○生活保護法による医療扶助運営要領について
(昭和三六年九月三〇日)
(社発第七二七号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)
標記については、昭和三三年七月三日社発第四二四号本職通知を全面改正して新たに次のとおり定めたので、今後はこの運営要領により医療扶助の実施に万全を期されたい。
なお、今回の全面改正の要旨は、別紙のとおりである。
医療扶助運営要領
目次
第一 医療扶助運営方針
第二 医療扶助運営体制
第三 医療扶助実施方式
第四 医療扶助指定機関
第五 診療報酬の審査および支払
第六 指導および検査
第七 結核医療取扱要領
第八 精神病医療取扱要領
第九 施行期日等
第一 医療扶助運営方針
1 この運営要領は、生活保護法(第四の2及び3を除き、以下「法」という。)による医療扶助の適正な実施を図るため、都道府県知事(指定都市及び中核市の市長を含む。指定都市にあっては第八を、中核市にあっては第二の1の(4)のア、第二の1の(8)、第二の2の(7)、第三の2の(1)のウ、第三の6の(3)、第七の3の(2)及び第八を除き、以下同じ。)、実施機関等の行なうべき事務を規定するとともに、事務処理の要領を示したものであって、都道府県知事、実施機関等は、医療扶助の実施に際して、生活保護に関する法令、告示および通知に基づくほか、この運営要領によって事務を処理し、もって適正かつ円滑な実施を期すること。
2 生活保護制度は、国民の最低生活保障の最終の拠り所としての役割を果たしているものであるが、疾病が貧困の主たる原因の一つとなっている現状にかんがみて、特に、医療扶助の実施については、ひとり医療扶助の見地のみならず、生活保護全般の見地から、制度の基本原理および原則に基づき公正妥当な取扱いを行なうよう留意すること。
3 医療扶助の実施にあたって、便宜上、社会保険等の他制度に準じて取扱いをしている点があるが、生活保護制度は、国民の最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これをこえないものでなければならないという原則において、他制度と基本的な差異があることに留意して、実施の適正を期すること。
4 医療扶助関係事務を円滑適確に遂行できるよう、その事務体制の確立に万全を期するとともに、その事務処理にあたっては、関係機関相互の緊密な協力提携に留意すること。
5 医療扶助の実施にあたっては、福祉事務所と被保護者との関係のほか、医療扶助の特質から、指定医療機関等との関係が必然かつひん繁に生ずるが、これらの関係が相互信頼の基礎の上に立たない限り、到底医療扶助の適正な実施を確保することができないので、被保護者および指定医療機関等に対して、十分な指導、連絡または協力依頼を行なうこと。
6 この運営要領の内容は、全国統一的事務処理の関係から厳格に守られることが要請されるが、実施機関の問題および各種様式(各給付券の様式並びに治療材料費及び施術料の請求明細書の様式の全部並びにその他の様式中の指定医療機関等の記載にかかる部分を除く。)の採用等については、この運営要領を基として都道府県(指定都市及び中核市を含む。第二の1の(1)から(8)まで以外の部分、第三の4の(6)及び第八を除き、以下同じ。)又は実施機関等の実情に即して、適宜実施して差しつかえないので、いたずらに機械的実施に陥ることなく、創意工夫と良識を生かして事務処理の万全に期すること。
第二 医療扶助運営体制
1 都道府県、指定都市及び中核市の本庁関係(中核市にあっては(1)から(4)まで及び(8)のイを除く。)
(1) 医療係
都道府県本庁(指定都市にあっては市本庁とする。以下同じ。)主管課においては、専任の医療係を設置し、または医療扶助事務主任者を置く等万全の体制を整えること。
医療係等の行なうべき事務は、おおむね別紙第一号の1の(1)のとおりであるが、技術吏員、精神科嘱託医、他の係員または他の関係部課と密接な連絡を図らしめ、医療扶助の実施に遺漏のないよう留意せしめること。
(2) 技術吏員
都道府県本庁主管課においては、専任の技術吏員一名以上を配置すること。
技術吏員の行なうべき事務の主なものは、おおむね別紙第一号の1の(2)のとおりであるが、これらのほか生活保護実施面においては医療関係の専門的判断を要する場合も少なくないので、医療係はもとより、他の関係係員等と緊密な連けいを図らしめるほか、生活保護実施上の問題点につき積極的な指導助言を行なうよう留意せしめるとともに、医療関係面につき、他の関係部課および関係機関等との密接な連絡協調につき配意せしめること。
(3) 精神科嘱託医
技術吏員の行なうべき事務のうち、精神科医療に関する事務を行なわせるため、適当な精神科専門医を一名以上嘱託医として委嘱すること。
(4) 医療扶助に関する審議会(以下、「医療扶助審議会」という。)
都道府県本庁においては、知事の医療扶助その他保護の決定実施にあたっての医学的判断を的確に行うことのできる体制を確保すること。そのため、これらの医学的判断に関する諮問に答えるための附属機関として、医療扶助審議会を設置することが望ましい。
なお、その構成および運営等については、次の基準を参考とすること。
ア 審議事項
(ア) 結核入院要否判定
(イ) 精神疾患入院要否判定
(ウ) 結核、精神疾患以外の傷病による入院要否の判定
(エ) (老人)訪問看護の要否判定
(オ) 在宅患者加算等各種給付の要否の判定
(カ) その他必要と認められるもの
イ 構成
医療扶助審議会の委員として、国立病院、国立療養所および民間指定医療機関の医師、保健所長、都道府県民生部(局)の技術吏員等のうちから適当な者を選任する。
ウ 審議
前記アにより諮問を受けた医療扶助審議会は、患者の病状及び療養状況等の全経過にわたり総合的な検討を行うとともに、医療扶助の本則に基づき公正妥当な答申を行う。
なお、審議にあたっては、その経過および答申根拠の記録、その他関係書類を整備する。
(5) 運営台帳
都道府県本庁(中核市にあっては市本庁とする。第三の2の(1)のウ及び第八の3の(4)を除き、以下同じ。)においては、次に掲げる運営台帳を作成し、整備すること。
ア 指定医療機関名簿(福祉事務所別、旧総合病院、医科、歯科、訪問看護ステーション、および薬局別)、医療保護施設名簿、指定施術機関名簿および指定助産機関名簿(様式第一号)
イ 指定申請書(変更届書、休止・廃止届書、再開届書、処分届書、指定辞退届書)受理簿(様式第二号)
ウ はり・きゅう師登録簿
(6) 手続書類
都道府県本庁においては、次に掲げる様式に準拠した手続書類用紙を印刷し、管内福祉事務所に配布し常備させること。
ア 医療機関等指定申請書(生活保護法施行規則(以下「規則」という。)様式第三号)
イ 医療機関等変更届書(規則様式第五号)
ウ 医療機関等休止・廃止届書(規則様式第六号)
エ 医療機関等再開届書(規則様式第七号)
オ 医療機関等処分届書(規則様式第八号)
カ 医療機関等指定辞退届書(規則様式第九号)
(7) 医療扶助関係様式等の公示
都道府県知事は、次に掲げる事項を都道府県の公報により公示すること。
ア 手続書類の様式(保護変更申請書(傷病届)、各要否意見書および医療券等)
イ 給付方針および費用に関する事項
2 福祉事務所関係
医療扶助は、他の扶助と異なり、診療の要否、程度の判定等専門的判断を要する特殊性をもつものではあるが、他面、生活扶助、その他の扶助とならび被保護者の生活を保障するとともに、その自立を助長するための意義を有するものである。したがって、他の扶助における現業活動と遊離して行なわれるべきものではなく、これと緊密な連けいを保って実施するよう、その運営体制の確立に万全を期すること。
なお、福祉事務所長は、生活保護制度について理解のある医師のうちから嘱託医(一年ごとに更新することとするが、特別の理由がない限り、再任を妨げるものではないこと。また、精神科医療に関する事務を行わせるため、一般の嘱託医に加え、原則として、精神科嘱託医を設置すること。)を委嘱し、及び事務を行なう所員のうちから、医療扶助関係事務を担当する者(以下「医療事務担当者」という。)を定めること。
おって、医療扶助の実施に関し、各職種の担当すべき事務については、次に掲げるもののほか、別紙第一号に示すところによること。
(1) 査察指導員
査察指導員は、医療扶助の現状を常に把握し、査察指導計画を策定し、地区担当員、嘱託医等との組織的連けいに努める等医療扶助適正実施の推進を図ること。
(2) 地区担当員
地区担当員は、その担当する被保護世帯に関する医療扶助の決定、実施にあたるとともに、査察指導員、嘱託医等との組織的な連けいに努めること。
(3) 嘱託医
嘱託医は、査察指導員、地区担当員等からの要請に基づき医療扶助の決定、実施にともなう専門的判断及び必要な助言指導を行なうこと。なお、医療扶助以外の扶助において医学的判断を必要とする場合にも同様とすること。
(4) 医療事務担当者
医療事務担当者は、医療扶助の円滑な実施を図るため必要な事務を処理すること。
(5) 給付券交付処理簿
福祉事務所においては、給付券交付処理簿(入院、入院外、歯科、訪問看護、老人訪問看護、調剤、治療材料、施術及び移送の別)(様式第一一号)を作成すること。
(6) 手続書類
福祉事務所においては、次に掲げる手続書類用紙を印刷し、常備すること。
ア 保護変更申請書(傷病届)(様式第一二号)
イ 医療要否意見書及び診察料、検査料請求書(様式第一三号)
ウ 結核入院要否意見書(様式第一五号)
エ 精神疾患入院要否意見書(様式第一六号)
オ 保護変更申請書(傷病届)及び(老人)訪問看護要否意見書(様式第一七号)
カ 保護変更申請書(傷病届)及び給付要否意見書(治療材料及び移送、様式第一八号の一)、(柔道整復、様式第一八号の一の二)、(あん摩・マッサージ及びはり・きゅう、様式第一八号の一の三)
キ 生活保護法による医療扶助のはり・きゅうの受療連絡票(様式第一八号の二)
ク 施術初検料請求書(様式第一九号)
ケ 医療券又は調剤券(様式第二三号)
コ (老人)訪問看護に係る利用料請求書(様式第二三号の七)
サ 治療材料券及び治療材料費請求明細書(様式第二五号)
シ 施術券及び施術報酬請求明細書(様式第二六号)
ス 生活保護法による施術費給付承認書(はり・きゅう)及び施術費給付請求書(はり・きゅう)(様式第二六号の三)
セ 診療依頼書(入院外)(様式第三七号)
ソ 検診命令書、検診書及び検診料請求書(生活保護法施行細則準則様式第二四号の二)
(7) 本省に対する情報提供
