、看護婦等が求められない場合は、特段の事情があるものとして応急的に看護補助者による看護を認めてもやむを得ないとしたものであり、その給付に当たっては、以下の点を厳守されたい。
1 被保護者が入院するに当たっては、基準看護の承認を受けた指定医療機関への入院が原則であるが、真にやむを得ない場合に基準看護の承認を受けていない指定医療機関に入院したときに限るものであり、途中、基準看護の承認を受けた指定医療機関へ転院が可能になれば、速やかに転院を行うこと。
2 看護補助者による看護は、看護婦等の有資格者を得られない場合であり、途中、看護婦等が得られたときには、速やかに看護人を看護婦等に変更すること。
3 a、b要件の患者については、常に患者の病状把握に努め、c要件への変更が可能になれば、速やかに要件を変更すること。
15 移送の給付について
(問26) 削除
(問26の2) 医療扶助運営要領第3の9の(2)のアの(ア)の外泊に伴う移送の給付が、精神病以外の入院患者について認められる場合を具体的に教示されたい。
(答) 例えば、脳血管障害後遺症の患者が、医学的機能回復訓練を行った結果、家庭等における日常生活動作の障害がどの程度改善されたか等治療効果を判定するため、当該患者を一時外泊させる場合が考えられる。
したがって、家庭の事情等による外泊の場合には認められないものであること。
16 診療報酬の審査および支払
(問27) 削除
17 他法活用上の留意事項について
(1) 健康保険の被保険者又は被扶養者である被保護者に対する結核予防法第三十四条の公費負担の申請協力料について
(問28) 指定医療機関において、健康保険の被保険者又は被扶養者である被保護者に対して結核予防法第三十四条による公費負担申請のために必要な診断書の記載を行ない、さらに当該患者の申請手続に協力して指定医療機関がこれを代行した場合は、当該費用にかかる健康保険と医療扶助の負担区分はどのようにすべきか。
(答) 結核予防法第三十四条による公費負担申請の協力は、診断書の記載と、その申請手続の協力の二つに分かれている。
この算定点数は、昭和三十三年十月二十日保険発第一三九号保険局医療課長通知により、「傷病手当金意見書交付料に相当する額」とされており、その内訳は、診断書の記載がこの一〇〇分の一〇〇に相当する額、手続協力が被保険者のみの一〇〇分の一〇〇に相当する額となっている。
したがって、健康保険の被保険者である被保護者については、診断書の記載料及び手続協力料の両方について(入院、入院外とも一〇〇分の九〇)保険給付の対象となるので、診断書の記載料及び手続協力料の残り(入院、入院外とも一〇〇分の一〇)を医療扶助の対象として差しつかえない。
一方、健康保険の被扶養者である被保護者の場合は、診断書の記載料のみが(入院一〇〇分の八〇、入院外一〇〇分の七〇)保険給付の対象となり、手続協力料に相当する部分の報酬は全然認められないものとされているので、この部分については、診断書記載料の残り(入院一〇〇分の二〇、入院外一〇〇分の三〇)とあわせて医療扶助の対象として差しつかえない。
なお、健康保険と医療扶助との負担区分は次表のとおりである。
区分
種別
請求額
入院
入院外
被保険者
健保
診断書の記載
傷病手当金意見書交付料に相当する額の90/100
傷病手当金意見書交付料に相当する額の90/100
手続の協力
〃 90/100
〃 90/100
生保
診断書の記載
〃 10/100
〃 10/100
手続の協力
〃 10/100
〃 10/100
被扶養者
健保
診断書の記載
〃 80/100
〃 70/100
手続の協力
〃 0
〃 0
生保
診断書の記載
〃 20/100
〃 30/100
手続の協力
〃 100/100
〃 100/100
(問29) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十二条に規定する通院医療費の公費負担申請に要する「診断書料」等の請求はどのような様式を用いて行なったらよいか。
(答) 福祉事務所に対する医療機関の請求の様式については、特に定められていないが、施行細則準則に定める「検診料請求書」(様式第二十四号の二)に準じて請求書を作成のうえ請求を行なわせることとされたい。
18 調剤券の発行について
(問30) 医薬分業化の推進に伴い、最近処方せんの発行を行う指定医療機関が増加しているが、郡部福祉事務所の場合管轄区域が広いこともあって、患者の早期治療という観点から、指定薬局より医療機関名、公費負担者番号、患者名及び受給者番号等の連絡等が受けられる場合には、給付券交付処理簿により資格確認のうえ当該指定薬局に調剤券を発行することとしてよ