保護の実施機関は、国民健康保険、健康保険、老人保健の診療における取扱い等により難いものについては、医療扶助の特別基準設定につき情報提供すること。なお、その際には次の事項に関する書類を添付すること。
ア 特別基準を必要とする理由
イ 特別基準の申請額およびこれが最低限度の額であることを証する書類
ウ 関係専門医等の意見
エ その他アに関連して参考となる資料
(8) 都道府県本庁に対する技術的助言の求め
福祉事務所長は、ア、ウ及びエの事項については都道府県知事又は中核市市長に対し、イの事項については都道府県知事に対し、次の点につき必要に応じて連絡し又は技術的な助言を求めること。
この場合において、中核市の設置する福祉事務所の長が都道府県知事に対し報告等を行うときは、中核市市長を経由すること。
ア 医療機関等の指定に関する事項
イ 医療の要否の判定又は保護の決定実施上の医学的判断に関し疑義があると福祉事務所長が認めた事項
ウ 他法他施策関係について必要とされる事項
エ その他特に求められた事項
3 町村関係
町村における担当係の医療扶助関係事務は、次のとおりであること。
(1) 保護変更申請書(傷病届)および各給付要否意見書等の受払簿の作成、整備および保存
(2) 各給付要否意見書等および診療依頼書(入院外)の交付
(3) 応急医療扶助の実施
(4) その他医療扶助の実施に関する事項
第三 医療扶助実施方式
1 医療扶助の申請
医療扶助の申請は次によるものとすること。
(1) 保護開始申請(入院・入院外)
法による保護を受けていない者が、医療扶助のみ又は医療扶助と同時に他の扶助を申請する場合には、保護申請書の一般的記載事項のほか、申請の事由欄に当該傷病の部位、発病時期、病状、社会保険の被保険者又は被扶養者たる資格の有無、老人保健法の医療受給者証の有無その他参考事項を記載したうえ福祉事務所長に提出させること。
(2) 保護変更申請(入院・入院外)
医療扶助以外の扶助を受けている者が、医療扶助を申請する場合には、保護変更申請書(傷病届)に所要事項を記載したうえ福祉事務所長に提出させること。
(3) 各給付要否意見書の発行
ア 医療扶助の開始につき申請があった場合には、申請者の実情に応じ、医療要否意見書、結核入院要否意見書、精神疾患入院要否意見書又は保護変更申請書(傷病届)・(老人)訪問看護要否意見書(以下「医療要否意見書等」という。)に福祉事務所又は町村の担当員が必要事項を記載の上、申請者に対してこれらの取扱いについて十分説明し、速やかに指定医療機関において所要事項の記入を受け、福祉事務所長又は町村長に提出するよう指導して発行するものとすること。
イ 各給付要否意見書の提出については、申請者の事情等により指定医療機関から直接提出させても差しつかえないこと。
ウ 次の各号の一に該当する場合にあっては、各給付要否意見書の提出を求める必要はないこと。
(ア) 収入、資産等の状況により被保護者とならないことがほぼ明らかなとき
(イ) 必要な給付がすべて他法他施策により行なわれることが明らかなとき
(ウ) 被保護者が入院外医療扶助の併給開始または変更申請を行なった場合であって、明らかに医療の必要が認められ、かつ、活用すべき他法他施策がないと判断されるとき
(エ) 被保護者が医療扶助の併給開始又は変更申請を行った場合であって、病状の悪化等により明らかに入院医療の必要が認められ、かつ、活用すべき他法他施策がないと判断されるとき
エ ウの(ウ)に該当する場合であって、保護変更申請書(傷病届)が町村長を経由して提出されるときは、町村長は直ちに診療依頼書(入院外)を交付するとともに、すみやかに保護変更申請書(傷病届)を福祉事務所長に送付すること。
オ 福祉事務所又は町村において各給付要否意見書又は老人保健施設療養病状診査票を発行する際は、次の標準により医療機関を選定して、当該医療機関において各給付要否意見書に意見を記載のうえ提出するよう指導すること。
なお、この医療機関の選定にあたっては、要保護者の希望を参考とすること。
(ア) 要保護者の居住地等に比較的近距離に所在する指定医療機関であること。
(イ) 要保護者が人工妊娠中絶若しくは不妊手術又は結核の治療をうけようとするときは、原則としてそれぞれ同時に母体保護法による指定医師又は結核予防法による指定を受けている指定医療機関であること。
(ウ) 要保護者が各種社会保険の被保険者又は被扶養者であるときは、健康保険法による保険医療機関であること。
(エ) 健康保険法、結核予防法又は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による指定の取消を受けている指定医療機関でないこと。
(オ) 過去三箇月間に法による「戒告」を受けたことのない指定医療機関であること。
(4) 各給付要否意見書の検討および受理
福祉事務所長は、要保護者から各給付要否意見書又は老人保健施設療養病状診査票の提出を受けまたは町村長からこれらの送付を受けたときは、その記載事項につき検討したうえ受理すること。この場合、記載内容が不明の場合にはそれぞれ記載者に照会するとともに、要保護者に対する医療扶助の決定にあたり問題があると思われるときは昭和三八年四月一日社発第二四六号厚生省社会局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」第九の4により検診を命ずること。なお他の扶助、特に生活扶助の開始を同時に申請している場合には、その決定につき遺漏のないよう留意すること。
(5) 診察料、検査料の支払
福祉事務所長は、被保護者を診察した医療機関が医療を必要としない旨の意見を述べた場合及び被保護者を診察した医療機関と異なる医療機関に被保護者の医療を委託した場合は、当該医療機関の請求に基づき診察料(初診、再診、往診)又は検査料(診断書料については、四五〇〇円の範囲内で特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。)について直接当該医療機関に支払うこと。
ただし、すでに医療券を発行したときは、診察料、検査料は当該医療券に基づき請求されるので福祉事務所においては支払わないこと。
なお、この場合の診察または検査は被保護者に対し医療を行なう必要の有無並びに必要な場合にその期間および費用を予測するに必要と認められる限度に止められるべきものであるので、この点あらかじめ医療機関に周知徹底を図っておくこと。
2 医療扶助の決定
(1) 決定の際の留意事項
福祉事務所長は、医療扶助に関する決定をしようとするときは、一般的事項とともに次の事項について留意すること。
ア 医療扶助の始期
医療扶助を適用すべき期日は、原則として、保護申請書または保護変更申請書(傷病届)の提出のあった日以降において医療扶助を適用する必要があると認められた日とすること。
イ 他法他施策の活用
要保護者の医療につき、医療扶助に優先して活用されるべき他法他施策による給付の有無を調査確認し、これがあると判断されるときは当該要保護者に対してこれを活用すべきことを指導するとともに、当該他法他施策の運営実施を管理する機関に連絡して、当該要保護者に対する処遇が適正円滑に行なわれるよう配意すること。
なお、他法他施策の活用に関しては、別紙第二号に留意すること。
ウ 入院等に関する都道府県本庁に対する技術的助言の求め
一般入院要否判定基準、訪問看護要否判定基準及び老人訪問看護要否判定基準並びに結核医療取扱要領及び精神医療取扱要領に基づく判定の結果、入院等の要否についてなお疑義のある場合は都道府県知事に技術的な助言を求めること。
この場合において、中核市の設置する福祉事務所の長が都道府県知事に協議するときは、中核市市長を経由すること。
また、福祉事務所の所在する都道府県等の区域外にある医療機関に患者を委託する場合の医療機関の選定について疑義がある場合も同様とすること。
エ 一般入院要否判定基準
入院医療は、居宅では真に医療の目的が達し難いと認められた場合に限り認められること。
入院を認めて差しつかえない場合を例示すれば次のとおりであること。従って、たとえば通院が不便だとか、居宅療養も不可能ではないが、入院の方がより一層良いとか、あるいは重症であっても往診又は(老人)訪問看護による居宅医療で治療の目的を達し得る場合等においては当該居宅医療によるべきであること。
(ア) ある種の手術後、身体の動揺を避けなければならない必要がある場合
(イ) 朝夕数回にわたる専門技術的処置または手術を必要とする場合
(ウ) 病状が相当重く、しばしば病状を診察して経過を観察する必要がある場合
(エ) 特に厳密な食餌療法その他病院固定の設備をしばしば利用する特殊な療法を施す場合
(オ) 病状により特に居宅療法ではその効果をもたらすことが困難な場合
オ 訪問看護要否判定基準
訪問看護は、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護婦等が行う療養上の世話又は診療の補助を必要とする場合に限り認められること。
なお、利用者の選定に係る営業時間外等の訪問看護は、これを必要とする真にやむを得ない事由が認められる場合に限ること。
カ 老人訪問看護要否判定基準
老人訪問看護は、疾病、負傷等により、寝たきりの状態にある老人又はこれに準ずる状態にある老人に対し、その者の家庭において看護婦等が行う療養上の世話又は診療の補助を必要とする場合に限り認められること。
なお、利用者の選定に係る営業時間外等の老人訪問看護は、これを必要とする真にやむを得ない事由が認められる場合に限ること。
キ 保護施設等における医療の取扱い
救護施設、更生施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム及び介護老人福祉施設における被収容者の医療については、原則として、医療扶助は適用しないこと。ただし、病状によってはこの原則を貫くことが困難な場合も予想されるので真に当該施設においては措置できないと認められる場合に限り、医療扶助を適用して差しつかえないこと。
(2) 本人支払額の決定
本人支払額は次により決定すること。
ア 要保護者が医療扶助のみの適用を受ける者である場合には、保護の実施要領についての通知の定めるところにより当該要保護者の属する世帯の収入充当額から当該世帯の医療費を除く最低生活費を差し引いた額をもって本人支払額とすること。
イ 本人支払額は、第一に診療(医療扶助による診察、薬剤(調剤を除く。)、医学的処置、手術、居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護をいう。)の給付に充当するものとし以下調剤、治療材料、施術、移送の各給付の順に充当すること。
(3) 医療扶助の変更に関する決定
福祉事務所は、現に医療扶助を受けている者が次に該当すると認められたときは、医療扶助の変更に関する決定(保護の変更の決定)を行なうこと。
ア 本人支払額を変更すべきことを確認したとき
イ 指定医療機関を変更すべきことを確認したとき
ウ 入院から入院外に、または入院外から入院に変更すべきことを確認したとき
エ 介護老人保健施設から医科に変更すべきことを確認したとき
オ 医科から歯科に、または歯科から医科に変更すべきことを確認したとき
カ 他法による負担の程度に変更すべきことを確認したとき
キ 診療中に(老人)訪問看護、治療材料、施術または移送の給付を必要とすることを確認したとき、またはこれらの給付につき変更すべきことを確認したとき
ク 検診命令に従わない場合で医療扶助の変更を必要と認めたとき
(4) 被保護者に対する通知
福祉事務所長は、要保護者について医療扶助の開始、変更、停止または廃止(他法他施策の活用に伴い保護を変更、停止または廃止する場合を含む。)に関する決定をしたときは、一般の例に従い、保護決定通知書または保護停止、廃止決定通知書により、申請者または被保護者に対して通知すること。ただし、保護変更申請書(傷病届)に基づき医療扶助の開始または変更に関する決定をしたときで、当該通知書により通知する必要がない場合には、適当な方法によることとして差しつかえないこと。
また、申請却下の決定をしたときは、一般の例に従い、保護申請却下通知書により申請者に対して通知すること。
(5) 医療券の発行
医療扶助による診察、薬剤(調剤を除く。)、医学的処置、手術等の診療の給付は、医療券を発行して行なうものとすること。
ア 医療券の発行の単位
医療券は暦月を単位として発行するものとし、診療の給付が月の中途を始期または終期とする場合は、それより有効期間を記載した医療券を発行するものとすること。
なお、月末を始期とする医療の給付が翌月にまたがる場合は、翌月分の医療券を同時に発行して差しつかえないこと。
イ 医療券の有効性
医療券は、福祉事務所において所要事項を記載し、福祉事務所長印を押したものをもって有効とするものであること。
医療券の修正は、福祉事務所において当該医療券の記載事項について所要の訂正を行ない、福祉事務所長印を当該訂正箇所に押したものをもって有効とすること。
ウ 医療機関に対する委託
(ア) 医療の給付を委託する医療機関(指定訪問看護事業者を除く。)は、原則として各給付要否意見書に意見を記載した医療機関とすること。
(イ) (ア)の医療機関が指定医療機関でないときは、要保護者の診療に支障のない限り1の(3)のオの標準に該当する指定医療機関に委託すること。
(ウ) 要保護者が急迫した状況にあるときは、(ア)および(イ)にかかわらず、要保護者のもよりの指定医療機関(これがないときは非指定医療機関)に委託すること。ただし、非指定医療機関に委託した場合は、急迫した状況がやんで転医が可能になったときに、直ちに適当な指定医療機関に転医させること。
(エ) 訪問看護事業者の選定に当たっては、要保護者の希望も参考とした上、要保護者の要介護状態、事業者と要保護者の居住地との距離等を考慮すること。
なお、訪問看護に係る医療券の発行に当たっては、訪問看護事業者と密に連絡をとり、基本利用料以外の利用料に相当する費用の支給対象を事前に明らかにしておくこと。
エ 医療券の作成
医療券の作成に当たって留意すべき事項は次のとおりであること。
(ア) 医療券の各欄には福祉事務所長が医療券を発行する際に所要事項を記入すること。
なお、本人支払額を記入する場合においては当該本人支払額に一〇円未満の端数があるときはこれを切捨てるものとし、本人支払額がない場合はその欄に斜線を引くこと。
(イ) 医療券の「診療別」、「備考」欄の社会保険、結核予防法第三四条及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条はそれぞれ該当する文字を〇で囲むこと。
(ウ) 医療券の「傷病名」欄には、医療要否意見書等記載の傷病名又は部位を記入し、傷病届により医療券を発行するときは、「備考」欄に患者の病状を記入すること。
(エ) 被保険者が資格喪失後も継続給付を受けることができる傷病については、その傷病名及びその旨を医療券の「備考」欄に記入すること。
(オ) 「取扱担当者名」欄には、医療券交付事務取扱責任者名を記入すること。
(カ) 七五歳以上の者(平成一四年九月三〇日において七〇歳以上である者(同年一〇月一日において七五歳以上である者を除く。以下「経過措置対象者」という。)を含む。)及び六五歳以上七五歳未満の者(経過措置対象者を除く。)であって老人保健法施行令(昭和五七年一一月政令第二九三号)別表第一に定める程度の障害の状態にあるもの(以下「七五歳以上の者等」という。)についての医療券には、「備考」欄の余白に七五歳以上の者等に該当するに至った日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)から(老保)と表示すること。
オ 医療券の交付
医療券の交付にあたっては、特に次の点に留意させること。
(ア) 当該医療券を所定の医療機関に提出して医療を受けること。
(イ) 当該医療券の有効期間内に医療を受けること。
(ウ) 治療が終ったとき、又は診療を中止したときは、速やかにその旨を福祉事務所に届け出ること。
受領者が患者以外の者であるときは、特に誤解または不適正のないように注意すること。
医療券の交付にあたっては、被保護者をして医療券交付処理簿に受領印を押させ、または被保護者から受領証を徴すること。ただし、被保護者が入院中であって扶養義務者等がない場合等、これが困難な場合には、医療券を所定の医療機関に直接交付しても差しつかえないが、この場合は事後に当該医療機関に対し、被保護者の受領証を送付するよう依頼することとし、被保護者から受領証を徴することが困難な状態にあるときは、当該医療機関の管理者から受領証を徴すること。
カ 医療券の修正
福祉事務所長は、被保護者について、医療扶助の変更、停止または廃止に関する決定をした場合において、すでに発行した医療券を修正する必要があるときは、当該修正についてすみやかに決裁手続を完了したうえ、当該医療券の提出を求め、その記載事項について所要の訂正を行ない当該訂正に関する福祉事務所長印を押すこと。
キ 医療券の補正等
福祉事務所長は、医療券発行後、医療機関からの申出に基づき当該医療券の有効期間の延長を必要と認めたときは、当該医療券について必要な補正を行なうこと。
なお、医療機関において治療中に医療券の「傷病名」欄に記入された傷病名以外の傷病が発生し、それについて医療を要すると認めたときは、医療券の「傷病名」欄(下部余白)に当該傷病名を記入するよう、また、診療報酬明細書の「傷病名」欄(下部余白)および「診療開始日」欄(下部余白)に当該傷病名および発病(診療開始)年月日をそれぞれ記入して診療報酬の請求を行うよう指導し、福祉事務所においては医療券の補正を省略して差しつかえないこと。
また、医療を必要なことが明白な者からの傷病届により、発行する医療券については、傷病名を指定医療機関において医療券・診療報酬明細書の「傷病名」欄に記入するよう指導すること。
3 医療扶助の継続等
(1) 医療券によって医療扶助を受けている者が、引き続き翌月にわたって医療を必要とするときは、第三の2の(5)に定めるところにより、翌月分の医療券を発行すること。
ただし、その者が引き続き三か月(第三の1の(3)のウの(ウ)に該当するもの(以下「併給入院外患者」という。)及び(老人)訪問看護の利用者は、六か月)を超えて医療を必要とするときは、第四月分(併給入院外患者、老人保健施設入所・通所者及び(老人)訪問看護の利用者は、第七月分)の医療券を発行する前にあらかじめ第三の1の(3)のアに定めるところに準じて発行した医療要否意見書等により第四月以降(併給入院外患者及び(老人)訪問看護の利用者は、第七月以降)における医療扶助継続の要否を十分検討することとし、さらに引き続き医療を必要とするときは、三か月(併給入院外患者及び(老人)訪問看護の利用者は、六か月)を経過するごとに同様の手続により医療扶助継続の要否を十分検討すること。
この場合において、福祉事務所長は、医療扶助を受けている者(併給入院外患者及び(老人)訪問看護の利用者を除く。)につき、嘱託医の意見により、四か月以上引き続いて医療を必要とすると認めたときは、本項ただし書き前段の規定にかかわらず、四か月以上六か月以内の期間ごとに発行する医療要否意見書等により医療扶助継続の要否を検討することとして差しつかえないこと。
なお、併給入院外患者及び(老人)訪問看護の利用者にあっては、医療開始後第六月までに限り、他の方法により引き続き翌月にわたって医療の必要の有無を検討することができるときは、医療要否意見書の提出を求めることなく翌月分の医療券を発行して差しつかえないこと。
(2) 福祉事務所長は、医療扶助を受けている者につき、継続して治療を要しないことを確認したときは、一般の例に従い医療扶助の廃止等の手続を行なうこと。この場合、必要に応じ当該被保護者について訪問調査を行なう等の方法により事実を確認すること。
4 一般診療に関する診療方針および診療報酬並びに指定医療機関の請求
一般診療に関する診療方針及び診療報酬は、法第五二条、指定医療機関医療担当規程(昭和二五年八月厚生省告示第二二二号)及び生活保護法第五二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬(昭和三四年五月厚生省告示第一二五号)によること。
なお、別紙第三号に留意するほか、次の点に配意すること。
(1) 指定医療機関が健康保険法第六五条第一項による指定を受けていない場合における診療報酬の額の算定は、健康保険法の規定による療養に要する費用の算定方法(平成六年三月厚生省告示第五四号)の第一項から第五項までの規定を準用して行うものとする。
(2) 生活保護法第五二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬第一項中「金を使用すること」とあるのは、金位一四カラット以上の合金を使用することをいうものであること。
(3) 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護のうち食事の提供たる療養に係る診療報酬については、入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年八月厚生省告示第二三七号)の例による。
また、健康保険法による訪問看護に係る費用については、訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成六年九月厚生省告示第二九六号)の例によることとし、訪問看護の基本利用料以外の利用料に相当する費用については、必要最小限度の実費の額とすること。
(4) 老人保健の例による診療方針及び診療報酬(特定療養費の支給に係るものを除く。)は、七五歳以上の者等に該当するに至った日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)から適用するものとすること。
また、「六五歳以上七五歳未満の者(経過措置対象者を除く。)であって老人保健法施行令別表第一に定める程度の障害の状態にあるもの」に該当するか否かの認定は、国民健康保険法第六条第六号の規定により同法の適用を除外されている者の場合は福祉事務所長が行うこととなるが、原則として生活保護法による保護の基準(昭和三八年四月厚生省告示第一五八号)別表第一第二章4障害者加算の例によること。
さらに、老人保健における病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護のうち食事の提供たる療養に係る診療報酬については、老人入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年八月厚生省告示第二五三号)の例による。
また、老人訪問看護に係る費用については、老人保健法第四六条の五の二第二項の規定に基づく老人訪問看護療養費に係る指定老人訪問看護の費用の額の算定に関する基準(平成四年二月厚生省告示第二九号)の例によることとし、老人訪問看護の基本利用料以外の利用料に相当する費用(老人訪問看護の給付に必要な交通費等の費用)については、必要最小限度の実費の額とすること。
(5) 療養病床等に一八〇日を超えて入院している患者で厚生労働大臣が別に定める患者に該当しない者のうち、いかなる方法によっても退院後の受入先が確保できない者であって真にやむを得ないと判断される者については、別に定めるところにより、受入先が確保されるまでの間、当該患者が一八〇日経過するまでに保険給付の対象とされていた入院基本料の範囲内において必要な額を認定して差し支えないこと。
(6) 指定医療機関が、医療券によって診療を行なった場合には、診療報酬明細書又は(老人)訪問看護療養費明細書に必要事項を記載して発行した福祉事務所ごとにとりまとめ、当月診療分を所定の様式による診療報酬請求書を添えてこれらの書類を翌月一〇日までに当該指定医療機関の所在する都道府県の社会保険診療報酬支払基金の支部(以下「支払基金」という。)に提出させるものとすること。
(7) 指定医療機関のうち、旧総合病院における診療科別の初診料、検査料又は診療報酬の請求は、一枚の初診料検査料請求書又は診療報酬明細書にとりまとめて記載のうえ、前記の請求手続に準じて行わせるものとし、各診療科ごとの請求内容を明示するため適宜注記し、必要に応じ、これを記載した書類を貼付させるものとすること。ただし、併用分患者に係る診療報酬の請求手続は社会保険の取扱いの例によるものであるが、この場合においても医療券は一枚発行すれば足りること。
5 調剤の給付
医療扶助を申請した者が、診療の給付と同時に指定薬局による調剤の給付につき申出があった場合には、医療券と同時に調剤券を発行するものとすること。調剤券の発行については、指定薬局に対する委託、調剤券の作成、交付等は医療券の場合に準ずるものとするが、患者に処方せんを発行すべき場合には、保険医療機関及び保険医療担当規則(昭和三二年厚生省令第一五号)第二三条に規定する様式に必要な事項を記載して交付するよう指定医療機関に対して周知徹底を図ること。
なお、当該用紙への記載に当たっては、当該用紙中「保険医療機関」とあるのは「指定医療機関」と、「保険医」とあるのは「指定医」と読み替えるものとする。
患者は指定薬局により調剤の給付を受けようとするときは、指定医療機関から交付された処方せんを福祉事務所長の発行した調剤券に添付して調剤券に記載された指定薬局に提出するものとすること。
指定薬局が調剤報酬の請求をする場合は、医療機関の場合に準ずること。
なお、指定薬局においては次の事項を記入した調剤録を保存すること。(ただし、この調剤録は、調剤済みとなった処方せんに調剤録と同様の事項を記入したものをもってかえることができる。)
一 薬剤師法施行規則第一六条に規定する事項
二 調剤券を発行した福祉事務所名
三 当該薬局で調剤した薬剤について処方せんに記載してある用量、既調剤量および使用期間
四 当該薬局で調剤した薬剤についての薬剤価格、調剤手数料、請求金額、社保負担額、他法負担額および本人支払額
6 治療材料の給付
治療材料の給付につき、申請があった場合には、給付要否意見書(治療材料)に必要事項を記載のうえ、すみやかに指定医療機関及び取扱業者において所要事項の記入を受け、福祉事務所長又は町村長に提出するよう指導して発行すること。
治療材料の給付を行なうにあたって留意を要する点は次のとおりであること。
(1) 給付要否意見書(治療材料)の発行
要保護者の申請に基づき、その希望をきいて取扱業者を福祉事務所において選定し、給付要否意見書(治療材料)を発行するものとするが、その際、次の点につき配意せしめること。
ア 要保護者の医療を担当している医療機関において、給付要否意見書(治療材料)の所要事項の記入を受けること。
イ 福祉事務所が選定した取扱業者に所要経費概算見積の記入を受けること。
(2) 治療材料券の発行
給付要否意見書(治療材料)に基づき、治療材料の支給を必要と認めたときは、福祉事務所長は治療材料券を要保護者に交付すること。なお、給付要否意見書(治療材料)の記載に疑問がある場合には、それぞれ記載者に照会することとし、所要経費が適当でないと認められる場合には他の取扱業者にも照会して適正な支給を行なうよう配意すること。
治療材料の支給にあたる業者は、原則として、給付要否意見書(治療材料)に記載されている取扱業者とし、これによりがたいときは、他の適当な取扱業者を福祉事務所において選定すること。
治療材料券を交付するにあたり、次の点を要保護者に配意せしめること。
ア 治療材料券に記載されている取扱業者から治療材料の交付を受けること。
イ 治療材料の交付を受けたときは、すみやかにその旨を福祉事務所長に連絡すること。
ウ 治療材料券の有効呈示期間は、発行の日から一〇日間であること。
なお、有効な治療材料券を提出した者に限り、治療材料を交付することとし、かつ、治療材料券は所定の治療材料の一回限りの交付によってその効力を消滅するものであることにつき、取扱業者に周知徹底を図ること。
(3) 治療材料給付方針および治療材料費
ア 給付方針
(ア) 国民健康保険の療養費の支給対象となる治療用装具及び輸血に使用する生血は、その例により現物支給する。
また、次に掲げる材料の範囲においては、必要最小限度の機能を有するものを、原則として現物給付によって行うものとすること。ただし、吸引器及びネブライザーについては、現物給付に限ること。
義肢、歩行補助つえ、装具、眼鏡、収尿器、ストマ用装具、尿中糖半定量検査用試験紙、吸引器及びネブライザー
(イ) (ア)に掲げる材料については、次によるものとする。
a 身体障害者福祉法第二〇条又は児童福祉法第二一条の六の規定に基づく補装具の支給を受けることができない場合であること。更に、歩行補助つえについては、前記の他、介護保険法第一五条の二第一項の規定に基づく福祉用具の貸与を受けることができない場合であること。
b 義肢、歩行補助つえ、装具、眼鏡、収尿器、ストマ用装具については、治療等の一環としてこれを必要とする真にやむを得ない事由が認められる場合に限ること。
c 尿中糖半定量検査用試験紙は、現に糖尿病患者であって、医師が食事療法に必要と認めた場合に限り、必要最小限度の量を給付することができるものであること。
d 吸引器は、喉頭腫瘍で喉頭を摘出した患者等の気管内に分泌物が貯留し、その自力排泄が困難なため入院している患者であって、病状が安定しており、社会復帰の観点から吸引機使用による自宅療養のほうがより効果的である場合に限ること。また、器具の使用に習熟していることが必要であること。
e ネブライザーは、呼吸器等疾病に罹患し、主にネブライザーによる処置のために入院を継続している者で、社会復帰の観点からネブライザー使用による在宅療養がより効果的である場合に限ること。(通院による処置対応が可能な者については除く。)また、装置の使用に習熟していることが必要であること。
(ウ) (ア)に掲げる以外の材料について、それを治療の一環として必要とする真にやむを得ない事由が認められる場合は、以下により取り扱うこと。なお、当該材料が身体障害者福祉法第二〇条又は児童福祉法第二一条の六の規定に基づく補装具若しくは介護保険法第七条第一七項又は生活保護法第一五条の二第一項に基づく福祉用具である場合には、先ず、それらによる給付又は貸与の可否について検討すること。
ア 当該治療材料が二万五千円以内の場合、特別基準の設定があったものとして取り扱って差し支えないこと。
イ 当該治療材料が二万五千円を超える場合、厚生大臣に対して特別基準の設定につき情報提供すること。
(エ) 治療材料の給付につき、要否の判定に疑義のある場合は必要に応じて都道府県知事に技術的な助言を求めること。
イ 費用
(ア) 治療材料の費用は、国民健康保険の療養費の例によること。
(イ) なお、義肢、歩行補助つえ、装具、眼鏡、収尿器又はストマ用装具の費用については、身体障害者福祉法の規定に基づく補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準(昭和四八年六月一六日厚生省告示第一七一号)の別表又は児童福祉法の規定に基づく補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準(昭和四八年六月二八日厚生省告示第一八七号)の別表に定める額の一〇〇分の一〇三に相当する額以内とすること。
ただし、国、地方公共団体、日本赤十字社、社会福祉法人又は民法(明治二九年法律第八九号)第三四条の規定により設立された法人の設置する補装具製作施設に委託する場合の費用については、更に一〇〇分の九五を乗じた額以内とすること。
この基準の額を超えるもの及び吸引器又はネブライザーの費用については、当該材料の購入に必要な最小限度の実費とするが、この判定に際しては、必要に応じて都道府県知事に技術的な助言を求めること。
(ウ) (ア)および(イ)以外の治療材料の費用は、最低限度の実費とすること。
(4) 治療材料費の請求
治療材料の給付を行なった取扱業者が、当該治療材料の費用を請求する場合は、交付された治療材料費請求明細書に所要事項を記載し、請求書を添付して当該治療材料券を発行した福祉事務所長に提出させるものとすること。
7 施術の給付
施術の給付につき、申請があった場合には、給付要否意見書(柔道整復、あん摩・マッサージ・はり・きゅう)に必要事項を記載のうえすみやかに指定施術機関(はり・きゅうにあっては、はり・きゅう師。以下同じ。)および指定医療機関において所要事項の記入を受け、福祉事務所長又は町村長に提出するよう指導して発行すること。なお、施術の給付を行なうはり・きゅう師は、別紙第五号協定書(はり・きゅう)案に基づき、都道府県知事と協定したはり・きゅう師団体に属する施術者に限るものとすること。
施術の給付を行なうにあたっては、柔道整復師が打撲又は捻挫の患者に手当をする場合および脱臼又は骨折の患部に応急手当をする場合は医師の同意は不要であるが、応急手当以外の脱臼又は骨折の患部に手当をする場合は医師の同意が必要であること。
この場合において、あん摩・マッサージ指圧師が脱臼又は骨折の患部以外に施術をするとき及びはり・きゅう師が施術をするときは、当該施術の要否に関する診断書をもって、医師の同意書に代えることができること。
施術の給付を行なうにあたって留意を要する点は次のとおりであること。
(1) 給付要否意見書の発行
要保護者の申請に基づき、その希望をきいて指定施術機関を福祉事務所において選定し、給付要否意見書を発行するものとするが、その際、次の点につき配意せしめること。
ア 福祉事務所が選定した指定施術機関において給付要否意見書の所要事項の記入を受けること。
イ 指定医療機関において給付要否意見書の所要事項の記入を受けること。
(2) 施術券(はり・きゅうにあっては、施術費給付承認書(はり・きゅう)。以下同じ。)の発行
給付要否意見書(施術)に基づき、施術の給付を必要と認めたときは、福祉事務所長は施術券を被保護者に発行すること。施術券は暦月を単位として発行するものとし、月末を始期とする施術の給付が翌月にまたがる場合は、一般診療の場合と同様とすること。
施術券により医療扶助を受けている者が、引き続き翌月にわたって施術を必要とするときは、翌月分の施術券を発行すること。
ただし、その者が引き続き三箇月を超えて施術を必要とするときは、第四月分の施術券を発行する前にあらかじめ(1)に定めるところに準じて発行した給付要否意見書により第四月以降における医療扶助継続の要否を十分検討することとし、さらに引き続き施術を必要とするときは、三箇月を経過するごとに同様の手続により医療扶助継続の要否を十分検討すること。
施術機関は、原則として給付要否意見書に記載した機関とし、これによりがたいときは、他の適当な機関を福祉事務所長において選定すること。
施術券を交付するにあたり、次の点を被保護者に留意せしめること。
ア 施術券に記載されている施術機関から給付を受けること。
イ 当該施術券の有効期間内に受療すること。
ウ 施術が終ったとき又は施術を中止したときは、すみやかにその旨を福祉事務所に届け出ること。
(3) 施術給付方針および施術料
ア 給付方針
必要最小限度の施術を原則として現物給付するものとし、その範囲は、あん摩・マッサージ・柔道整復およびはり・きゅうとすること(はり・きゅうにあっては、指定医療機関による医療の給付を受けても所期の治療効果が得られないもの、またはいままで受けた治療の経過からみて治療効果があらわれていないと判断されるものを対象とするが、指定医療機関の医療の給付が行なわれている期間は、その疾病にかかる施術は、給付の対象とはならないこと。)。
なお、この者が現に指定医療機関において診療をうけている場合には、当該指定医療機関の意見を求めたうえで要否を決定すること。
イ 費用
費用は次によるものとすること。
(ア) あん摩・マッサージについては、別紙第四号の一協定書案に基づきあん摩・マッサージの施術料金の算定方法(別紙第四号の二)を基準として都道府県知事と関係団体との間で協定して定めた額以内の額とすること。
(イ) 柔道整復については、前記協定書案に基づき柔道整復師の施術料金の算定方法(別紙第四号の三)を基準として都道府県知事と関係団体との間で協定して定めた額以内の額とすること。
(ウ) はり・きゅうについては、別紙第五号協定書(はり・きゅう)案別紙3施術料金の算定方法を基準として都道府県知事と関係団体との間で協定して定めた額以内の額とすること。
(4) 施術料の請求
指定施術機関が施術券によって患者に対する施術を行なったときは、施術料に関する都道府県知事と施術師会との協定に基づき、当該施術に対する報酬の支払を請求させるものとすること。
施術報酬請求のため、指定施術機関に施術報酬請求明細書を、また、当月施術分をとりまとめて施術報酬請求書をそれぞれ作成させ、これらの書類を翌月一〇日までに当該施術券を発行した福祉事務所長に提出させるものとすること。
9 移送の給付
移送の給付につき、申請があった場合には、給付要否意見書(移送)に必要事項を記載のうえ、すみやかに指定医療機関及び取扱業者において所要事項の記入を受け、福祉事務所長又は町村長に提出するよう指導して発行すること。
ただし、医療要否意見書等により移送を要することが明らかな場合で、かつ、移送に要する交通費等が確実に確認できる場合は、給付要否意見書(移送)の提出を求める必要はないこと。
なお、医療扶助による移送は、適当な交通機関により患者を輸送し、乗車券を与え、または必要な金銭を給付する等の方法で行ない、その旨の記録を保存し、原則として領収書を徴すること。
移送の給付を行なうにあたって留意を要する点は次のとおりであること。
(1) 給付要否意見書(移送)の発行
要保護者の申請に基づき、給付要否意見書(移送)を発行するものとすること。
(2) 移送給付方針および移送費
ア 給付方針
最低限度の移送を、原則として現物給付するものとし、その範囲は次によること。
(ア) 入院、転院、退院、通院、検診命令による受診又は外泊(病院長が精神疾患等入院患者の治療効果を判定するために、当該患者を一時外泊させてその病状の経過を観察することが適当であると認めた場合に限る。)に伴う移送のための交通費(付添、供血又は死体腎の移植を必要とする真にやむを得ない事情があるときは、付添人、供血者又は腎摘出のため派遣された医師についても認められること。)
(イ) 医療機関の自家用車およびこれに準ずるもの以外の交通機関による往診等のための交通費
(ウ) 医療機関の自家用車による往診等の場合は、その燃料代
(エ) 死体腎を移植するために摘出腎を搬送した場合は、その搬送代(ただし、国内搬送に限る。)
イ 費用
最小限度の実費(弁当代または付添者の日当等を必要とする場合は、これらを含む。)の額とすること。
10 急迫保護等
(1) 被保護者である患者が急迫した状況にあるため、各給付券を発行する余裕のないときは、福祉事務所長は、指定医療機関等に当該状況を説明して、各給付券を発行しないで各給付を行なっても差しつかえないこと。
ただし、保護を行なったときは、すみやかに各給付券を作成し、交付すること。
(2) 保護を受けていない患者が急迫した状況にあるため、保護の申請の手続をとらないで入院し、又は入院外の治療を受けた場合であって、保護の申請権者又は医療機関から医療扶助の適用について連絡があったときは、すみやかに保護申請書を提出するよう指示するとともに、要否の判定があるまでは医療扶助の決定があったものとして取り扱うことはできないので、この点に留意させること。
この場合、連絡の経緯を記録にとどめることとし、保護を要するものと認められたときは、連絡のあった日を保護申請書の提出のあった日とみなして差しつかえないこと。
(3) 町村長は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状態にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な医療扶助を行なうこと。
なお、町村長は、応急保護を行なったときは、ただちにその旨を福祉事務所長に報告し、すみやかに一般の手続をさせること。
11 医療区分等
福祉事務所長は、一般ファイル中に医療区分を設け、または一般ファイルと独立の医療ファイルを設けて、医療扶助関係書類を常時分類整理して編綴すること。
12 削除
13 非指定医療機関の診療報酬請求
急迫等のやむを得ない理由により非指定医療機関に患者の診療を委託したときは当該診療に対する報酬を、所定の様式による診療報酬明細書および診療報酬請求書(これによりがたいときは任意の請求書)により、委託した福祉事務所長に請求させるものとすること。
第四 医療扶助指定機関
1 医療機関指定基準
法による医療扶助のための医療を担当する機関は、申請のあったもののうち、次に掲げる指定等を受けているものであって、医療扶助に基づく医療等について理解を有していると認められるものについて指定するものとすること。ただし、正当な理由があって指定等を受けていない医療機関(指定訪問看護事業者を除く。)については、この限りでないこと。
なお、法による指定の取消しを受けた医療機関にあっては、原則として取消しの日から二年以上を経過したものであること。
ア 健康保険法第六五条第一項又は第八八条第一項の規定による指定
イ 老人保健法第二五条第三項第二号の規定による定め
ウ 結核予防法第三四条に規定する内容の医療を行う医療機関にあっては、同法第三六条第一項の規定による指定
2 健康保険法等による診療報酬に係る承認等
(1) 健康保険法に基づく保険医療機関であり、同法等により診療報酬に係る指定、承認又は認定を受けている場合には、生活保護法において重ねてこれらの指定、承認又は認定は要しないものであること。
(2) 健康保険法に基づく保険医療機関の指定を受けていない医療機関であって、生活保護法に基づく指定を受け、又はその申請をする医療機関から、健康保険法等による診療報酬に係る承認(厚生大臣の承認に係るものを除く。)又は認定の申請があった場合、同法等における承認又は認定に関する取扱いを準用し、これを承認又は認定すること。
なお、承認又は認定の決定を行った場合には、生活保護法による承認又は認定である旨を明記した承認番号又は認定番号を決定し、申請者及び支払基金に対して通知すること。
3 健康保険法等による診療報酬に係る届出
(1) 健康保険法に基づく保険医療機関であり、同法等により診療報酬に係る届出をしている場合には、生活保護法において重ねてこれらの届出は要しないものであること。
(2) 健康保険法に基づく保険医療機関の指定を受けていない医療機関であって、生活保護法に基づく指定を受け又はその申請をする医療機関から(1)の届出があった場合には、支払基金に対して通知すること。
4 指定施術機関および指定助産機関
医療機関指定基準、医療機関の指定および指定医療機関の義務は、指定施術機関および指定助産機関に準用すること。
5 医療保護施設
指定医療機関の義務は、医療保護施設に準用すること。
第五 診療報酬の審査および支払
1 診療報酬の審査および支払
(1) 審査、支払機関
診療報酬審査機関又は社会保険診療報酬支払基金の主たる事務所に設けられた特別審査委員会は(以下単に「審査委員会」という。)とし、支払機関は支払基金とすること。
(2) 委託契約
審査および支払に関する事務の委託につき、都道府県知事および市町村長は支払基金幹事長と別に定めるところにより契約を締結し、覚書を交換すること。
(3) 審査および支払の事務処理
都道府県知事および市町村長は、支払基金事務所の支部から送付された診療報酬明細書若しくは(老人)訪問看護療養費明細書又は併用分患者についてはこれらに代えて作成された連名簿(以下「明細書等」という。)を、医療券を発行した福祉事務所に送付すること。
2 診療報酬の決定
(1) 都道府県知事は、支払基金における審査の終了した明細書等について検討し、診療報酬請求額を決定することができるものであるが、診療報酬請求額の適否について審査委員会の審査を経ることになっているので、都道府県知事における診療報酬請求決定の際には、特に、被保護者の本人支払額との関係等医療扶助における特異な点につき審査を行なうものとし、診療内容につき疑義のある場合は、審査委員会に再審査を求めたうえで診療報酬請求額を決定すること。
なお、再審査の結果につき疑義のある場合は、都道府県および審査委員会の双方において十分協議したうえで額を決定するものとすること。
(2) 知事決定の内容のうち、査定分については審査録を作成し、支払基金等の再審査に附したものについては、再審査結果を確認すること。
3 審査および決定に関する注意事項
(1) 都道府県本庁主管課長は、支払基金幹事会に出席し、同会の状況を把握し、必要な事項はこれを要請するものとすること。
(2) 技術吏員は、支払基金の審査状況を把握し、診療方針等に関し、必要な事項はこれを要請するものとすること。
(3) 支払基金審査と知事決定との円滑な実施を図るため、なるべく技術吏員を審査委員会の委員として支払基金審査に参加させるように努めること。
(4) 生活保護法関係の診療報酬明細書の審査の際、社会保険診療報酬支払基金法第一四条の三の規定に基づく診療担当者の出頭による審査を積極的に活用するよう、審査委員会に対し十分連絡要請すること。
(5) 診療報酬の額について過誤払いがあったときは、支払基金等に通知し、翌月以降において支払うべき診療報酬金額からこれを控除するよう措置すること。この場合、当該返還額について都道府県知事の決定手続を行なうこと。ただし、過誤払いがあった当該医療機関に翌月以降において控除すべき診療報酬がない場合は、これを返還させるよう措置すること。
4 診療報酬以外の費用の支払等
(1) 治療材料費、施術料、看護料等の支払
治療材料費、施術料及び(老人)訪問看護における基本利用料以外の利用料に相当する費用については、福祉事務所長は、請求関係書類を審査し、請求額を確認した上、これを請求者に支払うこと。
なお、(老人)訪問看護における基本利用料以外の利用料に相当する費用については、指定訪問看護事業者に利用料請求書を当月分について作成させ、翌月一〇日までに医療券を発行した福祉事務所長に提出させるものとする。
(2) 非指定医療機関に対する診療報酬支払
福祉事務所長は、第三の13により請求を受けたときは、請求関係書類を都道府県本庁に送付し、都道府県知事による審査を経た上、請求者に支払うこと。
当該審査において、当該都道府県知事は、当該患者の傷病の緊急性、転医の要否等に注意して審査を行なうこと。
(3) 保護が遡及決定された場合等の医療費の支払
福祉事務所長は、保護が遡及決定された場合等で、保護申請以後の被保護者の医療費を真にやむを得ない事情のため当該被保護者が支払った場合は、その者にこれを金銭給付して差しつかえないこと。
第六 指導および検査
1 指定医療機関に対する指導
(1) 目的
指定医療機関に対する指導は、被保護者の処遇の向上と自立助長に資するため、法による医療の給付が適正に行なわれるよう制度の趣旨、医療扶助に関する事務取扱等の周知徹底を図ることを目的とすること。
(2) 対象
指導は、すべての指定医療機関とすること。
(3) 内容および方法
指導の形態は、一般指導と個別指導の二種とすること。
ア 一般指導
一般指導は、法ならびにこれに基づく命令、告示および通達に定める事項について、その周知徹底を図るため、講習会、懇談、広報、文書等の方法により行なうものとすること。
イ 個別指導
(ア) 個別指導は、被保護者の処遇が効果的に行なわれるよう福祉事務所と指定医療機関相互の協力体制を確保することを主眼として、被保護者の医療給付に関する事務および診療状況等について診療録その他の帳簿書類等を閲覧し、懇談指導を行なうものとすること。
なお、個別指導を行なったうえ、特に必要があると認められるときは、被保護者についてその受診状況等を調査することができるものとすること。
(イ) 個別指導は、原則として実地に行なうものとすること。ただし、必要に応じ、指定医療機関の管理者又はその他の関係者を一定の場所に集合させて行なっても差しつかえないこと。
(4) 実施上の留意点
ア 指導の実施に際しては、つとめて診療に支障のない日時を選び、実施の日時、場所等を対象の指定医療機関に文書で通知するものとすること。
なお、この場合関係団体との連絡調整を行ない運営の円滑を期すること。
イ 実施時期の決定にあたっては、地方社会保険事務局および衛生関係部(局)課等の行なう指導および監査の計画等との調整を図るものとすること。
ウ 指導にあたる職員は、公正かつ親切丁寧な態度を保持すること。
2 指定医療機関に対する検査
(1) 目的
指定医療機関に対する検査は、被保護者にかかる診療内容および診療報酬の請求の適否を調査して診療方針を徹底せしめ、もって医療扶助の適正な実施を図ることを目的とすること。
(2) 対象
検査は、個別指導の結果、検査を行なう必要があると認められる指定医療機関および個別指導を受けることを拒否する指定医療機関とすること。ただし、前記以外の指定医療機関であって、診療内容又は診療報酬の請求に不正又は不当があると疑うに足りる理由があって直ちに検査を行なう必要があると認められる場合は、この限りでないこと。
(3) 内容および方法
検査は、被保護者にかかる診療内容および診療報酬請求の適否について、明細書等と診療録その他の帳簿書類の照合、設備等の調査により実地に行なうものとすること。
なお、必要に応じ患者についての調査を合わせて行なうこととすること。
(4) 実施上の留意点
ア 検査の実施に際しては、つとめて診療に支障のない日時を選び、実施の日時、場所等を対象の指定医療機関に文書で通知するものとすること。
なお、この場合関係団体との連絡を行ない、運営の円滑を期すること。
イ 実施時期の決定にあたっては、地方社会保険事務局および衛生関係部(局)課等の行なう指導および監査の計画等との調整を図るものとすること。
ウ 検査にあたる職員は、公正かつ親切丁寧な態度を保持すること。
3 検査後の措置
指定医療機関に対する行政措置は、指定取消、戒告、注意の三種とし、事案の軽重に従い次の標準によって行なうこと。
(1) 行政上の措置
ア 指定取消
都道府県知事は、法による指定医療機関が次のいずれかに該当したときは、その指定の取消しを行なうこと。
(ア) 故意に不正又は不当な診療を行なったもの。
(イ) 故意に不正又は不当な診療報酬の請求を行なったもの。
(ウ) 重大な過失により、不正又は不当な診療をしばしば行なったもの。
(エ) 重大な過失により、不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行なったもの。
イ 戒告
都道府県知事は、法による指定医療機関が次のいずれかに該当したときは、戒告の措置を行なうこと。
(ア) 重大な過失により不正又は不当な診療を行なったもの。
(イ) 重大な過失により不正又は不当な診療報酬の請求を行なったもの。
(ウ) 軽微な過失により不正又は不当な診療をしばしば行なったもの。
(エ) 軽微な過失により不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行なったもの。
ウ 注意
都道府県知事は、法による指定医療機関が次のいずれかに該当したときは、注意の措置を行なうこと。
(ア) 軽微な過失により不正又は不当な診療を行なったもの。
(イ) 軽微な過失により不正又は不当な診療報酬の請求を行なったもの。
(2) 聴聞
都道府県知事は、法による指定医療機関の事故が指定取消の措置に該当するおそれがあると認めた場合は、検査終了後、当該指定医療機関に対して聴聞を行わなければならないこと。
この場合において、聴聞の手続は、行政手続法第三章第二節に定めるところによるものとする。
(3) 経済上の措置
ア 不正又は不当の診療および診療報酬の請求により診療報酬に過誤払いが認められるときは、都道府県知事は、すみやかに支払基金に連絡し、当該指定医療機関に支払う予定の診療報酬額からこれを控除させるよう措置すること。ただし、過誤払いが認められた当該医療機関に翌月以降において控除すべき診療報酬がない場合は、これを返還させるよう措置すること。
イ 不正又は不当の診療および診療報酬の請求があったが、未だその診療報酬の支払いが行なわれていないときは、都道府県知事は、すみやかに支払基金等に連絡し、当該指定医療機関に支払うべき診療報酬額からこれを控除させるよう措置すること。
4 医療保護施設等の取扱い
1から3までに定めるところは、医療保護施設、指定施術機関および指定助産機関について準用するものとすること。
なお、医療保護施設が指定医療機関に対する取消しの事項に該当するときは、法第四五条の規定に基づく改善命令を行なうこと。
第七 結核医療取扱要領
結核医療については、一般の取扱によるほか、次によること。
1 結核予防法第二九条の規定に基づく入所命令の医学的標準に該当する結核医療の取扱手続
(1) 福祉事務所長は、要保護結核患者が、結核予防法第二九条の規定に基づく入所命令の医学的標準(以下「結核予防法の入所命令の医学的標準」という。)に該当すると思われる者であるときは、(2)及び(3)に定めるところによって取扱うこと。
なお、結核予防法の入所命令の医学的標準は、平成元年二月二八日健医発第一八二号保健医療局長通知「結核予防法による入所命令の対象及び命令入所の期間について」に定められているところであること。
(2) 医療扶助による入院の申請を行なった要保護者が結核予防法の入所命令の医学的標準に該当すると思われるときは、当該要保護者に対してただちに結核予防法の命令入所に関する手続を行なうよう指導するとともに、福祉事務所に提出されている医療要否意見書等またはエックス線写真があるときは、これを保健所長に送付し、入所命令の要否の診査を要請する等、十分連絡を行なうこと。
なお、前記の要保護者が結核予防法の命令入所に関する手続を行なう場合は、所定の結核予防法診断書および診査に必要なエックス線写真のほか、別に前記診断書の写し一部を添付して保健所に提出させること。
この場合、結核予防法の命令入所に関する手続の結果が判明するまでは原則として医療扶助の決定を行なわないこと。
(3) (2)の手続を行なった要保護者が結核予防法の入所命令の医学的標準に該当したときは、保健所長からその旨福祉事務所長に通知があるので、その通知を受理したときは、ただちに医療扶助の申請を却下し、この旨要保護者に通知すること。
なお、この患者について保健所長から所定の生活環境調査書および市町村民税に関する賦課状況調査書の提出を求められたときで当該内容をは握しているときは必要な協力をすること。
また、結核予防法の入所命令の医学的標準に該当しなかった者については、保健所長からその旨および結核予防法第三四条の公費負担に関する承認の有無につき、結核予防法診断書の写しおよび診査済みのエックス線写真を添付して福祉事務所長に通知があるので、当該通知を受理したときは、その資料を審査し、3の要領に基づいて医療扶助による入院の要否を検討すること。
なお、この医療扶助の要否を決定するにあたって、要保護者に具体的病状および医療費概算額をは握する必要があるときは、適宜指定医療機関に照会すること。
(4) 2の(5)の結核予防法第三四条の申請手続を行なった者であっても、保健所における診査の結果、結核予防法の入所命令の医学的標準に該当するものであるときは、保健所長からその旨福祉事務所長に通知があるので、その通知を受理したときは、(3)に準じて取扱うこと。
(5) 医療扶助により入院している被保護者が結核予防法の入所命令の医学的標準に該当すると思われるときは、ただちに指定医療機関からその旨の連絡を求め、(2)に準じ当該被保護者に対して結核予防法の命令入所に関する手続を行なうよう指導すること。
なお、この被保護者に対して前記の手続を行なわせるときは、被保護者であることを証する書類を添付させること。
(6) (5)の手続を行なった被保護者が結核予防法の入所命令の医学的標準に該当したときは、保健所長からその旨福祉事務所長に連絡があるので、この通知を受理したときは、結核予防法の命令入所の決定日の前日限りで医療扶助を廃止し、被保護者および指定医療機関にこの旨通知すること。
なお、この患者について保健所長から所定の生活環境調査書の提出を求められたときで当該内容をは握しているときは必要な協力をすること。
また、結核予防法の入所命令の医学的標準に該当しなかった者については、保健所長からその旨を、結核予防法診断書および診査済みのエックス線写真を添付して福祉事務所長に通知されるので、当該通知を受理したときは、その資料を審査し、3の要領に基づいて医療扶助による入院継続の要否を検討すること。ただし、すでに3の要領により定められた入院承認期間がある者については、この限りでないこと。
(7) 都道府県民生部(局)は、昭和二九年一一月一七日社発第九〇四号厚生省社会局長、同公衆衛生局長連名通知「生活保護法による医療扶助と公衆衛生法規との関係について」に基づいて要保護者の結核予防法による命令入所の措置が行なわれているか否かを常時検討し、結核予防法の命令入所によって措置すべきケースを医療扶助によって肩替わりすることがないよう、当該都道府県衛生部(局)と適宜連絡をとり、それらに基づいて適切な措置を講ずること。
2 結核予防法第三四条の公費負担の対象となる結核医療の取扱手続
(1) 福祉事務所長は、1の(1)の結核予防法第二九条の入所命令に該当すると思われるものを除いた結核性疾患に対して行なう次に掲げる医療(結核予防法第三四条の規定による一〇〇分の九五の公費負担の対象となる結核医療。ただし、アからエまでに掲げる医療にあっては、厚生大臣の定める基準によって行なう医療に限る。)を必要とすると思われる要保護者については、(2)以下に定めるところによって取扱うこと。
ア 化学療法
イ 外科的療法
ウ 骨関節結核の装具療法
エ アからウまでに掲げる医療に必要なエックス線検査、結核菌検査および赤血球沈降速度検査
オ イ及びウに掲げる医療に必要な処置その他の治療
カ イ及びウに掲げる医療に必要な病院または診療所(老人保健施設を除く。)への収容(食事の給与および寝具設備を除く。)
(2) 医療扶助の申請を行なった要保護者が(1)の結核性疾患のため入院外による(1)に掲げる医療を必要とすると思われるときは、当該要保護者に対してただちに結核予防法第三四条の公費負担の申請手続を行なうよう指導すること。ただし、既に公費負担に関する決定通知を受けている者を除く。
なお、結核予防法第三四条の申請手続を行なう場合には、所定の結核予防法診断書および診査に必要なエックス線写真のほか、別に前記診断書の写し一部を添付して保健所に提出させること。
また、この申請を行なった場合で、福祉事務所の交付した医療要否意見書等があるときは、その意見書に結核予防法第三四条の申請を行なったことおよび所要の医療費概算額のみを記入して福祉事務所に提出するよう指導すること。
おって、この取扱いは、入院外の医療扶助を適用している被保護者について公費負担の承認または予算上の理由による不承認の期間の満了するものについても準用すること。
(3) (2)の申請を行なった要保護者に関する結核予防法第三四条の公費負担の有無については、保健所長から次の資料をもって福祉事務所長に通知があるので、当該通知を受理したときは、その資料および(2)の医療要否意見書等を審査し、医療扶助の要否を検討すること。
なお、結核予防法第三四条の公費負担について不承認の通知を受けた者のうち、その不承認の理由が病状上の理由によるものであるときは、特に当該要保護者の病状について慎重に審査し、必要なときは指定医療機関に照会したうえ、医療扶助の要否を検討すること。
ア 公費負担を承認するとき 患者票および診断書の写し
イ 公費負担を不承認とするとき 通知書および診断書の写し
(4) 福祉事務所長は、結核予防法第三四条の公費負担の承認又は予算上の理由による不承認の通知を受けた被保護者に対しては、結核予防法第三四条の公費負担の承認又は予算上の不承認となった当該期間中、医療要否意見書等を発行することを要しないものとすること。従って、前記の被保護者に併発疾病のある場合、一般の例により発行される医療要否意見書の「主要症状」欄には結核に関する病状を記載することは必要ないものであること。
(5) 医療扶助による入院の申請を行なった要保護者が(1)の結核性疾患のため、入院による(1)に掲げる医療を必要とすると思われたときは、当該要保護者に対してただちに、(2)に準じて結核予防法第三四条の公費負担の申請手続を行なうよう指導すること。
なお、この取扱いは、医療扶助による入院の申請を行なった要保護者が既に公費負担に関する決定通知を受けている場合も含むとともに、医療扶助により入院中の被保護者であって、公費負担の承認または予算上の理由による不承認の期間の満了するものについても準用すること。
また、この申請にあたっては、結核予防法診断書およびその写しの「備考」欄に入院を必要と認める理由について記入することとし、当該申請を行なった場合で福祉事務所の交付した医療要否意見書等があるときは、その意見書に結核予防法第三四条の申請を行なったことおよび入院を必要とすることのみを記入して福祉事務所に提出するよう指導すること。
(6) (5)の申請を行なった要保護者に関する結核予防法第三四条の公費負担の有無については、保健所長から(3)の資料のほか、診査済みのエックス線写真を添付して福祉事務所長に通知があるので、当該通知を受理したときは、その資料を審査し、3の要領に基づいて、医療扶助による入院の要否を検討すること。ただし、既に医療扶助により入院している者で3の要領により定められた入院承認期間がある者についてはこの限りでないこと。
なお、この医療扶助の要否を決定するにあたって、要保護者の具体的病状および医療費概算額をは握する必要があるときは、適宜、指定医療機関に照会すること。
(7) (1)の結核性疾患にかかっている要保護者であって、予算上の理由により結核予防法第三四条の公費負担の不承認の決定がなされた者については、(1)に掲げる医療を医療扶助により実施して差しつかえないこと。
(8) 結核予防法第三四条の申請手続を行なった要保護者について、医療券を発行する場合には、所要事項に記載洩れのないよう留意すること。
(9) 骨関節結核の装具療法について結核予防法第三四条の公費負担の承認を受けた被保護者の装具に関する医療扶助の取扱いは、昭和三六年九月二二日衛発第七五七号厚生省公衆衛生局長通達に示す要領によって支給決定された額を確認のうえ、医療扶助による同一額の給付決定を行ない、給付の具体的取扱いは、治療材料支給の取扱いによること。
(10) 要保護者が結核予防法第三四条の申請手続を行なう場合、所定の結核予防法診断書は、写しを含めて二部を保健所に提出することになるが、結核予防法診断書の写しは、福祉事務所が医療要否意見書等または結核入院要否意見書に代るものとして取扱うこととし、結核予防法第三四条の申請手続と、医療扶助の要否判定手続の両者を一元化して関係事務処理を円滑に処理するために必要なものであるから、指定医療機関に対しては、この趣旨を十分徹底し、取扱いに混乱をきたすことがないように留意すること。
(11) 都道府県知事は、当該都道府県衛生部(局)と常時連絡をとり、結核予防法第三四条の規定に基づく公費負担の状況および公費負担の承認率について常には握し、それらに基づいて適切な措置を講ずること。
また、結核予防法第三四条の申請手続と医療扶助に関する関係事務処理が円滑に進められるよう常に実状をは握して適当な措置をとること。
3 結核入退院取扱要領
(1) 福祉事務所長は、医療扶助による結核患者の入院の要否を決定しようとするときは、指定医療機関に対して、結核入院要否意見書、最近のエックス線写真および結核入院要否判定に必要と認められるその他の資料の提出を求めること。
なお、この取扱いは、新規の医療扶助による入院、入院外医療扶助の変更による入院および入院医療扶助の継続の場合のすべてに適用するものであること。ただし、1の(2)または2の(5)により結核予防法の手続を行なったものについては、保健所長から送付された資料によることとし、指定医療機関から前記資料の提出を求める必要はないこと。
また、入院医療扶助の継続の場合は、当該入院の決定時から六箇所の範囲内において、都道府県知事の定める期間または(3)によって福祉事務所長が定めた期間ごとに結核入院要否意見書および最近のエックス線写真等の提出を求めること。
(2) (1)による意見書等を受理した福祉事務所長は、当該資料を審査し、入院の要否について疑義があると認められるものについては、都道府県知事に技術的な助言を求め、その結果に基づいて入院の要否を判定すること。
この場合において、中核市の設置する福祉事務所の長が都道府県知事に協議するときは、中核市市長を経由すること。
なお、この協議に当っては指定医療機関から提出された資料または保健所長から送付された資料のほか、結核入院要否判定補助カード(様式第一〇号)を整備のうえ、これを添付すること。
(3) 福祉事務所長は、入院期間を決定する場合は六箇月の範囲内においてこれを定めること。
なお、この場合の入院期間については、結核予防法第三四条の公費負担の対象となる医療を実施している被保護者については、当該医療の実施期間が満了する時期と調整するように努め、医療扶助による継続入院と、結核予防法第三四条の申請手続との関係が一元的に取り扱われるよう考慮し、指定医療機関に対しては、継続入院を必要とする場合の資料の提出要領等について事前に通知しておくこと。
第八 精神医療取扱要領
精神医療については、一般の取扱いによるほか、次によること。
1 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二九条の規定に基づく措置入院の要件に該当する精神医療の取扱手続
(1) 福祉事務所長は、要保護者が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二九条の規定に基づく措置入院の要件に該当すると思われる者であるときは、(2)以下に定めるところによって取り扱うこと。
なお、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二九条の規定に基づく措置入院の基準については、昭和六三年四月八日厚生省告示第一二五号で定められているものであること。
(2) 医療扶助による入院の申請を行なった要保護者が、精神障害者若しくはその疑いのある者又は覚せ..剤の慢性中毒患者若しくはその疑いのある者であるときは、国若しくは都道府県の設置した精神病院又は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による指定病院(同時に法による指定医療機関であるもの)と連絡をとり、当該要保護者を入院させなければ当該疾患のため自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれがあると思われるときは、もよりの保健所長を経由し、都道府県知事(指定都市市長を含む。3を除き、以下同じ。)に対して精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二三条に規定する申請を行なうと同時に3の要領により医療扶助による申請を行なうこと。
なお、この場合、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二三条の申請結果が判明するまでは原則として医療扶助の決定を行なわないこと。
(3) (2)の申請を行った要保護者が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の措置入院の要件に該当したときは、都道府県知事からその旨福祉事務所長に通知があるので、その通知を受理したときは、直ちに医療扶助の申請を却下し、この旨要保護者に通知すること。
また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による措置入院の要件に該当しなかったときは、3の要領により、医療扶助による入院の要否を判定すること。
(4) 医療扶助により入院している被保護者が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の措置入院の要件に該当すると思われるときは、直ちに指定医療機関からその旨の連絡を求め、必要と認められる場合、(2)に準じて精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二三条に規定する申請を行なうこと。
なお、この被保護者に関して前記の申請をするときは、被保護者であることを証する書類を添付すること。
(5) (4)の申請を行った被保護者に関して、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の措置入院の要件に該当したときは、都道府県知事からその旨福祉事務所長に通知があるので、その通知を受理したときは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の措置入院決定日の前日限りで医療扶助を廃止し、被保護者及び指定医療機関にこの旨を通知すること。
また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の措置入院の要件に該当しなかったときは、3の要領により、医療扶助による継続入院の要否を判定すること。
ただし、既に3の要領に基づいて判定された入院承認期間がある者についてはこの限りでないこと。
(6) 都道府県(指定都市及び中核市を含む。)民生部(局)は、昭和二九年一一月一七日社発第九〇四号厚生省社会局長、同公衆衛生局長連名通知「生活保護法による医療扶助と公衆衛生法規との関係について」に基づいて要保護者の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による措置入院が適正に行なわれているか否か常時検討し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の措置入院となるべきケースを医療扶助によって肩替りすることがないよう、当該都道府県衛生部(局)と適宜連絡をとり、それらに基づいて適切な措置を講ずること。
2 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の対象となる精神医療の取扱手続
(1) 福祉事務所長は、生活保護法による医療扶助の申請があった場合において、当該要保護者が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の対象となる入院外医療を必要とする精神障害及び精神障害に付随する軽易な傷病を有する者であると思われるときは、直ちに同法による公費負担の申請手続を行なうよう指導すること。ただし、現に同法による公費負担の承認を受けているものについては所定の手続により医療扶助の要否を決定すること。
なお、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担申請手続を行なう場合には、所定の申請書及び診断書のほか、別に前記診断書の写し一部を添付して市町村長を経由し、都道府県知事に対して提出させること。ただし、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者が診断書に代えて同手帳を添付して同法の公費負担申請手続を行う場合及び診断書に代えて障害年金の年金証書等の写しを添付して同手帳の新規交付又は更新の申請を行う者が当該申請と併せて同法の公費負担申請手続を行う場合には、診断書の写しの添付を要しないものであること。
また、この申請を行なった場合で、福祉事務所長の交付した医療要否意見書等があるときは、その意見書に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の申請をしたことおよび所要の医療費概算額のみを記入して、福祉事務所長に提出するよう指導すること。
(2) (1)の申請に要する診断書作成及び手続協力のための費用については、三〇〇〇円以内の額を、医療機関の請求に基づき、福祉事務所払いの医療扶助費として支払って差し支えないこと。
(3) (1)の申請を行なった要保護者に関する精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の有無については、都道府県知事から市町村長を通じ次の資料をもって福祉事務所長に通知があるので、当該通知を受理したときは、通知に伴ない送付された資料および(1)の医療要否意見書等を審査し、医療扶助の要否を決定すること。
なお、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の不承認の通知を受けた者については、特に当該要保護者の病状について慎重に審査し、必要なときは指定医療機関に照会したうえ、医療扶助の要否を決定すること。
ア 公費負担が承認されたとき 患者票及び診断書(申請書に診断書を添付した場合に限る。)の写し
イ 公費負担が不承認とされたとき 通知書及び診断書(申請書に診断書を添付した場合に限る。)の写し
(4) 福祉事務所長は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の承認の通知を受けた被保護者に対しては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三二条の公費負担の承認となった当該期間中、医療要否意見書を発行することを要しないものとすること。従って、前記の被保護者に公費負担の承認されない併発疾病のある場合、一般の例により発行される医療要否意見書の「主要症状」欄には精神障害に関する症状を記載することは必要ないものであること。
3 精神疾患入退院取扱要領